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最高裁判所が均等論分析を「特徴対比」原則から「全体対比」原則に変更



均等論に基づく専利権侵害分析の法的基準に関して、台湾の裁判所の実務では、これまでずっと、全体として(as a whole)対比するドイツ式の「全体対比」原則ではなく、構成要素ごとに(element by element)対比する米国式の「特徴対比」原則を採用してきた。均等論において、「特徵対比」原則により分析を行った場合、成立する権利侵害の範囲は、「全体対比」原則のそれに比べて、理論上、狭くなるが、最高裁判所は20149月の判決において、「全体対比」原則に改めることを明らかにした。これは均等論分析の法的基準にとって極めて重要な変革であり、しかも専利権者側をより利するものである。
かつて、最高裁判所は、第一線で活躍する法学教授2名に、「均等論に基づく権利侵害判断の法的基準」に関する文章の執筆、並びに最高裁判所での講演を依頼したことがあり、これら2名の教授は、それぞれドイツ、米国に留学した経験を有していた。ドイツに留学した学者は「全体対比」原則に変更すべきであると主張し、米国に留学した学者は「特徵対比」原則を維持すべきであると主張した。最高裁判所は、2010年に行った判決のなかで、均等論に基づく判断は「全体対比」原則をもって行うことを初めて明確に示し、これは最高裁判所が初めてこの重要な法律紛争における立場を表明したものとなった。
しかし、当該判決の後も、専利権侵害事件の審理を主管する知的財産裁判所は、依然として「特徵対比」の立場を堅持し、引き続き、多くの一審及び二審判決において「特徵対比」原則を適用した。
そんな中、「アイマスク型眼部マッサージ装置」専利侵害訴訟は、画期的な事例となった。事実関係の概略は次のとおり。
「係争専利の請求項1の本体は。これに対して係争製品の本体は。両者の技術手段の差異は、係争専利がその請求項1の本体内にエア・チューブ、振動モーター及びパッチ・パネルを有する以外にも、エア充填用ポンプ、エア放出弁、ブザーなどの三つの部材も特定しているのに対し、係争製品の本体内には、エア・チューブ、振動モーター及びパッチ・パネルといった部材しか含まれておらず、エア充填用ポンプ、エア放出弁、ブザーなど三つの部材は制御装置内に設けられている点にある。したがって、係争製品の本体にはエア充填用ポンプ、エア放出弁、ブザーといった部材がなく、これは、係争専利の請求項1がこれら三つの部材とその他の部材を本体上に集中させた技術手段とは異なる」。
「アイマスク型眼部マッサージ装置」事件における第二審の知的財産裁判所は2度にわたって、「特徵対比」原則に基づいて均等不成立と認め、専利権者敗訴の判決を下した。それに対し、専利権者は上訴し、最高裁判所は2度にわたって、原判決を破棄して、再度、審理するよう知的財産裁判に差し戻した。知的財産裁判所の3回目の二審の審理において、ついに「全体対比」原則が採用され、専利権者勝訴の判決が下された。これは、当該専利権者が初めて当該事件において獲得した勝訴である。被告は最高裁判所に上訴したが、最高裁判所は20149月にこれを棄却し、「専利権者勝訴」の判決が確定した。
当該「アイマスク型眼部マッサージ装置」裁判は3度にわたって最高裁判所まで争われたため、一般的には「全体対比」原則が既に確立されたと考えられる。これにより、今後、専利権者は、「アイマスク型眼部マッサージ装置」裁判の最高裁判所判決に基づいて、均等論による権利侵害を主張できるとともに、より広い均等範囲を主張することができる。
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