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技術特徴が省略された発明



これまでの専利審査基準には一貫して、「技術的特徴が省略された発明」が特定の条件を満たす場合、「容易に完成できるものではなく」「進歩性」を具えると認定しなければならない、と記載されていた。たとえば、2004年版審査基準の第3.5.4.2節には「技術的特徴が省略された発明とは、たとえば、物品の要素又は方法におけるステップなど、先行技術における技術的特徴を削減している発明を指す。もし、技術的特徴が省略された発明が依然として従来のすべての機能を備えている又は予期できない効果を奏し得る場合、当該発明は容易に完成できるものではなく、進歩性を具えると認定しなければならない。しかし、技術的特徴が省略された発明が、省略された技術的特徴の機能を喪失する場合、当該発明は容易に完成できるものであり、進歩性を具えないと認定しなければならない」と規定されている。現行の審査基準の第3.5.2.3節にも類似の規範が維持されている。
 
 
専利の有効性に係る訴訟において、専利権者がその発明の特徴は「技術的特徴の省略」であると主張しているのをしばしば見かけるが、かかる主張の大半を知的財産裁判所は採用せず、その発明の進歩性を否定している。これに対し、最高行政裁判所は最近作成した判決のなかで、具体的に疑義を呈している。
 
 
特許権者は、自らが発明した「映像・音声信号送受信処理装置」(「影音信号伝接処理装置」)の主な技術的特徴は、外部から差し込むタイプの「電視卡」(※デジタル放送などの有料放送の視聴に必要なカード。日本のB-CASカードに相当。以下「テレビカード」という)の圧縮部品の省略にある、すなわち、それが発明したテレビカードは圧縮処理を行わずに、従来の技術的偏見を克服しており、技術的特徴が省略された発明であり、ゆえに進歩性を具える、と主張している。しかし、知的財産裁判所は101年(西暦2012年)度行専更(二)字第3号行政判決のなかで、当該主張を否定する見解を採用した。知的財産裁判所は、係争特許の特許明細書の実施例にかつて、テレビカードが信号をコンピュータに伝送した後、依然としてコンピュータは信号に対し圧縮、エンコードを行う必要があり、そのうえでようやくコンピュータは直接、記憶・記録又は放送・再生することができる、と記されていたことを理由に、「ゆえに、省略前の全ての機能を保有することができない」と判示し、並びに、「智慧財産局が『特許は有効である』と認めた行政処分及び以前の無効審判請求案の行政確定判決は、係争特許の映像・音声信号送受信処理装置を局部的に観察しただけであり、信号がコンピュータに伝送された後の状況を全体的、総合的に観察するのを怠っている」とする見解を示している。
 
 
最高行政裁判所は2014929日に作成した103年(西暦2014年)度判字第533号判決のなかで、知的財産裁判所が「コンピュータ」は係争特許の特許請求の範囲の要素ではないと認定する一方で、「コンピュータが行う作業」を特許請求の範囲を解釈する依拠とすることは、専利法に定める「特許権の範囲は特許請求の範囲を基準とする」という原則に反している、として疑義を呈している。このほかにも最高行政裁判所は、「特許請求の範囲の解釈はもとより発明の説明及び図面を参考にすることができるが、特許明細書全体を参照して判断しなければならない。実施例は単に実施方式の例示にすぎず、これに基づいて特許請求の範囲を増加又は制限することはできない。さもなくば、特許請求の範囲が対外的に表現する客観的な特許範囲の変動をまねくことになる。ところが、知的財産裁判所は、特許明細書に記載されている実施例のコンピュータに関する記述をもって、『係争特許が出力した信号は圧縮、エンコードを経なければ、記憶・記録又は再生・放送することができないため、技術的特徴が省略された発明の要件を満たさない』と判示した。これは、係争特許の特許明細書に記載されている実施例をもって、係争特許の特許請求の範囲を縮減するものであり、特許請求の範囲の解釈の原則に合致しない」と強調している。
 
 
特に言及すべきは、最高行政裁判所は法律審であるにもかかわらず、判決のなかで、本件特許の技術的特徴を改めて調査したうえで特許請求の範囲を認定するよう知的財産裁判所に要求し、珍しいことに、知的財産裁判所が特許権者の「技術的特徴の省略」に関する主張を否定するのに用いた主な技術的理由、すなわち「コンピュータは信号を圧縮、エンコードしなければ、記憶・記録又は再生・放送することができない」という部分につき、異なる技術的見解を提出して、「一般的に、コンピュータが再生・放送する信号は、圧縮処理された信号ではない。圧縮処理された場合、コンピュータが圧縮解除しなければ、再生・放送することができないが、圧縮処理されていない場合、(圧縮解除)処理をせずに再生・放送することができる。かつ、コンピュータをどのように使用するかはすべて使用者自らが決定するものであり、圧縮処理していない信号を直接、再生・放送することもできるし、圧縮処理をして記憶・記録することもできる」と指摘している点である。知的財産裁判所が技術審査官を配して、最高行政裁判所の技術的事実における異なる認定に対し、どのように処理及び対応するのか、着目したい。
 


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