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労働基準法の一部改正



労働基準法の一部改正

 

20161221日付の改正労働基準法(以下、「現行労基法」という。)施行後、労使双方から、延長労働時間、定例休日(中国語「例假」)及び特別休暇に対する制限に関する規定等について、適切に緩和すべきであるとの意見が相次いで出されました。それを受け、行政院により労働基準法改正案が立法院に提出され、2018110日に立法院で可決されました。なお、今回の改正は201831日に施行されます

 

今回の改正の概要は以下のとおりです。

 

1.         休息日の労働時間及び残業代の計算方法の見直し(24条)

 

現行労基法243項では、休息日の労働時間及び残業代の計算について、4時間以下の場合は4時間と、4時間を超え8時間以下の場合は8時間と、そして8時間を超え12時間以下の場合は12時間とみなす旨規定されています。

 

今回の改正では、休息日の労働時間及び残業代の計算については、実際の出勤時間に従って労働時間を算定し、また、残業代を計算する形に変更されました。

 

2.         延長労働時間の上限の緩和(32条)

 

現行労基法は、1ヶ月の延長労働時間の上限を46時間としています。

 

今回の改正では、46時間の原則は維持されているものの、雇用主が労働組合(労働組合がない場合は労使会議)の同意を得た場合、1ヶ月の延長労働時間の上限を54時間にまで引上げることが可能となります。ただし、3ヶ月ごとの延長労働時間の合計は138時間(46時間3)を超えることはできません。すなわち、3ヶ月を一区間として延長労働時間を柔軟に運用することができるようになりました。

 

なお、この規定を適用する場合、雇用主は所在する自治体の所轄機関へ届出る必要があります(従業員が30人未満の場合は除く)。

 

3.         延長労働時間を代休に振り替える場合の要件(32条の1

 

雇用主は延長労働時間に応じ残業代を支払う義務を負っています。労働部の過去の通達(200951日 労働2字第0980011211号)によれば、労働者が残業代請求権を放棄しすべての延長労働時間を代休に振り替える旨事前に労使間で約束することは認められません。実際に残業をした後に個別の労働者の同意を得た場合に限って、残業代のかわりに代休を取得することを選択させることが可能です。なお、代休の換算比率、使用期限及び代休未消化の場合の対応については、現行労基法には明確な規定はありませんので、原則として労使双方の協議に委ねられています。

 

今回の改正では、上記の方法を明文化するとともに、不明確であった部分を明確化しました。すなわち、残業後に労働者が代休を選択し、且つ雇用主もこれに同意した場合、雇用主は残業代の支払にかえて、延長労働時間数に基づいて代休時間数を計算し代休を取得させることができる旨規定されました。また以下の事項についての規定も新設されました。

l   延長労働時間と代休の換算比率は、11とされています。

l   使用期限は労使双方の協議により定めるものとされています。

l   代休が使用期限満了時又は労働契約終了時に未消化である場合、雇用主は元々支払うべきだった残業代の金額を支払う必要があります(違反した場合、新台湾ドル2万元以上100万元以下の過料が課される可能性があります)。

 

4.         シフト制勤務の休息時間の短縮(34条)

 

現行労基法342項では、シフト制で勤務させる労働者の勤務時間を決定する際は、少なくとも連続で11時間の休息時間を与えなければならないとされています。この規定は昨年末の労働基準法改正で規定されたものの未施行の状態にありましたが、施行した場合特定の業界に大きな影響が出ることが予想されていました。

 

この影響を緩和するため、今回の改正では、連続で11時間の休息時間を与えるという原則を維持しつつも、一部の業種では、この制限を一部緩和することになりました。対象となる業種は、作業の特徴又は特殊な理由を考慮し、原則を緩和する必要がある業種の(中央政府の)所轄官庁が労働部に申請し、労働部がそれを認めて公告した業種がこれに該当します。この例外の対象となる業種については、雇用主が労働組合(労働組合がない場合は労使会議)の同意を得たときは、8時間以上11時間未満の休息時間を与えることができるという形となります。

 

この場合、雇用主は所在する自治体の所轄機関へ届出る必要があります(従業員が30人未満の場合は除く)。

 

なお、この規定は他の改正規定と共に201831日より施行されることになりました。

 

