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TPP加入に向けての商標法及び著作権法の改正案のポイント



経済貿易の発展を推進する上で国全体の利益を考慮すべきであることに鑑み、我が国が環太平洋戦略的経済連携協定(Trans-Pacific Partnership Agreement、以下「TPP」という)への加入を積極的に推進することにより、各国又は地域との間で互いに自由貿易と平等地位を享有することを期待する。ただし、我が国における商標法、著作権法等の知的財産関連法規の一部には、まだTPP協定を満たしていない規定があるため、更なる調和・調整を図ることが必要である。したがって、経済部智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当)は2016510に商標法、著作権法の改正案を完成させたばかりである。

 

商標法の部分について、商標法の改正案のポイントは、次の4点である。

一.     商標のラベル又は包装などを模倣する行為の権利侵害責任に関する主観的要件を改正

現行の商標法第70条第3号では、商標権者の同意を得ずに、「第68条の商標権侵害のおそれがあることを明らかに知りながら、商品又は役務とまだ結合していないラベル、タグ、包装容器、又は役務と関係のある物品を、製造、所持、展示、販売、輸出又は輸入する」行為は、商標権侵害とみなされる、と規定されている。しかしながら、TPP18.74条の規定により、商標権侵害の民事責任には、明らかに知りながら(knowing)の態様のほか、知りえる合理的な理由がある(with reasonable grounds to know)態様も含まれる。よって、上述の規定を修正し、明らかに知りながら又は知りえる合理的な理由があって商標のラベル又は包装などを模倣する行為はいずれも商標権の侵害を構成することが定められた。

二.       商標又は団体商標のラベル又は包装を模倣する行為に関する刑罰規定を新設

TPP18.77条第3項の規定を参考にして、商業的規模を有して商標と同じ又は区別できないラベル又は包装を模倣し、且つそれを他人の登録商標にかかる商品又は役務と同一の商品又は役務に使用した場合、刑罰を科す規定を新設した。また、インターネットを利用した販売取引が盛んに行われていることに鑑み、その行為が電子メディア又はネットワーク方式を通じて行われた場合も同様であることを明文化した。

三.     証明標章のラベルなどを模倣する行為に関する刑罰規定を改正

現行の商標法96条第2項に規定する証明標章を付したラベルの模倣行為に関する刑事責任は、行為者が明らかに知っていることを要件とするが、いわゆる「明らかに知りながら」は直接故意に限られるため、これらの規定はまだTPP18.77条第3項の規定を満たしていない。よって、「明らかに知りながら」という要件を削除し、一般的な刑事罰は故意(直接故意及び間接故意を含む)を要件とする原則に戻すこととする。また、インターネットを利用した販売取引が盛んに行われていることに鑑み、その行為は電子メディア又はネットワーク方式を通じて行われた場合も同様であることを明文化した。

四.       他人がなした権利侵害商品を販売し、又は販売する意図があった行為に関する刑事罰の主観的要件を改正

現行の商標法第97条に規定する刑事責任は行為者が明らかに知ることを要件とするが、いわゆる「明らかに知りながら」は直接故意に限られるため、これらの規定はまだTPP18.77条第3項の規定を満たしていない。よって、「明らかに知りながら」という要件を削除し、一般的な刑事罰は故意(直接故意及び間接故意を含む)を要件とする原則に戻すこととする。また、インターネットを利用した販売取引が盛んに行われていることに鑑み、その行為は電子メディア又はネットワーク方式を通じて行われた場合も同様であることを明文化した。

 

著作権の部分について、著作権法の改正案には、以下の内容が含まれる。

一.     著作財産権の存続期間の延長

TPP協定において、著作財産権の存続期間は70年を基準に計算されるため、それに合わせて著作財産権の存続期間を改正し、その存続期間が現行の50年から著作者の生存期間及びその死後70年間、又は著作物の公表後70年に延長されるとともに、また大衆権益の均衡を図るため、改正法施行前の著作権法により存続期間がすでに満了して公共財となるものは、いずれも70年までの延長の適用がないと定められている。

二.     複製防止措置の回避についての刑事責任の新設

1. 著作権者が他人による著作への無断アクセルを禁止又は制限するために講じる複製防止措置(アクセスコントロール、access controls)を解読、破壊又はその他の方法も以ってこれを回避する行為等(回避行為)に対し、例えば、企業が合法的なソフトウェアを購入せずに、不正なソフトウェアをインストールしてシリアル番号を入力した後に使用する行為、現行の著作権法は違反者に対し第80条の2第1項のみにより民事責任を課す。しかし、これらの営利目的を持っている回避は権利者に対して、依然としてその権利を害する重大な違法行為に属するため、違反者に対して民事責任のみが課せられることは、その保護の内容が不足していることは明らかである。よって、TPP、アメリカ著作権法第1204条及び韓国著作権法第136条第2項第3号の2の規定を参考にして、営利を目的として又は業として使用する者に対して刑事責任が課せられる規定を新設した。

2. このほかに、現行の著作権法第80条の22項に、合法的な許諾を得ずに、無断で複製防止措置を解読、破壊又は回避するための設備、部材、部品、技術若しくは情報を製造、輸入、公衆の使用に提供する若しくは、これらのものをもって役務を提供することができないと規定されており、違反した場合、現行著作権法第96条の12号により刑事責任が課せられる。しかし、現行の規定では、行為者が商業目的を有しているか否かで区別していないことから、これに合わせて回避行為の刑事責任を新設するとともに、文言の改正も行った。改正後、営利目的での複製防止措置違反の撲滅に焦点をあてることにより、国家公権力の過度の介入を減少し、司法資源の浪費を避けることができる一方、個人の非営利な複製防止措置違反の場合、刑事責任を課す必要はないとすることで、社会公益と著作権者の関係のバランスをとるものとなる。

三.     職権による起訴制度に合わせた非親告罪への変更:

TPPでは、商業的規模で行われる著作権の海賊行為及び頒布行為について、主務官庁に職権による法的行動(leagal action)を採ることができる権限を付与すべきとしている。そこで、本法第91条第2項の販売又は貸与の目的をもって複製し、営利目的で第91条の12項の著作財産権を侵害している複製物であると明らかに知りながら頒布する罪を犯し、その複製物がデジタルフォーマットの場合、非親告罪に改め、並びにデジタルテクノロジーの発展に伴いネットによる海賊版の横行が増加していることに対応するため、本法第92条の公開伝達権侵害罪もまた非親告罪に改めた。

四.       衛星・ケーブル放送用の暗号化された番組伝送信号の民事・刑事による保護規定を新設

 

ここで説明が必要なのは、上述した改正案は今後の財経政策の方向性に関わることから、現在は行政権の引継ぎ事項に盛り込まれているだけで、今後、新政権の政府チームと説明及び討論して初めて決定することができるものである。このため、上述した改正案は決定案ではなく、今後さらに変更される可能性があるものである。


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