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他人の商標を使用したドメインネームでネットユーザーを賭博サイトに誤導することはドメインネームの不正使用に該当する


Ruey-Sen Tsai/Celia Tao

 ドメインネーム(Domain name)は住所プレートと同じく、インターネットユーザーがサイトにアクセスするための主な識別子の一つであり、覚えやすく識別度の高いドメインネームは往々にして比較的高い露出度を有する。従来、不法なアダルトサイト又は賭博サイトの経営者には、その経営するサイトのアクセス数を増やすため、著名ブランドの商標をドメインネームとして登録し、ネットユーザーをサイトへアクセスするよう誤導することがよく見受けられた。これらの行為は商標権者のサイト運営の正当な権利に影響するだけでなく、さらに商標権者が苦労して築き上げたブランドや商業的信用を損なってしまう可能性もある。

 

現在、台湾のドメインネーム紛争の実務に基づくと、ドメインネーム登録が以下のいずれかに該当する場合、商標権者は《財団法人台湾ネット情報センタードメインネーム紛争処理法》(中国語:「財團法人台灣網路資訊中心網域名稱爭議處理辦法」、以下《処理法》という)に基づき、紛争処理機関に申し立てることができる。

 

一、ドメインネームと申立人の商標、標章、氏名、事業名称又はその他標識が同一又は類似し、混同を生じる場合。

二、登録者そのドメインネームについての権利又は正当な利益を有していない場合。

三、登録者が悪意によりドメインネームを登録又は使用をした場合。

 

その中で、他人の商標を故意に利用しネットユーザーを不法賭博サイトへアクセスするよう誤導することは、過去のドメインネーム紛争の実務においては、「悪意による登録」又は「悪意による使用」の態様として認定されることが多かった。その例として、台北弁護士会が最近下した、seagen.tw108年網爭字第002号)に関する紛争決定を例として取り上げたい。

 

本件申立人は以下の事実を主張した。先ず、自身が提供する医薬品ブランドは既に70カ国以上の許可を受けて市場に販売されており、世界的に高い信用を得ている。申立人は長期にわたり「SEAGEN」をその会社名称として使用、紹介し、かつ、世界各国で「SEAGEN」商標を登録してきた。また、ドメインネーム登録者(以下「登録者」という)は台湾では「SEAGEN」についていかなる商標も取得したことはなく、登録者の名称は「SEAGEN」商標とは何ら関連もない。さらには、登録者はseagen.twを台湾地区のユーザーの閲覧に制限し、当該ドメインネームを賭博サイトにおいて使用し、台湾領域外のIPアドレスのネットユーザーへ賭博サービスを提供していた。

 

台北弁護士会の専門家チームは先ず、登録者が悪意により係争ドメインネームを使用したか否かについては、《処理法》に基づき以下の各号の状況を参酌してこれを認定することができると説明した。

 

一、登録者が当該ドメインネームを登録又は取得する主な目的は、ドメインネームの売却、貸し出し又はその他の方法により、申立人又はその他の競争者から当該ドメインネームの登録に必要な関連費用を超える利益を獲得することにある場合。

二、登録者による当該ドメインネームの登録が、申立人の当該商標、標章、氏名、事業名称又はその他標識を使用してドメインネームを登録することを妨害することを目的とするものである場合。

三、登録者が当該ドメインネームを登録する主な目的が、競争者の商業活動を妨害するためのものである場合。

四、登録者が営利のために、意図的に申立人の商標、標章、氏名、事業名称又はその他標識と混同を引き起こし、ネットユーザーを登録者のサイト又はその他のウェブサイトを閲覧するよう誘引、誤導する場合。

 

台北弁護士会の専門家チームはさらに以下のように強調している。上記各号の解釈はいずれも「悪意による登録」又は「悪意による使用」に該当するか否かを認定する参酌要素であり、例示規定に過ぎず、当該条項に列挙されている各号の状況に限るものではない。また、その中の一つ又は複数の状況、登録者によるドメインネームの「悪意による登録」又は「悪意による使用」を認定するに足りる場合も、当該規定に該当すると認められ、上記に掲げるものをすべて満たす必要はない。

 

本件について、台北弁護士会の専門家チームは以下のように指摘した。登録者の行為はseagen.twと申立人の商標及び事業名称との間の混同を利用し、意図的にネットユーザーを登録者のサイト又はその他のウェブサイトを閲覧するよう誤導することにより、その営利目的を達成する行為である。上記行為は、登録者が意図的にネットユーザーを登録者のサイトを閲覧するよう誘引、誤導し、申立人の商業活動を妨害していることは明らかであることから、《処理法》第5条第1項第3号の状況に該当する。

  


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