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専利権者は無効審判審決取消訴訟(行政訴訟)において請求項の訂正の必要性を早期検討すべき

簡秀如/Shih-I Wu


専利権者は無効審判の審理手続中に無効理由及び無効の証拠の強さに応じ、専利法(日本の特許法、実用新案法、意匠法に相当)第67条の規定により、台湾智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当。以下「智慧局」という)へ訂正を請求することができる。台湾智慧局が専利の有効性を認め、さらに無効審判請求の不成立審決(維持審決)を下した時、無効審判請求人は先ず訴願を提起した後、台湾知財裁判所へ行政訴訟(日本の無効審判審決取消訴訟に相当)を提起する際に、「知的財産案件審理法」(中国語:「智慧財産案件審理法」)第33条の規定により、同一の取消理由について新たな証拠を提出することができ、よって、専利無効の理由を強化するとともに、紛争を一回で解決することもできる。過去、台湾知財裁判所はこれらの新たな証拠が係争専利が専利性を具備していないことを証明するに足ると認めた時は、双方の利益のバランスをとり、台湾智慧局による最初の判断を尊重するため、係争専利が訂正により新たな証拠による攻撃を回避する可能性がある時は、台湾智慧局の原処分を取り消し、事件を台湾智慧局で再び審査するよう差し戻すのみで、専利権者にその請求項を訂正する機会を与え、無効審判請求人と特許権者の権益を両立させてきた。この方法は、例えば100年(西暦2011年)度判字第1820号判決のように、最高行政裁判所からも支持されるものであった。

 

しかし、最高行政裁判所は20154月の第一回法廷長裁判官連合会議(二)の決議で既に、上述した実務の方法を変更した。当該決議では、事実審裁判所が無効審判で使用した証拠、又は無効審判請求人が行政訴訟で提出した新たな証拠が、係争専利の請求項が専利性を具備しないことを証明するに足ると認め、また専利権者が当該訴訟の口頭弁論終結前にまだ台湾智慧局へ訂正を請求しておらず、台湾知財裁判所へも関連する事実と証拠を提供していない場合、裁判所は直接義務を課して、台湾智慧局へ無効審判請求の成立(無効審決)、専利権取消の処分を下すよう命じる判決を行うことができる、とした。

 

台湾知財裁判所は2015115日付の103年(西暦2014年)度行専訴字第69号判決において、本来、無効審判請求人が提出した新たな証拠のみに基づき、原処分を取り消し、並びに係争専利について台湾智慧局へ差し戻して別途処分を下すよう命じた。上告後、最高行政裁判所は2015924日に104年(西暦2015年)度判字第559号判決を下し、台湾知財裁判所は原処分を取り消すだけではなく、直接、台湾智慧局へ無効審判請求の成立(無効審決)、専利権取消の処分を下すよう命じる判決をすべきとした。本件は差し戻しされた後、台湾知財裁判所は201647日に104年(西暦2015年)度行専更(一)字第8号判決を下し、台湾智慧局に係争専利の請求項1ないし4(すなわち全ての請求項)について無効審判請求の成立(無効審決)と、専利権を取り消す処分を下すよう命じた。裁判所は無効審判請求人が訴訟段階になってから初めて係争専利を無効とすべきことを証明するに足る無効審判の証拠を提出したことを理由として、その全てが勝訴する判決としたが、訴訟費用の半分は負担すべきとした。

 

最高行政裁判所が前述した20154月の第一回法廷長裁判官連合会議(二)で決議した内容は、既に専利無効審判の行政訴訟における重要な原則となっており、専利権者は特に注意すべきである。言い換えれば、たとえ専利権者が無効審判の段階で有利な審決を獲得していても、その後の行政訴訟の段階で無効審判請求人が提出した新たな証拠が係争専利を取り消すリスクがあるかもしれないと気づいた時に、裁判所が直接専利権無効の判決を直接下す機会が低減するよう、積極的に訂正を請求する必要性があるかどうかを検討して速やかに行動すべきである。

 


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