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専利無効審判行政訴訟において、裁判所は職権で証拠を調査し、証拠文献に開示されていないものが当該分野の通常の知識であるか否かを明らかにしなければならない



実務上、特許庁(智慧財産局。以下「特許庁」)によって審査、特許、実用新案、意匠を含む)許可査定、公告された専利は、その後、「公衆審査」手続きにより、その専利性を確認することができる。何人も、公告された専利権の権利範囲が従来技術と実質的に同じである(新規性を具えない)、又は従来技術及び専利出願当時の当該技術分野の通常の知識に基づいて容易に完成できる(進歩性を具えない)と認めれば、関連する従来技術を証拠として付して特許庁に対し専利無効審判を請求することができる。もし、専利権が無効審判請求手続で特許庁により取り消された場合、専利権者は特許庁の上級機関である経済部に対し訴願を提起することができ、それでも結果が覆らない場合には、行政裁判所(現在は主として知的財産裁判所行政法廷が管轄する)に対し行政訴訟を提起することができる。

 

最近の知的財産裁判所の無効審判請求事件に関する審理を総合的に見ると、従来技術文献(無効審判請求証拠)の開示内容を重視する以外にも、二以上の従来技術を組み合わせて無効審判を請求するケースについては、二以上の従来技術には、それらを組み合わせる十分な動機付けがあるか否かを重視していることがわかる。また、2015331日に知的財産裁判所が作成した103年(西暦2014年)行専訴85号判決において、無効審判請求証拠が明確に開示していない係争専利請求項の特徴が専利出願時の当該技術分野の通常の知識に属しているか否かについて、裁判所は職権で無効審判請求証拠以外の2件の従来技術文献を閲覧・調査して「当該特徴は通常の知識でしかない」と判示し、最終判決で、特許庁の下した専利権取消処分を維持した。

 

当該知的財産裁判所103年(西暦2014年)行専訴85号判決は、「シリコン積層体の製造方法及びその製品」という発明の名称の専利が進歩性を具えるか否かを判断するものであった。もともと、特許庁の無効審判請求審決書は、「無効審判請求人が提出した従来技術無効審判請求証拠345の組合せは、係争専利請求項1が進歩性を有さないことを証明するに足るものである」と認めていた。専利権者は、「個別の無効審判請求証拠を組み合わせても、係争専利の各製造工程間の関連性を十分に示すことができない」と何度も強調し、知的財産裁判所は、無効審判請求証拠345の組合せが係争専利請求項1に限定される開絹、棉積層体の輸送、巻取及び製品包装などの4つのステップを明示していないことに気づいたが、「これらのステップは係争専利出願時の紡織技術分野における通常の知識にすぎない」と判示した。知的財産裁判所は、中国の1件の専利公開明細書及び台湾第I261636号専利明細書を自発的に閲覧・調査し、これら2つの文献の開示内容に基づいて、係争専利請求項1に限定される開絹、棉積層体の輸送などの2つの工程は、係争専利出願時の当該技術分野における通常の知識でしかない、と判示したのである。係争専利請求項1が特定する巻取及び包装などのステップについては、係争専利明細書には当該これらの工程が従来技術に比べて如何なる予期できない効果を有するのか開示されておらず、原告(即ち、専利権者)も係争専利が進歩性を具えることを裏付けるに足る如何なる補助的な証明資料も提供しなかったため、裁判所は、巻取、包装のステップを多く出すことによって、係争専利が進歩性を具えないという結論に影響を及ぼすことができるとは認めていない。

 

専利権者は、裁判所は無効審判請求人が提出した証拠しか判断の基礎とすることができない、と主張した。しかし、裁判所は、行政訴訟法第125条第1項と第133条、「知的財産事件審理法」第34条第1項が準用する第8条に基づいて、行政裁判所は取消訴訟において法により職権で証拠を調査しなければならず、且つ、手続き上、裁判所は既知の特殊な専門知識につき既に当事者に弁論の機会を与えているため、判決の基礎として採用することができる、と強調した。

 

過去、専利無効審判請求事件の審理範囲は原則として無効審判請求人が提出した証拠と審理を要求した範囲内に限られており、特許庁が無効審判請求人が提出していない証拠や主張を以って専利権者に答弁するよう要求することはなく、ましてや、経済部の訴願手続で経済部が、無効審判請求手続のなかで専利権者及び無効審判請求人の両者が提出しなかった証拠や主張を審理することもなかった。しかし、2013年版の新たな専利審査基準が公布された後、特許庁は職権により、無効審判請求人が提出していない無効審判請求に係る争点及び/又は証拠を提出して、専利権者に答弁するよう要求することができるようになった(但し、いくつかの制限条件がある)。しかし、経済部の訴願手続とその後の行政訴訟手続は、原則的に、やはり特許庁が既にすすめている無効審判請求手続の内容を審理の範囲としなければならない(「知的財産事件審理法」第33条の「商標登録の取消し、廃止、又は専利権の取消しに関する行政訴訟において、当事者が口頭弁論終了前に、同一の取消し又は廃止理由について提出した新たな証拠につき、知的財産裁判所は依然として斟酌しなければならない」旨の規定は特別規定に属し、且つ専利権者の請求項の訂正権益に配慮する必要がある)。本件行政訴訟事件は、特許庁がはっきり調べなかった「係争専利出願時の当該技術分野の通常の知識に、無効審判請求証拠が明確に開示していない製造工程が含まれるか否か」について、裁判所が、判決書において自らの専門意見を表明する一方で、案件を特許庁に差し戻し、この部分の証拠及び事実を補充調査するよう当該庁に要求する決定を下し、且つその調査結果に基づいて専利を取り消すか否かの行政決定を作成することができなかったわけではない。しかし、知的財産裁判所行政法廷のこの事件に対する判決は、明らかに、より強い職権調査を採用し、且つ積極的に実質的な問題について判断を行っている。今後、知的財産裁判所がこのような積極的な職権調査を採用し続けるか否かについて、注視していかなければならない。

 

また、発明が進歩性を具えないという判断は、「当業者の通常の知識」に基づくとともに、従来技術文献を参酌すれば、当該発明技術を容易に完成することができる場合に下されるものであり、そのなかの「当業者の通常の知識」には何が含まれるのか。その証明の程度は、専利出願日前にその他の従来技術文献が無効審判請求証拠に開示されていない内容を開示していることを証明することができさえすれば十分であるのか、又は、当業者が必ず無効審判請求証拠を組み合わせ、且つ当該発明を容易に完成できる能力を有することを証明しなければならないのかについて、検討が待たれる。

 

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