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専利権の取消は権利侵害勝訴確定判決の再審事由とすることができる

簡秀如/Shih-I Wu


専利特許、実用新案、意匠を含む)権利侵害訴訟において、被疑侵害者は民事裁判所に対し、専利の無効を主張することができるほか、特許庁(智慧財産局。以下「特許庁」)に対し無効審判を請求して専利権を取り消すよう請求することもできる。このように、民事訴訟手続や行政無効審判請求手続のそれぞれにおいて、専利の有効性に係る紛争につき判断するという二元体制は、異なる見解の生じるおそれが高い。

 

仮に、民事裁判所が確定判決において専利が有効であると認め、専利権者の請求を認めた後で、特許庁が当該専利を取り消した場合、不利な判決を受けた被疑侵害者は、専利が既に取り消されたことを理由に、民事訴訟法第496条第1項第11号の「判決の基礎となった行政処分が変更された場合」に係る規定に基づき、再審の訴えを提起することができるのか? この疑義につき、最高裁判所は個別の事案において、知的財産裁判所と相反する以下のような見解を示している。

 

知的財産裁判所は、201495日に作成した102年(西暦2013年)度民専上再字第4号判決のなかで、被疑侵害者が専利の取消を理由に再審の訴えを提起できることを否定しており、その理由として、「『知的財産事件審理法』第16条により既に裁判所には専利の有効性につき自ら判断する権限が与えられており、民事裁判所は自ら証拠を調査し、事実を認定したうえで、係争専利が有効であるという判断を下したのであるから、特許庁による係争専利の許可という行政行為を判決の基礎としてはいない」と説明している。

 

しかし、知的財産裁判所の上記見解は、最高裁判所が2015312日に作成した104年(西暦2015年)台上字第407号民事判決によって破棄されている。最高裁判所は以下のとおり判示している。

「専利権は特許庁による専利付与という行政行為に基づいて発効し取得されるものである。他人が専利権を侵害した場合、専利権者は当該行政行為の効力に基づき、他人による侵害を理由に権利侵害訴訟を提起することができる。原確定判決も、被疑侵害者による専利権侵害を理由に、当該被疑侵害者に賠償責任を負うよう命じる判決を下したのであるから、当該専利付与という行政行為は判決の基礎を形成している。そもそも、専利法第82条、第120条の規定により、専利権取消確定後、当該専利権は最初から存在しなかったものとみなされるため、判決の基礎である行政行為が変更されたと考えなければならない。被疑侵害者がこれに基づいて再審の訴えを提起する場合、民事訴訟法に定める再審事由に該当する」

このほか、最高裁判所は当該個別事案において、「原審裁判所は、係争専利の有効性について自ら判断しておらず、また、提出時期を過ぎて攻撃防御方法を提出したことを理由に、被疑侵害者の専利無効に係る抗弁を却下した」と認め、「原審の認定には、議論すべき点がある」と指摘している。

 

最高裁判所の現在の見解によれば、敗訴が確定した被疑侵害者が、その後、無効審判請求手続によって当該専利を取り消すことができれば、既に確定した民事判決について再審の訴えを提起し救済を求めることができる。このほか、本件において知的財産裁判所は、被疑侵害者が二審において提出した有効性に係る抗弁について、提出時期を過ぎていることを理由に審理をせず、それがために、最高裁判所により「専利の有効性について、未だ自ら判断していない」と認定され、再審の訴えが認められる結果となった。今後、知的財産裁判所が民事訴訟法の「遮断効」に係る規定の援用を回避するため、被疑侵害者が二審において期限の経過後に提出した有効性に係る抗弁を全て受理するか否かについて注視する必要がある。


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