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お知らせ:台湾専利法改正案が2011年11月29日に可決



台湾「専利法」(※日本の特許法、実用新案法、意匠法を含む。)の改正案が20091211日から約2年間の立法院(日本の国会に相当)での審議を経て、20111129日に可決されました。今回の「専利法」改正は全面改正であり、可決された条文は計159条(改正108条、追加規定36条、削除15条)に上ります。その施行日は行政院(日本の内閣に相当)が改めて定めることになっており、公布から1年後(2012年年末)には、施行される見込みです。

現行の「専利法」は、200471日に施行されてから既に7年が経過しました。行政院は、国内産業のイノベーション、研究開発、専利審査手続の健全化及び専利権保護の強化を促進し、我が国の専利制度と国際基準との協調を図るべく、「専利法」改正案を立法院に提出し、約2年間にわたる審議のすえ、このたびの可決となりました。(「専利法」改正に関する台湾特許庁の公告は、こちら

今回の改正の重点は以下のとおりです。
(1) 新規性喪失の例外規定
  新規性喪失の例外規定を進歩性(意匠権においては、創作性)にも適用する。また、新規性喪失の例外規定を適用するための理由として、「出願人が自らの意思により刊行物に発表した場合」を追加した。(改正法第22条及び第122条)
(2) 特許請求の範囲と要約書の位置づけ
  国際的な趨勢に合わせて、特許請求の範囲と要約書を明細書から独立させた。(改正法第23条及び第25条)
(3) 権利の回復
  出願時に、故意にではなく優先権を主張しなかったため、及び期限内に専利年金を納付しなかったために専利権を失った場合、権利回復を認める。また、回復した専利権の効力は、元の専利権の消滅から、その回復が公告されるまでの間、善意により実施した、又は必要な準備を完成したものに及ばない。(改正法第29条、第52条、第59条及び第70条)
(4) 誤訳の訂正
  外国語明細書で出願を提出した場合、「当該外国語明細書の補正はできないが、誤訳の訂正は可能」とする規定を設けた。また、主務官庁に外国語の種類を限定する権限を付与した。(改正法第25条、第44条、第67条、第106条、第110条、第125条、第133条、第139条及び第145条)
(5) 自発補正の時期的制限
  自発補正ができる時期の制限を廃止した。(改正法第43条)
(6) 分割出願の時期的制限
  発明特許出願につき、初審査の特許査定後30日以内にも分割出願を提出することができるよう規定を緩和した。ただし、再審査査定(再審査許可査定又は再審査拒絶査定)後には、依然として分割出願を提出することができない。(改正法第34条)
(7) 最終理由通知書制度
  「最終理由通知書」の制度を導入した。「最終理由通知書」を受領した場合、特許請求の範囲の補正は特定の事由に限定される。(改正法第43条)
(8) 医薬品又は農薬品の専利権存続期間の延長登録
  延長登録可能期間の下限規定(公告後2年以上)を廃止した。特許存続期間満了後も延長登録出願の審査がまだ査定されていない場合、存続期間が延長されたとみなす。また、延長登録できる範囲が許可書に記載される有効成分及び用途に限定された。(改正法第53条、第54条及び第56条)
(9) 専利権の効力が及ばない範囲
  特許権の効力が及ばない範囲として、商業目的ではない未公開の行為、専利権の回復が公告されるまでの善意による実施又は必要な準備、薬事法が定めた許認可を取得するための研究・試験その他必要な行為を追加規定した。さらに、権利の消尽については、国際的消尽論を採用することを明確にした。(改正法第59条及び第60条)
(10) 実施権の設定
  専用実施権と通常実施権を明確に定義し、それらの再許諾に関する規定を追加した。(改正法第62条及び第63条)
(11) 無効審判制度
  主務官庁の職権による無効審判請求の制度を廃止し、無効理由の規定を改正した。また、一部の請求項に対し無効審判を請求できるとの規定を追加した。さらに、無効審判の審理手続を改正し、審理手続中の職権審理、複数の無効審判の併合審理、複数の無効審判の併合審決、無効審判と訂正の併合審理、及び無効審判請求の取下げができるようにした。また、行政訴訟段階で提出された新証拠に対しても、一事不再理の原則を適用する。(改正法第71条、第73条、第75条及び第78条~第82条)
(12) 強制実施権の設定
  強制実施権の設定に係る事由・要件などの関連規定を改正した。また、強制実施権を設定する処分と同時に、補償金を算定する規定を追加した。(改正法第87条~第89条)
(13) 公衆衛生問題
  開発途上国及び低開発国の公衆衛生問題の解決を支援するため、必要な医薬品の製造について強制実施権を設定できる規定を追加し、強制実施権を設定できる範囲を明文化した。(改正法第90条及び第91条)
(14) 特許権の侵害
  損害賠償請求権及び侵害排除・防止の請求権に係る規定、侵害者に主観的故意又は過失がない場合、損害賠償を請求することができないとする規定、合理的な実施料に基づいて損害賠償金額を算定する規定などを追加した。また、特許表示をしていないものについては、損害賠償を請求することができないとする規定を削除した。(改正法第96条~第98条)
(15) 実用新案と特許の二重出願制度
  同一人が同日に発明特許と実用新案登録をそれぞれ出願できるとの規定を追加した。智慧財産局(日本の特許庁に相当)が発明特許を付与することができると認め、出願人にいずれか1つを選択するよう通知した場合において、出願人が発明特許を選択したときは、実用新案権は最初からなかったものとする。(改正法第32条、第112条、第117条及び第118条)
(16) 意匠制度の改正
  部分意匠制度を導入し、コンピューターアイコン(icon)、使用者の図形インターフェイス(GUI)、及び組物の意匠登録を認め、関連意匠制度を新たに設けるとともに、類似意匠制度を廃止した。(改正法第121条、第127条及び第129条)。
 
 また、行政院が提出した改正案には、当初、動植物特許を全面的に認めることが盛り込まれていましたが、各界のコンセンサスを得ることができず、「専利法」改正を遅滞なく進めるため、今回の改正範囲には含まれませんでした。

今回の「専利法」改正は、多くの制度変革にかかわるものであり、各界が改正後の制度に十分に対応できるよう、施行日については、行政院が改めて定めることになっています。このほか、関連法律、審査基準、書式及び電子管理システムの修正を含むその他の関連事項については、既に智慧財産局が積極的に進めています。

以上、特許法改正案成立の概要をお知らせいたしました。当所からは、追って改正法全条文の日本語訳及び解説をご提供するとともに、関連事項の進捗状況も随時ご報告する予定です。

ご質問、お気づきの点、ご要望などございましたら、お気軽に林(chlin@leeandli.com)までお問い合わせください。

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