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「ワイン又は蒸留酒」の地理的表示と同一又は類似の中国語訳名は商標登録できない


Ruey-Sen Tsai/Celia Tao

ワイン又は蒸留酒の風味は、産地の自然条件や文化的背景と密接に関係している。また、ワインや蒸留酒を選ぶとき、消費者もよく産地を参考にしている。したがって、ワイン又は蒸留酒の産地名を保護するために、台湾商標法第30条第1項第9号では、商標が、台湾又は外国のワイン又は蒸留酒の地理的表示と同一又は類似し、かつワイン又は蒸留酒と同一又は類似の商品に使用を指定し、さらにその外国と台湾が協定を締結しているか又はいずれも国際条約に参加しているか、又はワイン又は蒸留酒の地理的表示の保護を相互に承認している場合は、登録を受けることができない、と規定されている。

 

台湾の公用語は中国語であるが、外国のワイン又は蒸留酒の原産地名の原文は、台湾の消費者にとってうまく発音できない外国語である可能性がある。称呼やマーケティングの便宜のために、人々やワインメーカーは、往々にして産地名の原文を自ら中国語に翻訳する。これらの外国ワイン又は蒸留酒の産地名の中国語訳名に対し、知的財産裁判所は最近、108年(西暦2019年)度行商訴字第32号行政判決の具体的な個別案で、中国語訳名についても、商標法第30条第1項第9号の規定を適用することができることを認めた。

 

本件商標出願人は、台湾の外国洋酒の輸入業者で、「托凱(中国語の発音:TUO KAI)」と「皇家托凱(HUANG JIA TUO KAI)」両商標を、商品役務区分表第33類の「アルコール(ビールを除く);ワイン」の商品での使用を指定して経済部智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当。以下「智慧局」という)に出願した。本件参加人は、これらの商標は欧州委員会によって登録された「Tokaj/Tokaji」ハンガリーのワイン産地名と類似しているとして、商標法第30条第1項第9号に基づいて上記両商標に対して無効審判を請求した。智慧局は審査を経て、上記両商標に対して無効審判請求が成立し、その登録を取り消す旨の審決を下した。

 

本件の商標出願人は次のように主張した。「托凱」と「皇家托凱」の名称は、ハンガリーの「Tokaj」地区の「Royal Tokaji Boraszati Zrt」ワイナリーに由来するものであり、これは、既存の翻訳名称を意図的に回避し、かなりの時間をかけて独自に創造されたものである。外国語の地名「Tokaj」の正式な中国語訳名は「托卡伊(TOU KA YI)」であるべきで、本件商標の「托凱」又は「皇家托凱」の外観、称呼及び観念のいずれとも類似していない。

 

これに対し、知的財産裁判所はまず、「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」(以下「TRIPS」協定という)第23条により、「ワイン又は蒸留酒」の地理的表示と同一又は類似の表示に該当すれば足り、「公衆を誤認させる」必要はなく、翻訳用語又は補足説明が、当該産地の商品と同じ種類、同じタイプ、同じスタイル、類似又は他の類似のマークであっても禁止されている、と述べた。

 

知的財産裁判所はさらに、その職権調査の結果に基づいて以下の見解を示した。Tokaj/ Tokajiワイン産地名の中国語訳名について、本件登録商標の出願日前にすでに「托凱(TUO KAI)」、「拓凱(TUO KAI)」又は「多凱(DO KAI)」などさまざまな中国語訳名があると指摘した。原告が主張した正式な中国語訳名「托卡伊(TOU KA YI)」はその中の1つに過ぎない。このほか、商標が台湾又は外国の「ワイン又は蒸留酒」の地理的表示と同一又は類似しているか否かは、商標権者の主観的な認識又はそのデザインの経緯を問わず、消費者の目の前に提示された図案によって判断されるべきである。台湾とハンガリーがいずれもTRIPS」協定の国際条約に参加し、また、「托凱」の読み方外国語Tokaj/Tokajiの音訳の発音と似ていることを鑑みて、知的財産裁判所は、托凱」及び「皇家托凱」に対する智慧局の登録取消の審決を維持した。 

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