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知的財産裁判所による「Stopgap」商標の登録取消を最高行政裁判所が支持



知的財産裁判所の103年(西暦2014年)度行商訴字第122号行政判決は、登録番号第1479560号商標「」の商標登録の審決取消訴訟において、以下のとおり判示した。
「登録番号第1479560号商標『』は著名商標『GAP』と類似を構成し、服飾品や履物などの類の商品における使用を指定している。これは、関連する公衆に誤認混同を生じさせる、若しくは著名商標『GAP』の識別性又は信用や名声を損なうおそれがあり、商標法第30条第1項第10号の規定に違反し、登録することができないため、当該商標の登録を取り消す」
その後、最高行政裁判所は104年(西暦2015年)度判字第443号判決で、知的財産裁判所の上記見解を支持した。
 
経済部智慧財産局(※日本の特許庁に相当。以下、「智慧局」という)は、登録番号第1479560号商標「」の商標無効審判事件について、「GAP」が著名商標であると認めたものの、「stopgap」は、「stop」及び「gap」の2語に分かれておらず、1語であり、且つ、それ自体が「穴埋め」又は「一時しのぎ」という意味を有するため、「」商標と「GAP」商標の類似の程度は極めて低く、消費者に誤認混同を生じさせない、と認め、無効審判不成立の審決を作成した。その後、本件につき訴願が提起されたものの、経済部訴願審議委員会は智慧局の見解を支持した。
 
その後、本件については、行政訴訟が提起され、知的財産裁判所の103年(西暦2014年)度行商訴字第122号行政判決で、次のように判示された。
「智慧局及び係争商標の権利者は、『係争商標が“Stop”と“gap”という2つの英単語をつなげて複合語を構成したものであり、穴又は隙間を塞ぐ、空白部分又は凹んだ箇所を塞ぐのに用いるもの、一時しのぎなどの意味がある一方で、無効審判請求の根拠とする引用商標“GAP”は峡谷、隙間などの意味を表しているおり、両者を対比すると、それらが異なることは明らかである』と抗弁した。しかし、係争商標と無効審判請求依拠商標はいずれも単純な英単語で構成された商標であり、主要部分は『GAP』と『gap』である。外国語の商標が異なる意味を有する場合、それら商標の概念が類似するか否かの判断は、関連消費者が知悉する定義に基づいて判断しなければならず、そうして初めてそれに関連する消費者の基準に合致する。また、2つの商標が指定する商品はいずれも一般的な生活品であり、普通の知識を有する一般消費者を判断の基準としなければならない。我が国は英語圏国家ではないため、『Stopgap』は決して見慣れた英語の単語。ではなく、関連消費者が通常の生活経験及び知識。により、『Stopgap』が一時しのぎ、穴又は隙間を塞ぐなどの意味を有することを知悉しているとは限らない。智慧局及び係争商標の登録人は一般的ではない英訳をもって、2つの商標は類似していないと解釈したが、かかる解釈は明らかに我が国の関連消費者の認識とは相容れない。一方、『stop』又は『gap』は簡単な英単語であり、『gap』の前に『Stop』を付け加えた係争商標は、関連消費者にその意味が“『GAP』をやめる”であると解釈させやすく、このことは、『gap』が係争商標の主要部分であることを、いっそう明確に示すものである」。
 
また、知的財産裁判所は、次のようにも指摘している。「gap』の前に『Stop』を付け加えた係争商標』は、関連消費者にその意味が“『GAP』をやめる”又は“『GAP』に反対する”であると解釈させやすい。これは、著名商標である引用商標GAPをネガティブな用語で形容するものであり、不公平な競争を生じる。加えて、こうした商業倫理規範に反する方法を利用すれば、係争商標の知名度を高め、引用商標の社会的評価に影響を及ぼすことは極めて明らかである。よって、『GAP』商標の暖簾に便乗する係争商標のフリーライド行為は、当然、引用商標の信用や名声を減損するものである。
 
本件は上告され、最高行政裁判所は104年(西暦2015年)度判字第443号判決で知的財産裁判所の見解を支持した。
 
最高行政裁判所は判決理由のなかで、「誤認混同のおそれ」と「商標の減損(希釈化)のおそれ」の間の境界、及び「著名商標の識別力又は信用や名声を減損するおそれ」と「商標の合理的な使用」の間の適用原則について、相当に明確な説明を行っている。
 
最高行政裁判所は、「誤認混同のおそれ」と「商標の減損(希釈化)のおそれ」は、構成要件及び規範目的が異なる、と明示した。誤認混同のおそれを規範する目的は、関連消費者が抵触商標と先に登録されている著名商標を、商品の出所、連携又は関連において混同し、誤った認識に基づいて取引の決定を行うことを回避することにある。したがって、誤認混同のおそれ規定の目的は、主に、商品の出所の誤認混同を回避することによって、消費者を保護することにある。しかし、商標の減損(希釈化)の規範の目的は、主に、著名商標の識別力又は信用や名声が他者によって不当に減損され、消費者の印象が曖昧になり、さらには著名商標に損害を与えることの回避にある。したがって、たとえ関連消費者が抵触商標と先に登録されている著名商標について誤認混同するおそれがなくても、商標の減損(希釈化)は依然として規定で禁止されており、商標の減損(希釈化)に係る規定の目的は、消費者権益の保護ではなく、商標の識別力又は信用や名声の減損・希釈化を回避し、著名商標の保護を強化するためのものであるので、「誤認混同のおそれ」とは区別しなければならず、商標減損(希釈化)の概念が誤認混同のおそれの概念に含まれるとは言えない。
 
また、最高行政裁判所は、次のように判示している。いわゆるパロディ商標(parody trademark)の使用は、評論又はニュース目的、非営利性という前提に基づかなければならず、且つ、評論対象である著名商標に係る商品又は役務の出所と誤認混同を生じない情況において、合理的に使用することができる。本件係争商標「」は、「Stop」と「gap」という2語を組み合わせて構成され、服飾品や履物などの類の商品における使用が指定されている。係争商標は、この種の商品において既に著名な「GAP」という引用商標と類似するのみならず、係争商標の見た目の意味が見る者に与える印象は、「GAP」に「反対する」、「GAP」を「やめる」であり、関連消費者に文字の印象だけで任意に解釈させ、説明せずとも意味を納得させる効果を生じやすい。また、係争商標の権利者にとっては、長年にわたって信用や名声を積み重ねてきた無効審判請求の根拠とする商標と同じところまで、自社製品の地位を急速に引き上げ、それによって商業上の利益を獲得することができるという効果を有する。一方、「GAP」の商標権者にとって係争商標は、引用商標が積み重ねてきた信用、名声及び識別力を減損させるものである。つまり、係争商標は引用商標に便乗することによって不当に利益を獲得し、さらには、便乗の対象である引用商標にマイナスの効果を及ぼすものである。上告人は、引用商標の信用、名声及び識別力を減損する係争商標をもって登録出願したのである。
 
最高行政裁判所及び知的財産裁判所は、「」商標登録の審決取消訴訟事件における商標類似の認定について、関連消費者が誤認混同するおそれがあるか否か、又は商標の識別力若しくは信用力を減損するか否かに係る審理、又はいわゆるパロディ商標(parody trademark)の「商標の合理的な使用」に該当するか否かについての原則を相当程度明確に示しており、これは類似の商標紛争事件の審理に役立つものである。
 

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