ホーム >> ニュース、出版物など >> ニューズレター

ニューズレター

搜尋

  • 年度搜尋:
  • 專業領域:
  • 時間區間:
    ~
  • 關鍵字:

他人の商標をハッシュタグとして使用することは商標権侵害又は不正競争行為のいずれにも該当しない


Ruey-Sen Tsai/Celia Tao

ハッシュタグ(Hashtag)は、ソーシャルメディアやオンラインショッピングプラットフォームでよく見られるもので、キーワードをクリック可能なリンクに変換するタグである。キーワードハッシュマーク(#)を付ければ、ユーザーがこのキーワードをクリックすると、ソーシャルメディア又はオンラインショッピングプラットフォームで、同じキーワードのハッシュタグが付いた投稿を見つけることができる。ハッシュタグは、それぞれの独立したソーシャルメディアの投稿を収集、リンクできることから、さらに多くの企業が、その投稿の可視性を高めるために、ハッシュタグを使用し始めている。ただし、他人の商標を含むハッシュタグ商標を自分の投稿に掲載すると、実務上、他人の商標権の侵害又は不正競争行為を構成することになるかどうかはまだ明らかでなく、今後の解明が待たれる。この議論について、知的財産裁判所は最近、108年(2019年)度民商訴字第12号民事判決の具体的な個別案において参考に値する見解した

 

本件原告は、オンラインアパレル販売事業者であり、「QQBOW」をブランドとして電子商取引サイトを設立し、さまざまな種類のアパレル、バッグパーツ、アクセサリーなどを販売し、すでに「QQBOW」の商標登録を取得している。原告は、被告が原告の同意を得ずに、ショッピングプラットフォーム上の商品説明に付けたハッシュタグ「#QQBOW」に原告の商標を使用し、原告と同じデザインの衣服やアクセサリーを販売したことは原告の商標権を侵害しているほか、公平交易法(日本の「不正競争防止法」、「独占禁止法」に相当)第25条の規定にも違反ている、と主張した。

 

これに対し、被告は次のように反論した。商品説明で使用された「#QQBOW」という文字は、ショッピングプラットフォームが提供するハッシュタグ機能によって設定されたものである。当該ハッシュタグは、商品説明にラベル機能を追加することにより、ショッピングプラットフォーム上の「QQBOW」テーマに関連する全ての情報を結び付けるものである。よって、ハッシュタグという機能の本質は、商品や役務の出所を示すものではなく、特定の商品の「所在の位置」を示すツールに過ぎない。

 

これに対して知的財産裁判所は次のように判示した。まず、商標法第5条においては、商標の使用は、少なくとも使用者がその「主観」において販売を目的として使用し、かつその使用が「客観」的に、関連する消費者にそれが商標であると認識させるに足りるなどの要件を満たさなければならないと明文で規定されている。本件事実について、「#QQBOW」は、「QQBOW」にハッシュタグを付けることで、ユーザーがハッシュタグを通して同じプラットフォームに同じハッシュタグが付けられた投稿にリンクできるものである。これらのハッシュタグの使用方式はソーシャルメディアプラットフォームのユーザーに知られており、客観的に消費者にそれが商標であると認識させるには足りるものではないことから、商標としての使用ではなく、原告の商標権の侵害とはならない。

 

公平交易法第25条に関する原告主張については、知的財産裁判所は次のように判示した。原告は、被告の「QQBOW」の使用行為が取引秩序に影響するに足りる欺瞞又は著しく公正さを欠く行為であるか否か及びその程度の判断事項例えば取引秩序にどのように影響するか、被害者の数、損害の大きさと程度など)については、いずれも立証されなかった。したがって、被告行為が公平交易法第25条に違反したという原告の主張も採用できない。 

回上一頁