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工商秘密と営業秘密の要件の違い



 従来の営業秘密法では、営業秘密侵害に関する刑事罰が設けられていなかった。そのため、当時ほとんどの場合において、実際の違法状況に応じ、工商秘密漏洩罪、窃盗罪、横領罪、背任罪及び電磁的記録の無断取得・削除・変更罪が適用された。2013130日に改正営業秘密法では、刑事罰に関する規定(すなわち第13-1~第13-4条)が新設され、「営業秘密」の侵害行為についてようやく刑事罰が科されることとなった。

 

刑法第317条の「工商秘密漏洩罪」と営業秘密侵害との適用にそれぞれ異なる必要はあるのか。これについて、知的財産裁判所の108年(2019年)度刑智上易字第10号刑事判決(判決日:201952日)では、以下のような見解が示された。刑法第317条は1935年に制定されてから、一度も改正されていない。それは営業秘密法の制定より60年以上前に制定されたもので、刑法制定当時の背景からみると、制定当時、工商秘密に対して現行の営業秘密法に求められるような営業秘密の三要件を満たす要求が既にあったとは認め難く、かつ、営業秘密法の立法目的は、工商秘密の無断漏洩罪の適用範囲を制限するために用いられるものではなく、刑罰の程度についても工商秘密の無断漏洩罪と異なるため、営業秘密法における営業秘密の定義により刑法第317条の工商秘密の適用を制限することはできない。工商秘密と営業秘密の内容はまったく同じではない。工商秘密漏洩罪は工業、商業の秘密情報を保護するものである以上、所有者が当該情報をその経済的利益を生み出すために用いることができるだけで十分で、かつ、所有者が主観的に他人が当該情報を知悉することを望まないとともにそれを秘密として保護し、客観的に当該情報が所有者の工商秘密であることを、法令又は契約により当該情報の持有者に知悉させることができ、かつ、実際には所有者の秘密保持行為により、当該情報は確かに未公開になっている場合、刑法第317条の工商秘密に該当する。つまり、その判断基準は営業秘密よりも緩いようである。

 

本件では、被告も証人も両方とも「工事進捗管理追跡表」が秘密とすべき社内文書であることを認識しているが、当該文書は、「通常、オフィス内の文書キャビネットに掲示されており、従業員や提携先又は潜在的な提携先であれば誰でも見られる...会社の従業員であれば誰でも見ることができる」ものであることを示す証拠がある。これに対して裁判所は、「育栄社の従業員数は13名しかいない。その会社の規模と工事進捗管理追跡表の機能を考慮すると、育栄社は、当該工事進捗管理追跡表に対して職級に基づく秘密保持などの措置を講じ、当該情報をアクセスできるものを制限する必要はない。また、当該管理表はA4サイズのみであるため、オフィス内の文書キャビネットに掲示されたとしても、わざと近づいて見ないと、その内容を容易に知ることはできない」ことから、「当該管理表が文書キャビネットに置かれたとしても、誰でも容易に当該情報を知り得るものではない」として、非公開の情報に該当するとした。これにより、裁判所は最終的に、「育栄社の上記行為により、当該工事進捗管理追跡表が客観的に非公開になり、かつ、被告は、当該情報が育榮社の秘密であることも主観的に認識することができることから、本件の工事進捗管理追跡表は育栄社に対して経済価値を有するものであり、かつ、他人に知られたくない非公開の工商秘密であることは明らかである」と判断した。被告は「工事進捗管理追跡表」が秘密にすべき情報であることを知りながら、第三者に漏洩したことは、当該会社の工商秘密を漏洩した行為に該当するのは当然である。

 

一方、営業秘密の案件において、このような工事進捗管理追跡表を文書キャビネットに張り、誰でも閲覧可能な状態で保管する状況は、一般に、当該会社は適切な秘密保持措置を講じておらず、秘密性の要件を満たしていないと思われる。しかし、裁判所は、刑法の工商秘密において、秘密の保有者の秘密保持措置により、当該情報が確かに未公開になっていれば十分であり、営業秘密に求められる秘密保持措置のような程度に達する必要はないとした。

 

上述したとおり、営業秘密の侵害行為について刑事責任が問われるが、その要件を構成する難易度が比較的高いため、個別案件において工商秘密漏洩罪の構成要件を満たす場合、依然として主張を支える法的根拠を個別に検討しなければならない。

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