5.         定例休日に対する制限の緩和(36条)

 

現行労基法では、業種を問わず、7日間に少なくとも1日の定例休日を与えなければならず、そして特殊な状況を除いて、原則として6日を超えて連続で出勤させてはならないとされています。ただし例外として、4週間単位の変形労働時間制を実施している事業者であれば、2週間内で2日の定例休日を自由に調整することができます。

 

今回の改正では、定例休日の調整に関する制限が緩和されています。改正規定によれば、4週間単位の変形労働時間制の適用対象でなくても、一定の業種については、労働組合(労働組合がない場合労使会議)の同意を得たときは、7日間の周期内で定例休日を自由に調整することができるようになります。

 

この制度の対象となる業種は、その業種の(中央政府の)所轄官庁の同意及び労働部の指定を受けた業種とされています。これについては、「時間」「場所」「性質」又は「状況」が特殊な一定の業種が指定されることが想定されていますが、現在検討中の状況にあります。

 

なお、この場合も、雇用主は所在する自治体の所轄機関へ届出る義務を負います(従業員が30人未満の場合は除く)。

 

すなわち、今回の改正では、一定の業種については、「6日を超えて連続勤務させてはならない」という制限はなくなり、定例休日を7日間の周期内でどの日としてもよいということになります。よって、極端な場合には、2つの定例休日の間隔が12日になることもあります。(14日の期間内に、初日及び末日を定例休日とした場合。)

 

6.         未消化特別休暇の繰越しに対する制限の緩和(38条) 

 

現行労基法によれば、特別休暇(年次有給休暇)が年度終了時に未取得である場合、雇用主は未消化日数に応じ賃金を支払う義務を負います。

 

今回の改正では、年度の終了の際に取得されていない特別休暇の日数は、労使双方の合意により次年度に繰り越すことができるとされました。ただし、繰り越された特別休暇が、次年度の終了時又は契約終了時に未取得である場合、雇用主はその日数に応じ賃金を支払う義務を負います。

 

7.         労働部今後講じる措置

 

今回の改正を受け、労働部は改正趣旨を実現し、労働者の権利・利益を保護するため、以下の措置を講じるとしています。

 

1.         改正法の施行までに関連法令等を整備する。特に例外規定が適用される場合について、労働部及び関連所轄機関による例外要件該当性に関する監督体制の強化を図る。

2.         国営企業及び国営機構並びに国が管轄する産業パーク(例えば一般工業区、加工輸出区、サイエンスパーク)内の企業を対象に、優先的に労使会議の運営について指導する。なお、各地方自治体に、その区域内にまだ労使会議が開催されていない企業に対して期限内に労使会議を設立するよう求める「設立催促書簡」を発行するよう要請する。

3.         労働条件の監督検査の実施を積極的に行う。特に、国営・公営企業及び公共安全に係る交通運輸業や医療機関等においてシフト勤務制が活用される者に対し、優先的に労働検査を実施する。

4.         労働検査機関が例外規定を採用する企業を十分把握でき、且つ労働検査の厳格さ及び順位を決める際の参考となるように、企業及び地方自治体による届出手続処理のためのオンライン届出システムを設置する。

 

したがって、特に上記に該当する企業は、早めに労務体制を整備するのが望ましいと考えられます。

 

8.         今後各社が講じるべき措置

 

今回の改正にあわせて対応する必要があることは勿論ですが、現行の労働基準法の遵守状況についても、改めて確認することが望ましいと考えられます。

 

例えば、アルバイトにも有給休暇を与える必要がありますが、与えていますでしょうか。また、週6日アルバイトが出勤した場合には、原則として1日は休息日の出勤として賃金を計算する必要がありますが、遵守されていますでしょうか。

 

一方、残業については、予め労働組合(労働組合がない場合労使会議)の同意を得る必要がありますが、同意を得ていますでしょうか。

 

今回の改正の施行前に、改正に無関係の部分も含めて、違法な運用等がされてしまっていないか、改めて確認することが望ましいと考えられます。

 

 

上記情報についてご質問がございましたら、又はその他の関連法規についての情報をご希望でしたら、お気軽に弊所(お問い合わせ先:朱百強弁護士marrosju@leeandli.com林莉慈弁護士litzulin@leeandli.com)までご連絡下さい。

 


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