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知的財産裁判所が市場調査報告を商標識別力の認定資料として採用



商標の主な機能は、商品又は役務の出所を識別することにあり、ある標識が商品又は役務の出所を示す、又は区別することができなければ、商標機能を具えず、もとより商標登録を受けることはできない。識別性は商標が商標登録を受けるための積極的要件であるが、識別性の有無、強弱は、しばしば商標の実際の使用状況及び時間の経過に伴って変化する。とりわけ、今日のビジネスマーケティング手法は多種多様であり、デジタルメディアテクノロジーの急速な発展によって、商標の形態及び使用方式は絶えず発展しており、識別性の判断に極めて大きな影響を及ぼしている。標識が識別性を具えるか否かについては、個別案件の事実の判断において、商品又は役務の性質の違いにより異なる認定結果となるため、往々にして、審査結果に一貫性を欠く状況があるとの印象を与える。とりわけ、後天的識別力を有するに至ったか否かに係る認定基準により、さらには、使用証拠の強弱、同業者が使用を必要とする程度、及び関連する商品又は役務の消費者の接触程度などによって、認定結果が異なることになる。そこで智慧財産局は、客観的な審査基準を確立し、判断上の一貫性を可能な限り図るべく「商標識別性審査基準」を制定した。
 
 
「商標識別性審査基準」の規範によれば、出願人は識別性を具えない商標について、証拠を挙げて当該商標が既に使用され識別性を取得していることを証明しなければ、商標登録を受けることができない。後天的識別性の有無は、国内の関連消費者の認識を判断基準としなければならず、出願人が提出した、出願商標が指定商品又は役務に実際に使用されたことを示す証拠は、国内の資料を主としなければならない。仮に、国外の資料が提出されたが、国内の関連消費者が当該国外の使用状況に関する情報を知り得なければ、証拠として採用することはできない。また、当該基準によれば、以下に掲げる資料は、商標登録出願に係る商標が既に識別性を有する証拠とすることができる。かかる資料には、「商標の使用方式、時間の長さ及び同業者の使用状況」「販売量、営業額及び市場占有率」「広告量、広告費用、販売促進活動の資料」「販売地域、市場分布、販売拠点又は展覧陳列箇所の範囲」「各国登録の証明」「市場調査報告」及び「その他後天的識別性の認定の根拠となる証拠」などが含まれる。
 
 
市場調査報告は、商標が識別性を取得した証拠とすることができるものの、専門的かつ公正で客観的な市場調査報告のみが証拠能力を有する。商標登録出願人が自ら市場調査を行うことを選択しても、市場調査の専門能力を欠いていれば、そのサンプリングは往々にして代表性を欠き、また、アンケート内容にも誘導式の設問が多くなり、実際に調査又はインタビューを行う者も専門的な訓練と能力を欠く嫌いがある。そうすると、アンケートの正確性及び公正性に疑念が生じやすく、その参考価値にも影響を及ぼすことになる。「商標識別性審査基準」は、市場調査を行うか否かについて慎重に評価すべきであると特に指摘している。また、市場調査報告の参考価値を考慮する場合における、「市場調査会社又は機関の公信力」「調査方式」「アンケート内容の設計」「内容と結論との関連性」及び「その他注意すべき事項」について規範している。
 
 
「商標識別性審査基準」には、商標が識別性を具えるか否かを認定する際に、「市場調査報告」を参考とすることができると既に規範されているものの、通常、実務においては、「市場調査報告」が有する瑕疵のために、それが商標識別性の参考として採用されることは極めて少ない。
知的財産裁判所の(民国)103年(西暦2014年)度行商訴字第83号行政判決は、化粧品の瓶及び色彩の組合せによる立体商標の商標登録出願について、商標登録出願人が市場調査会社に委託して作成した市場調査報告を採用して、当該立体商標が商標識別性を具える旨判示し、智慧財産局の商標登録拒絶査定処分及び経済部訴願委員会の訴願決定を取り消した。
 
 
知的財産裁判所は、商標登録出願人が提出した市場調査報告は、公正性かつ専門性を備えた会社による結論であると特に指摘し、裁判所はその内容(営業数量、調査報告の経験、調査期間、調査方法、調査員の素質、調査技法、調査地域・範囲、調査対象、サンプリング方法、母体及びサンプル数、アンケート種類、題目類型、題目区分、基本原則、設問の並べ方、目標設定、因果関係などの事項が含まれる)を詳細に審査した。調査報告から、アンケート回答者全体の69%が係争商標が商標出願人の特定ブランドの商品ボトルであることを知っており、51%は、製品カテゴリーを提示することなく、ボトルだけでブランド名を言い当てることができた。知的財産裁判所は、調査会社の信憑性、調査方式、アンケート内容の設計、調査地域、サンプリング数、アンケート内容の設計と表現方式、調査結果と結論との論理的関係、及び誤差と信頼性水準についての説明は、いずれも、客観的かつ論理的に市場調査の結論と合っていることを示しており、その市場調査報告は、関連消費者が係争商標の立体形状及び色の組合せにより商品の出所を識別していることを証明するに足るものであり、これは係争商標の立体形状及び色の組合せが既に後天的識別性を取得していることを証明するに十分であると示した。
 
 
知的財産裁判所が示した、市場調査報告の採用に際して考慮すべき要素及び事実認定は、智慧財産局が今後取り扱う類似事件の商標識別性審査に係る実務に影響を及ぼす可能性が極めて高い。
 

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