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専利有効性の判断に当たって、先行技術の引例にその特徴が文言で開示されていない場合、その図面の内容を依拠とすることができるか



専利権侵害訴訟において、被告が専利に取り消すべき理由があると主張した場合、若しくは専利無効審判請求事件に続いて行政訴訟となった場合、知的財産裁判所は専利の有効性について判断しなければならない。引例の文言記載に係争専利のいずれかの技術的特徴が明確に開示されていない場合、どのように処理すべきかについては、「専利審査基準」に、当該引例の図面の開示が「明確」な場合にのみ、当該引例に技術的特徴が開示されていると認めることができると規定されている。以下に挙げる最近の二つの事案では、いずれも当事者の一方(専利権者)が、相手側が引例の図面に係争専利の技術的特徴が開示されていると推断していると主張して争ったが、知的財産裁判所はそれぞれの判決のなかで、引例の図面に開示されている内容を引用して文言による開示の不足を補っているとして、係争専利は新規性及び進歩性を具えないと認定した。
 
102年(西暦2013年)民専上字第43号判決:係争専利の主要な特徵が歯間ブラシの金属線を撚り合わせた固定部の一部に膨らみをもたせることによって、柄に差し込んだ後に抜け落ちにくくすることであるのに対し、引例の文言記載には、固定部の形状を螺旋状構造とすることには言及されているものの、固定部の一部に膨らみをもたせることについては言及されておらず、こうした場合、当該引例の図面と合わせて、係争専利と同じ技術的特徴が開示されていると推断できるか否かが争点の一つとなった。この争点に対して裁判所は「当該引例には、金属線撚り合わせ部の外径と金属線のサイズの関係が明確に開示されていないものの、歯間ブラシの金属線撚り合わせ部に『不規則』な螺旋状の撚り合わせ方式を採用することと、『形状を特定する必要がない』ことが記載されており、(係争専利と)同様に、柄との結合により脱落しにくくなるという効果を奏している。加えて、図面には、既にブラシホルダーの線材を撚り合わせ挟み込んで固定することによって、当該毛がブラシホルダーの外に横向きに突出するという技術的特徴が開示されているので、それが属する技術の分野における通常の知識を有する者は、これらの開示内容に基づいて、特許請求の範囲の技術的特徴を『直接かつ一義的に』知ることができるため、係争専利は新規性を具えないと結論づけることができる」と判示した。
 
102年(西暦2013年)行専訴字第48号判決:主要な引例の文言記載には「軸柱」の具体的な形状、たとえばその上の栓槽の形状や「凸縁」など係争専利に関する特徴については全く言及されていないため、その図面における開示が「専利審査基準」に規定される「明確」の程度に達しており「引例に開示されている部分」であると認めることができるか否かが争点となった。裁判所は双方の要求を認めて証人を出廷させ、当該引例の図面の開示について意見を述べさせ、さらに判決において前述の審査基準の規定を引用した。しかし、図面にどの程度まで開示すれば「明確」であると認め、引用することができるかという点については、最終的に裁判所が具体的な判断基準を提示することはなく、当該図面が係争専利のいくつかの特徴を開示している理由として、「当該図面に、直径が変化する階段状の中空の軸柱が既に開示されている」、「当該技芸を熟知する者は当該図に基づいて理解することができる」点などを示し、係争専利は進歩性を具えないと判示した。
 
従来技術の図面は、係争専利の「出願日」又は「優先日」における技術水準に基づいてその内容を解釈しなければならない。従来技術に係る文言に係争専利の主要な特徴が明確に開示されておらず、また、当該専利に対し無効審判が請求されるまでに、又は裁判所が専利権侵害に係る民事訴訟を審理するまでに何年も経過している場合、いかにして正確な判断プロセスと基準を定め、それらの図面が出願当時に示していた意味を正確に解釈するのかについては、今後の智慧財産局と裁判所の動向が注視される。


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