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真正品の並行輸入商品は許諾を得ずに商標を使用して販促してはならない



商標法及び現在の実務上の多くの見解によると、真正品の並行輸入は商標法に違反したことにはならない。ただし、著作権法で保護されている客体(対象)であれば、著作権法における真正品の並行輸入の制限をめぐる問題に関係してくる。

 

実務において、真正品が並行輸入された後、商標権者の同意を得ずに広告又はその他のキャッチコピーで当該商品の中国語又は英語の商標を使用して商品の販促を行うことができるかは、もう一つの重要な問題である。従来、最高裁判所又はその他の各審級裁判所の多数の見解では、商標を使用して並行輸入商品を販促することは、商標法に定義された商標の使用ではなく、商品販売の告知だけであり、商標権者の同意を得なくても商標法には違反していない、という見解を示してきた。それでも、台北地方裁判所の刑事部及び知的財産裁判所は、ぞれぞれ2016年と2015年に、特に真正品の並行輸入事件において、商標権者の同意又は許諾を得ずに登録商標を使用して商品の販促を行うことは、商標法に違反したという異なる見解を示した。

 

商標法では、真正品の並行輸入について明確に定義又は規範されていない。しかし、現在の実務見解によると、それは、輸入業者が他国から台湾市場へ輸入した商品であり、かつ、商標権者(台湾で商標権を取得した人を指す)本人又はその許諾又は同意を得た人が、適法的にそれを製造並びに商標を使用し、台湾の販売店又は代理店が市場で販売している商品ではなく、すでに他国の市場で取引流通されているものを指している。一般的には「灰色マーケット商品(Gray market goods)」とも呼ばれる。いわゆる並行輸入の商品は、一般的によく聞く「水貨」であり、いわゆる「水貨」とは、商品が代理店ではなく、国外のその他の商品供給源から代理店が販売している物と同じメーカーの商品を購入したもので、当該商品が商標権者又はそれが許諾した使用者又はその同意を得て製造された商品であれば、すなわち模倣品や偽物ではなく、真正品であり、かつ合法的な方法で台湾地区に輸入され販売されたものをいう。

 

現在、最高裁判所が示している見解によると、真正品が台湾へ並行輸入され販売されることは、商標権の侵害に該当せず、つまり商標法に違反しておらず、かつ消費者の選択が増加するというメリットがある。真正品の並行輸入を認めることは、その商品価格は往々にして代理店が販売する商標商品よりも安く、また、一般の代理店が販売する商品との違いは、通常密輸品には保証期間、又は無料メンテナンスのアフターサービスがないことにある。そのため、いかなる加工、改造又は変更をしておらず、直接オリジナルパッケージのまま販売された時、その商品の出所は正当であり、商標権者又はそれが許諾した使用者の信用に損害は生じることがなく、また、市場の独占、壟断を防止することにより、同一商品の自由な価格競争を促すことになり、消費者も合理的な価格で購買選択する利益を享受することができるため、商標法の立法目的に反しない範囲内においては、すでに商標権者の同意を得て輸入又は当該商品を販売したと認めるべきである。

 

台北地方裁判所の刑事部は、105年(西暦2016年)度智易字第2号刑事判決においても、真正品の並行輸入は商標法に違反していないとしたものの、当該刑事部の裁判官は、商標権者の同意又は許諾を得ずに商標を使用して商品の販促をしてはならないという見解を示した。

 

当該刑事部が当該事件において示される見解によると、真正品の並行輸入は国内消費者により多くの選択、自由競争の利益の享受、商品価格の合理化の促進をもたらしているものの、国際消尽原則に基づき、商標権者は当該並行輸入の「真正品本体」にのみ、商標権を主張することができず、これ以外の商標の使用行為(例えばインターネットで商標を付した真正品の映像を展示して販売する、又は並行輸入した真正品の広告に商標権者の商標を使用する)は、依然として商標法に保護されるべきであ、商標権者が巨額の広告、販促コストを投資して確立した当該商品の知名度と市場占有率の確保を図り、真正品を並行輸入た輸入業者によただ乗り(必要なコストを負担せず利益だけを受ける)には及ばない。つまり、被告がブログ、ファンサイトで商標権者が所有する「薇霓肌本」商標を、米国から並行輸入した「VANICREAM」シリーズ商品に係る購買代行の文章に使用することについて、使用された「薇霓肌本」商標は並行輸入の「VANICREAM」真正品本体ではないため、商標権者は依然として前述した商標権を主張することができ、国際消尽に該当することを認めないので、被告の行為はすでに商標権侵害に該当する、とされている。

 

知的財産裁判所は104年(西暦2015年)度民著訴字第33号の民事中間判決において、別件についても、同じ見解を示した。

 

並行輸入の商品自体は商標法に違反していないから、商標権者は台北地方裁判所105年(西暦2016年)度智易字第2号刑事判決が確定した後、商標法に基づき、並行輸入商品の没収を単独で科すことを請求した。しかし、台北地方裁判所105年(西暦2016年)聲字第1216号刑事裁定では、同裁判所105年(西暦2016年)度智易字第2号判決理由をもって、被告が商標権者の「薇霓肌本」商標を使用してネットで販売文章を掲載したことは商標権侵害行為であると認めたのみで、国際消尽原則に基づき、「並行輸入の真正品本体」については、商標権者は商標権を主張することができず、当該差押えられた「薇霓肌本防曬乳液(VANICREAM日焼け止め)」は模倣品であることを証明できないので、商標法で定められる単独で科す没収の要件を満たさないので、商標権者の請求が根拠がなく、棄却すべきであるとした。

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