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「公開発行会社有価証券の公開買付に関する管理規則」及び「公開買付説明書における記載すべき事項に関する準則」の改正について



今年8月に発生した買付代金不払いによる公開買付の中止という重大事件を受け、応募者の権利・利益の保障を強化するため、金融監督管理委員会(以下、「当局」という。)から、20161118日付で「公開発行会社有価証券の公開買付に関する管理規則」及び「公開買付説明書における記載すべき事項に関する準則」の改正規定(以下、併せて「当改正規定」という)が公布され、同日より発効しました。本稿では、当改正規定の概要をご紹介します(以下、公開買付説明書を「説明書」という。)。

 

なお、当改正規定は、当局から2016928日付けで公表された改正案内容(先日のニューズレターで既にその概要を紹介した)と一部異なるところがあるため、ご照合の便宜をはかるため、以下変更のあった部分について下線を付けております。

 

一、  「公開発行会社有価証券の公開買付に関する管理規則」(以下、「管理規則」という。)の改正規定の概要

(一)  公開買付会社(以下、「買付者」という。)の義務の強化

1.         天然災害、緊急事態等の事情を除き、買付者は公開買付説明書記載の買付代金支払時期、方法及び場所変更してはならない(管理規則第7条の1)。

2.         公開買付の申請書類は弁護士による適法性の評価を経たうえで、その法律意見書を取得しなければならない。そして、買付者の十分な資力の確保のため、買付者に対し買付代金を支払うための契約履行能力を具備する証拠を提出することを義務付ける。なお、現金を買付代金の支払手段とする場合には、前記の証明として次のいずれかの条件を充足しなければならない(第9条)。

(1)      証券引受業務の免許を有する財務顧問若しくは公開発行会社の財務報告の監査業務を取扱う公認会計士より、合理的な手続を経て、資金源を審査し、買付者が買付代金を支払うための契約履行能力を具備する旨承認書が出されること、又は

(2)      金融機関より契約履行の保証がなされること。

3.         情報開示を強化して株主の応募決定の参考となるようにするため、買付者に対し次の関連情報の当局への申告、投資者への公告及び受託機構への通知を義務付ける(第19条第2項)。

(1)      公開買付条件成就前に、他の主務機関より既に許可を得たこと又は既に届け出て発効したこと。

(2)      公開買付条件が成就したこと。

(3)      買付代金の全額を既に受託機構名義の公開買付専用振込口座に振り込んだこと。

(4)      公開買付条件成就後に、有価証券の応募数が買付予定数の最大数を超えたこと。

(二)  買付対象会社(以下、「対象会社」という。)の取締役会及び審議委員会の責任等の強化(第14条及び第14条の1

1.         取締役会及び審議委員会に対し、買付者の身元情報及び財務状況、買付条件の公平性や買付資金源の合理性等の重要情報について調査・検証し、そして株主に対し前記の結果に基づく助言を提供することを義務付ける。また、両者ともに対し既に講じた調査・検証の関連措置及びプロセスを完全に開示すること、そして専門家に意見書の提出を依頼した場合、意見書も合わせて開示することを要求する。

2.         対象会社及び審議委員会の便宜を図るため、調査・検証結果の返答期間を10日間から15日間に延長する。

3.         審議委員会に対し、調査・検証状況及び審議の結果を取締役会に提出して報告することを義務付ける。

4.         責任を明確にするため、取締役会議事録につき各取締役の同意又は反対の明確な意見及びその理由の記入を要請する。

5.         議事の規範を明確にするため、審議委員会の出席及び議事進行に係る手続規則を増設する。

(三)  公開買付期間の末日に公開買付条件が成就しなかった場合、又は有価証券の応募数が買付予定数の最大数を超えた場合、買付者は、応募者から既に引き渡されたが決済されていない有価証券を公開買付期間の末日の次の営業日に、応募者に返還することを義務付ける(第19条第3項)。

(四)  公開買付条件が成就したものの、買付者が説明書記載の買付代金支払時期に支払を済ませなかった場合、応募者は、催告せず直ちに解約することができる。なお、受託機構は、その次の営業日に応募者から既に引き渡された有価証券を応募者に返還することを義務付ける(第19条第4項)。

(五)  受託機構に公開買付に係る株式事務の管理業務を強化させるため、代金及び株券の決済用の専用口座を設置し、振り込んだ資金を指定用途のみに使用するようにすることを義務付けるほか、その善管注意義務及び消極的な資格も追加する(第15条)。

(六)  公開買付期間の延長の合計の上限を30日から50日に修正する(第18条第2項)。

(七)  証券取引法第43条の5では、買付者は、公開買付期間に予定の数量どおり買付できなかった場合、又は当局の許可を得て公開買付を停止した場合には、正当な理由を有し、かつ、当局の許可を取得した場合を除き、原則として一年内に同一の対象会社に対し公開買付を行ってはならないと規定されている。前記の正当な理由として、今回の修正では、国内におけるその他主務機関の審査遅延で公開買付を完成できなかったものの、事後に当該主務機関の同意を取得したことが追加された(第15条)。

 

二、  「公開買付説明書における記載すべき事項に関する準則」の改正案の概要

(一)  説明書で引用された外部専門家の意見書を投資者の参考となるようにするため、説明書の所要事項につき、弁護士法律意見書、財務顧問確認書、金融機構契約履行保証書又はその他専門家が作成した関連審査意見書等を特別記載事項として記載することが求められる(同準則第4条、第13条の11項)。また、外部専門家の基本情報及び委託事項の開示(第5条)のほか、専門家が自ら担当した書類につき、署名又はサインすることも要請される(第13条の12項)。

(二)  多層的買付スキームが増えていることに鑑み、現金を買付代金の支払手段とする場合には、投資スキーム、各層における投資者の背景、並びに具体的な資金源及びその内訳(最終の資金源の身分及び関連資金の調達等の重要な情報を含む)を開示しなければならない。また、会社が自己資金で買付資金を充当するとき、資金源の合理性を明らかにするよう、公開買付が公告される前の最近の2年度の財務諸表を開示しなければならない。(第7条第1項)なお、買付者は、買付代金支払の履行義務を負う旨の宣誓書を提出し、資金調達に関連するあらゆる協議又は約定の文書を含め、説明書と併せて公告しなければならない。(第7条第2項)

(三)  買付者が公開買付の完了後に対象会社の重大な資産を取得する計画を有している場合、当該計画内容の開示が義務付けられる(第12条)。

(四)  記載すべき公開買付条件の内容として、応募者は、買付者が公開買付条件の成就を公告した場合、管理規則第19条第6項に定められた場合を除き、その応募を撤回してはならないことが追加された。

(五)  記載すべき公開買付への応募に伴うリスクの内容として、応募者の買付代金の取得は、買付者が管理規則第18条第2項に基づき公開買付期間を延長した場合、後ろ倒しになるリスクが追加された

 

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