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裁判所の判決にも禁反言原則を適用



台湾「専利法」(※日本の特許法、実用新案法、意匠法に相当)には、「何人」も、同一の特許権に対して、無効審判を提起してその特許権の取消しを請求することができる、と規定されており、後から無効審判請求を提起した者の主張する事実及び証拠が、既に無効審判不成立の審決が下されている、先に提起された無効審判請求案の請求人が主張する事実及び証拠と異なりさえすればそれでよい。したがって、実務上、同一の特許が前後して同一人又は異なる者から複数の無効審判請求を提起される情況が散見され、とりわけ、特許権侵害訴訟進行中の特許にはよく見られる。
同一の特許に対し、前後して複数の無効審判請求案が提出され、それらが前後して行政訴訟手続に入ったとき、行政裁判所が当該同一の特許(即ち、無効審判請求を提起された特許)について異なる認識及び理解を有すると、当事者はどう対応してよいのか戸惑う。最高行政裁判所は2013911日に作成した102年(西暦2013年)度判字第576号判決のなかで、このような情況について、「判決には『禁反言』の法原則を適用しなければならない」と明確に判示している。最高行政裁判所は、「特許制度について言えば、引例証拠が異なりさえすれば、1つの特許につき複数の無効審判請求を提起することができる。但し、何件の無効審判請求があろうとも、当該無効審判請求を提起された特許の解釈は同じはずである」との基本原則を具体的に指摘する以外に、「たとえ判決の妥当性を考慮して以前の判決で認定した事実を変更しようとする場合であっても、いっそう慎重でなければならず、特に手続の遵守及び実体事項と法律上の弁論に注意しなければならない」ということを事実審裁判所に再度、提示している。最高行政裁判所は、当該無効審判請求案の事実審裁判所の係争特許範囲の解釈と、それ以前に確定した判決で認定されていた特許技術特徴及び作用が全く異なっていることを理由に、原審判決を破棄して「更審」(※最高裁で原審判決が破棄された場合、高等裁判所に差し戻され、再審理されることになり、これを「更審」という)に差し戻した。
特筆すべきは、最高行政裁判所がこの判決のなかで、当該無効審判請求案の「更審」後、合議法廷の各裁判官がそれぞれ技術審査官を指名するよう、一歩踏み込んだ提案を事実審裁判所に行った点である。かかる提案は、合議法廷の3人の裁判官それぞれが指名した、計3名の技術審査官が審理に参加することで、衆知を集めて有益な意見を広く吸収し、より適切な意見陳述を裁判官に行うことによって、合議法廷が最も正確な事実判断を慎重に行うことができるよう期すものである。これは、知的財産裁判所が各案件ごとに1名の技術審査官を指名して審理に参加させることしかできない現在の実務とは全く異なる。前記最高行政裁判所の判決が、今後、技術審査官制度の運用及び知的財産裁判所の審理にどのような影響を及ぼすのか、注視していく必要がある。
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