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労働基準法施行細則改正の概要について
労働基準法施行細則改正の概要について
労働基準法(以下、「労基法」という)の改正条文が2016年12月21日から段階的に施行されたことに対応するため、労働基準法施行細則(以下、「細則」という)の一部改正が労働部により2017年6月16日に公告され、2017年6月18日から施行されました。以下では、改正の概要をご紹介します。
一、 細則第2条
平均賃金は、労働者の解雇手当、退職金、職業災害補償、退職後の競業禁止に伴う補償の計算の基準となるもので、事由が発生した当日から遡って6ヶ月間に取得した賃金により計算します。労働者の平均賃金の権利・利益が、通常と異なる就業形態によって賃金が減少することにより重大な不利な影響を受けることがないよう保障するため、細則では、以下の7つの状況のいずれかに該当する場合、これに該当する期間や賃金が減少した期間を平均賃金の期間の計算に含めないものと規定されています。これらのうち(五)、(六)、(七)は、今回の細則で新設された規定です。
(一) 計算事由が発生した当日。
(二) 職業災害によって、治療中である場合。
(三) 労働基準法第50条第2項(注:勤続6ヶ月未満の従業員が産休を取得する場合)によって賃金の半額が支給されている場合。
(四) 雇用主が天災、事変又はその他の不可抗力によって事業を継続することができなくなり、その結果労働者が労働できなくなった場合。
(五) 労働者休暇取得規則に基づいて一般傷病休暇を取得した場合。
(六) 労基法及び性別労働平等法に従って、生理休暇、産休、家庭介護休暇又は妊娠休暇を取得し、賃金が減少した場合。
(七) 無給休職期間中である場合。
二、 細則第7条
労働基準法第36條で休息日の規定が新設されたことに伴い、労働契約に約定されるべき事項に、労働者が7日ごとに1日の休息日が与えれられる旨が追加されました。休息日は、労使双方の合意により決定されます。通常の勤労時間形態の場合には、土曜日を休息日にすることが多くなっています。
三、 細則第11条
基本賃金とは、労働者が通常労働時間に得られる報酬をいいます。労基法に休息日の規定が新設され、かつ、休息日における労働は残業として扱われ、通常労働時間には含まれないため、細則では、休息日の労働に対して追加で支払われる賃金は基本賃金に含まれないことが追記されました。
四、 細則第14条
元の規定では、児童労働者の基本賃金は基本賃金の70%を下回ってはならないと規定されていました。しかし、児童労働者の権利保護のため、細則では元の規定が削除され、児童労働者も通常の基本賃金規定の保障が受けられるようになりました。
五、 細則第14条の1
労基法第23条では、雇用主は賃金の各項目の計算方式の明細を提供しなければならず、かつ賃金台帳に完全に記載しなければならないと新たに規定されました。これに伴い、細則では、賃金の各項目の計算方式の明細には以下の事項を含めなければならない旨規定されました。
(一) 労使双方が合意した賃金総額。
(二) 賃金の各項目の給付金額。これには、本給(基本給)、ボーナス、手当、時間外勤務手当(残業代)等、労働者が労務の提供を通じて受領する報酬が含まれる。
(三) 法律の規定又は労使双方の別途の合意によって、控除できる項目の金額。例えば、労働者が負担すべき、労働者保険及び全民健康保険の保険料、労働者の希望により拠出する退職金、労働者福利金が含まれる。
(四) 実際に支給される金額。
また、細則では、雇用主が提供する賃金の各項目の計算方式の明細のフォームは、書面に限られず、電子資料による伝達方式(例えば、電子メール、ショートメール、通信ソフトウェア、事業者のイントラネットの賃金システム等)により労働者に提供することもできると規定されています。例えば、労働者が賃金の各項目の計算方式の明細をいつでも取得し印刷できる資料は、法定の義務を満たすことになります。
六、細則第20条
労基法第36条で休息日の規定が新設されたことに伴い、細則では、法令に従い変形労働時間を採用し休息日を変更する場合、雇用主は公告し周知しなければならない旨の規定が追加されました。
七、細則第20条の1
労基法第30条の法定労働時間が1週間40時間に短縮され、また、第36条で休息日の規定が新設されたことに伴い、細則では、延長労働時間(残業)とは毎週40時間を越える部分、及び休息日の労働時間を指す旨、改正、追加されました。
八、細則第21条
雇用主は、労基法第30条第5項の規定に基づき、労働者の出勤記録を備え置く義務を負っています。細則では、出勤記録には、出勤簿、出勤カード、カード読み取り機、入室カード、生物学的特徴認識システム(例えば指紋読取機)、コンピュータ出勤記録システム又はその他出勤時間を認証できるシステムの記録が含まれる旨規定されました。
