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専利権の帰属をめぐる紛争が生じた時、共同発明者をどう証明するか



複数の者が共同で研究開発を行っているが、専利(特許、実用新案、意匠を含む)出願の際に一部の者だけが発明者及や専利出願人として記載されている場合、専利権の帰属をめぐる紛争がしばしば発生する。このような紛争が発生した場合、権益を侵害された者は、どのようにして自分が当該専利の共同発明者であることを証明すればよいのであろうか

 
発明者の認定について、知的財産・商業裁判所は、かつて、以下の判断基準を示したことがある。発明者とは、実際に研究開発を行い、かつ、専利請求の範囲に記載された技術的特徴について実質的に貢献した自然人をいう。専利請求の範囲に複数の請求項が記載されている場合、発明者は必ずしも各請求項に寄与する必要はなく、1つ又は複数の請求項のみに寄与した場合は、共同発明者として表示することができる。「実質的に寄与した者」とは、発明を完成させるために、その発明が解決しようとする課題又は達成しようとする効果に対して着想(conception)を練り、さらにその着想を実現するための具体的かつ達成可能な技術手段を提案するという精神的創作を行った者をいう(知的財産・商業裁判所102年(西暦2013年)度民専上字第23号民事判決を参照)。
 
最高裁判所は、さらに以下の見解を示している。共同発明者は、専利請求の範囲の着想に実質的に寄与したことを、明確かつ説得力のある証拠をもって証明しなければならない。専利出願のポートフォリオ全体に関する具体的な着想がなく、単に発明者に通常の知識を提供したり、関連技術を説明したりする場合、又は発明者の着想を実施するための通常の技術者だけである場合、ひいては、発明の過程において、単にアイデアを示したり、課題について指導や啓発的意見を与えるだけで、作業の分業管理、指導、準備だけを担当し、発明の内容を具体的に創作していない場合は、いずれも発明者又は共同発明者とは認められない(最高裁判所104年(西暦2015年)度台上字第2077号民事裁定を参照)。
 
よって、裁判実務では、発明者の認定には、「専利請求の範囲に記載された技術的特徴」と、共同発明者と主張する者(以下「請求人」という)が提出した「専利出願前の創作証拠」とを対比することが多い。当該技術的特徴が創作証拠によって開示された場合、請求人が当該技術的特徴に実質的に寄与したと認められる可能性がある。例えば、知的財産・商業裁判所が2023112日付で下した民事判決では、請求人が提出した複数の往復メールには、当該専利の技術的特徴に関する技術的提案が確実に含まれていると認められるため、裁判所に請求人が当該専利請求の範囲に実質的に寄与したと判断され、共同発明者と認定された(知的財産・商業裁判所111年(西暦2022年)度民専上字第24号民事判決を参照)。
 
一方、裁判所が、請求人が提出した証拠(Lineのトーク履歴、会議の議事録、電子メール、技術文書などを問わない)の内容が、当該技術的特徴とは無関係又は著しく異なる内容で、課題の解決や効果の達成に用いる係争専利の創作内容ではないと判断した場合には、当該証拠は、係争専利に対する請求人の実質的な寄与を証明できず(知的財産・商業裁判所111年度(西暦2022年)度民専上字第16号民事判決を参照)、共同発明者として主張できないと認められることもある。
 

よって、共同発明の場合、その実質的発明者は、専利権の帰属をめぐる紛争が生じた場合に、実質的寄与の事実を立証するために、専利技術内容に関する創作証拠を適切に保存しておく必要がある。

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