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「部分意匠」登録出願の図面開示は、どの程度まで「明確且つ十分」であるべきか



「専利法」(日本の特許法、実用新案法、意匠法に相当)には、「意匠登録の説明書及び図面は、当該意匠が属する技芸分野の通常知識を有する者がその内容を理解し、それに基づいて実現することができるよう、明確且つ十分に開示しなくてはならない」と規定されている。中華民国「専利法」は最近(2012年)の改正で、「物品のある一部の意匠」を意匠登録を受けることのできる請求対象の1つに加えた。しかし、「部分意匠」は物品のある1つの面又は1つの小さな部分の外観形状にしか及ばない可能性があり、部分意匠登録出願の図面がいったいどの程度まで開示されていれば、智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当)は「明確且つ十分である」と認定するのだろうか。以下に、201311日に新たに改正された「専利法」の施行以来の実務について、その概略を整理する。
一、部分意匠の図面の開示内容には、原則として、「意匠を主張する部分」と「意匠を主張しない部分」が含まれ、当該「意匠を主張しない部分」の表示方式を説明書の「意匠の説明」欄において説明しなければならない。たとえば、「図面に開示された破線部分は、本願において意匠を主張しない部分である」、「図面において一点鎖線によって囲まれたものは、本願が主張しようとする範囲を限定し、当該一点鎖線自体は、本願において意匠を主張しない部分である」などと記載する。
二、旧「意匠登録審査基準」(「設計専利審査基準」)には、「意匠図面は立体図及び六面図(正面図、背面図、左側面図、右側面図、上面図、底面図)、又は2つ以上の立体図により表現しなければならない。また、その他の補助的な図面を製図することができる。意匠の図面には各図面の名称を標示しなければならず、各図面間の同一、対称又はその他の事由により省略されたものについて、図面説明に注記しなければならない」と規定されている。即ち、智慧財産局は過去、意匠登録図面には「立体図と六面図」又は「少なくとも2つの、すべての面の特徴を表現することのできる立体図」を含まなければならないと明確に定めており、原則として、複数の面が互いに同一又は対称であるため、その1つの図から別の図の内容を直接知ることができる場合にのみ、両者は同一又は対称であると文字で記述することができ、且つ当該別の図を提供しなくてもよいとされていた。しかし、新「意匠登録審査基準」(「設計専利審査基準」)には、「3次元の立体意匠については、通常、立体図及び複数のその他の図(たとえば、もう1つの立体図、又は正面図、背面図、左側面図、右側面図、上面図、底面図などの図)を提出して、意匠登録出願に係る意匠の各面を十分に開示しなければならない。……もし意匠登録出願に係る意匠の一部の図が、普通の消費者が購入時又は使用時に注意を払わないもの、又はそれが完全に平面であるため意匠の特徴を備えないものである場合、当該面の図も省略することができる」と明確に規定されている。新「審査基準」には、省略することのできる面の例として、「掛け時計の背面」を挙げている。言い換えると、新「審査基準」は、ある面が選択購入時の重点となる面ではない、意匠の特徴を備えない面であるなどの場合、出願人は理由を説明してこれらの図を省略することができる、と明確に指摘している。但し、現在の実務において、いったい誰が、省略された面が消費者が購入時又は使用時に注意を払わない面であるか否かを認定するのか、明確な基準がない。現状では、智慧財産局は、いくつかの事例においては、ある面が省略されるのを認め(たとえば、冷蔵庫の底面)、いくつかの事例においては、ある面が省略されるのを認めていない(たとえば、車両用バンパーと車両取付け用の内表面(背面))。
三、また、ある物品に施された部分意匠の意匠特徴が1つか2つの面にしか出現しない場合は、その他の面は出願人が設計した又は主張しようとする意匠的特徴を備えないため、出願人は理由を説明してこれらの図を省略することができるだろうか? 答えは、「否」である。現在、智慧財産局の実務においては、依然として、出願人は「1つの立体図及び完全な六面図」又は各面がはっきりとわかる立体図を少なくとも2つ提出する必要があり、これらの図には少なくとも、当該意匠が施される物品の「外輪郭」をはっきりと表示しなければならない。意匠的特徴を主張しない外輪廓線は破線を用いて表すことができるが、意匠的特徴を主張しようとする外輪郭及びその他の特徴は実線で描く。
 
現行の実務上のやり方をまとめると、新「審査基準」では、意匠登録出願人がいくつかの面の意匠につき、重要性を備えない又は意匠的特徴を備えないことを説明し、省略することができるとしているようだが、智慧財産局は依然として、主張しようとする意匠的特徴があるか否かにかかわらず、各面の外輪郭がはっきりわかる十分な図面を提出するよう出願人に要求している。
意匠登録を形式要件に確実に合致させるためには、意匠登録の出願時に、(該意匠の特徴を)十分に開示している図面を提出する必要がある。後日の図面補充提出は、出願時に意匠的特徴を開示していないという問題を生じ、智慧財産局によって、図面の補正が出願開示範囲を超えているとして補正が却下され、最終的には、出願図面が十分明確ではないとして意匠登録を受けることができなくなる可能性がある。したがって、主張しようとする意匠的特徴を十分開示することができ、且つ、物品の各面の輪郭がはっきりわかる図面を出願時に提出することが勧められる。

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