また、細則では、前項の出勤記録は、労働検査の必要があるとき又は労働者から申請があったとき、雇用主は書面の方式によって提出しなければならない旨規定されました。
九、細則第23条
労基法第37条に合わせて、労働者が休暇をとるべき記念日及び祭日については、内政部の統一規定に従う旨規定されました。この結果、細則で規定されていた19日の国定の祝日が削除され、その結果12日となりました。
十、細則第23条の1
細則では、主務官庁が指定した休日(すなわち選挙又は罷免の投票日)を除き、労働者が休暇をとるべき記念日及び祭日と、定例休日(例假)又は休息日が重なった場合、振替休日を与えなければならない旨、新たに規定されました。振替休日をいつにするかについては、労使双方の協議により決定されます。
十一、 細則第24条
細則では、労働者が労基法第38条第1項に規定する年次有給休暇の条件を満たす場合、年次有給休暇を取得する権利があり、労働者の年次有給休暇の権利の勤続年数の計算は、雇用日から起算しなければならない旨規定されました。
年次有給休暇のアレンジがより柔軟に行えるよう、細則では、労使双方が合意した場合、以下の期間内に労働者が年次有給休暇の権利を行使する形とすることできる旨規定されました。
(一) 周年制:労働者が雇用された当日から起算して、毎年1年間。ただし、勤務期間が6ヶ月以上1年未満である場合、年次有給休暇取得の権利が与えられた後6ヶ月の期間とする。
(二) 暦年制:毎年1月1日から12月31日までの期間。
(三) 教育機関の学年度、事業者の会計年度、又は労使双方が合意した年度の期間。
雇用主は、労基法第38条第3項に規定する労働者に対する年次有給休暇の取得の告知については、労働者が年次有給休暇の条件を満たした日から30日以内に行わなければなりません。
十二、 細則第24条の1
(一) 年度終了時に、未取得の年次有給休暇に対して賃金を支払う必要があります。細則では、年度終了とは、労使が合意して規定した年次有給休暇の権利の行使期間の満了日を指す旨規定されました。
(二) 細則では、未取得の年次有給休暇に対する賃金支払いは、以下に従って処理される旨規定されました。
1. 賃金支給の基準
(1) 労働者の未取得年次有給休暇日数に1日の賃金を乗じた額を支払う。例えば、労働者が年度終了時に5日間の年次有給休暇が未取得であった場合、未取得日数分の賃金として、5日分の賃金を支払う。
(2) 前述の1日の賃金は、労働者の年次有給休暇の年度終了前の、又は契約終了前の、1日の通常労働時間で得られる賃金とする。月ごとに支払っている場合、年度終了前又は契約終了前の直近の1ヶ月間の通常労働時間の賃金を30で割った金額が1日の賃金となる。
2. 賃金支給の期限
(1) 年度が終了した場合:契約で規定されている賃金の支払日に、又は年度終了後30日以内に支払う。例えば、労使双方が毎月5日を賃金支払日とする旨合意した場合、労働者の年度終了日が4月15日であるときは、雇用主は5月5日に未取得の休日分に対する賃金を支払わなければならず、遅くとも5月15日までには支払わなければならない。
(2) 契約終了の場合:雇用主は、労働者との契約が終了した後、清算すべき賃金とともに、労働者に支払う。例えば、労使双方が毎月5日を賃金支払日とする旨合意した場合、労働者の契約終了日が4月15日であるときは、雇用主は4月15日に未取得年休分の賃金を労働者に支払わなければならず、遅くとも5月5日までには支払わなければならない。
十三、 細則第24条の2
雇用主は、毎年定期的に、労働者の毎年の年次有給休暇の取得日及び未取得の日数に対して支払った賃金の額を労働者の賃金台帳に記載し、また定期的にその内容を書面により労働者へ通知する必要があります。細則では、毎年定期的に送付する書面通知は、以下の規定に従い処理しなければならない旨規定されました。
(一) 書面による通知は、前述の第24条の1に従って賃金を支払う期限までに行なわなければならない。
(二) 書面による通知には、書面、電子資料による伝達方式又はその他労働者がいつでも取得し印刷できる資料の方式が含まれる。
十四、 細則第24条の3
労基法39条は、雇用主は、労働者の同意を得た上で「休暇日」に勤務をさせた場合、倍額の賃金を支給しなければならない旨規定しています。細則では、「休暇日」とは労基法37条に規定する祭日、記念日又は第38条に規定する年次有給休暇をいうと規定されました。言い換えると、休暇日の勤務により倍額の賃金を支払う必要があるのは、祝日、記念日及び年次有給休暇に限定されることが明記されました。
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