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知的財産裁判所による営業秘密保護事件における仮の地位を定める仮処分命令の申立てに対し仮処分決定とされた事例の紹介



知的財産裁判所が最近2015102日に仮の地位を定める仮処分命令の申立てを認めた104年度(西暦2015年)民暫抗字第7号民事裁定を下した。以下、知的財産裁判所が当該事件において採った法的判断基準の概略を述べる。

 

一、   当該事件において、申立人である新世紀光電株式会社は、元従業員(すなわち当該事件の被申立人)の退職後に、多数の従業員が続々と退職し、かつ、その後被申立人が設立した会社で勤務している疑いがあるとして、当該従業員と以前締結した雇用契約書において約定された退職後の秘密保持義務の規定に基づき、被申立人は以前在職期間に取得した会社の営業秘密を利用又は漏洩してはならない旨を裁判所に申し立てた。裁判所はまず、被申立人は契約に基づき秘密保持義務を遵守すべきであると肯定した。

二、   申立人は、被申立人により利用又は漏洩される可能性のある「営業秘密」について、添付書類Aを提出し関連する内容を具体化した。被申立人は、当該内容はいずれも業界における周知の技術であると主張したが、申立人が細部構造のデザイン及び製造工程方法等の情報を提出したところ、裁判所は当該情報は製品の効率化をもたらしかつ不必要な実験ミスを減少できることに資するものであると認定し、さらに申立人が別途特許ポートフォリオ及び業務・生産情報に関する報告及び資料提出たため、これたの事実と証拠はすでに裁判所に、当該情報は申立人が保護しようとする営業秘密であるという事実の存在であるとする申立人の主張をおおよそ信じさせるに足りるものであると裁判所は判断し、この申立はほぼ正当であるとの心証に至った。

三、   また、当該事件における被申立人が設立した会社の株主及び取締役は申立人の競合企業であるため、裁判所は被申立人が以前の在職期間に知悉した前述した営業秘密を他人に開示する可能性があり、これは申立人が防止しようとする危険であるから、当該事件には確かに保全の必要性があると判断した。

四、   当該事件の申立人は別途、被申立人によるその従業員の引き抜きについて、雇用契約書における引き抜き禁止の義務条項に基づき、被申立人による引き抜き行為の禁止を申立てた。裁判所も、被申立人は契約に基づき当該引き抜き禁止義務を遵守すべきであると肯定した。また、その他の従業員が短期間の内に続々と退職したことに対し、裁判所は退職は個人の選択であるが、いずれも被申立人の退職後に相次いで退職し、かつ半年の内に多数が被申立人の設立した会社に転職したため、当該退職は被申立人と関係があると推認することができることから、申立人はこれらの争点についてもすでに疎明したと認定した。かつ、その他の従業員が継続して当該被申立人が設立した会社に転職しないよう、この部分についての申立人による請求も認めた。

五、   最後に、裁判所は申立人と被申立人との権益を衡量した上で、営業秘密の漏洩により申立人に損害を生じるが、被申立人による営業秘密の漏洩と引き抜きを禁止することは、その不作為義務の遵守を求めただけであり、損害までには至っていないとして、申立人に担保の供託は命じなかった。

 

上述した事件の内容から、営業秘密の侵害を受ける可能性がある権利者は、その従業員との間で退職後の秘密保持義務についての約定内容、その保護しようとする情報が一定の経済的価値及び秘密性を具備していることを裁判所に説明できれば、裁判所にその営業秘密が存在し、かつ保全の必要性があると認定させるに足りることができることが分かる。また、引き抜き禁止義務の違反について、裁判所は経験則に基づき、短期間の内に大量に退職して競合企業に転職した事実について、これらの退職と引き抜きに関連性があると推認する可能性もある。よって、知的財産裁判所は、営業秘密保護に関する事件は緊急性及びさらなる立証が難しい特性を有することを考慮したため、その他の知的財産の仮処分事件と比較して、申立人による疎明すべき程度をある程度緩和することにより、権利者の権益保護の目的を達成することがうかがえる。

 

 

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