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誤認・混同を引き起こす可能性があると明らかに知りながら外国語商標の中国語訳名を商標として出願することは、善意ではないため保護されるべきでない


Ruey-Sen Tsai/Celia Tao

 台湾市場の開拓のため、また台湾の消費者が識別又は呼称しやすいよう、外国企業はその商品の外国語商標とは別に中国語訳の名称を持っていることが多い。中国語には「一詞多音(一字に複数の読み)」又は「一詞多義(一字に複数の意味)」という特色があることから、同じ外国語名称について異なる名称に翻訳されることが往々にしてある。しかしながら、外国語商標とその中国語訳名だけを相互に対比すると、両者の類似性は、必ずしも伝統的な商標法における類似の基準を満たすとは限らない。外国語商標の中国語訳名が先取り登録された場合、外国語商標とその中国語訳名との間に、誤認・混同が生じるおそれがあるか否かをどのように判断するのかについては、実務上よく議論されていることである。この議論について、知的財産裁判所は107年(西暦2018年)度行商訴字第78号行政判決の具体的な個別案件の中で、台湾の消費者に誤認・混同を引き起こす可能性があると明らかに知りながら外国語商標の中国語訳名を商標として出願することは、善意でなされたものではないため保護されるべきでない、と指摘している。

 

本件の参加人はフランスの化粧品会社であり、原告は参加人の台湾での販売代理店である。参加人は本来その外国語商標(以下、「引用商標」という)の唯一の中国語訳名を決定しており、さらに販売代理店契約において原告はその外国語商標に関連する商標又は知的財産権を登録してはならない旨が明記されていた。しかしながら、原告及びその関連会社は、参加人が決定した中国語名称を使用せず、さらにマーケティング統合に必要であるとして、自らが考案した別の中国語訳名(以下、「係争商標」という)を登録出願し、販売代理期間はかかる中国語訳名のみを使用した、と主張した。その後、参加人は原告に対し代理権を撤回する意向を示した際に、初めて原告が台湾で販売活動を行うときに使用したその商標の中国語訳名は原告自らが登録出願したものであることが分かった。よって、智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当。以下「智慧局」という)に対し原告の係争商標は取消されるべきであると主張し異議を申し立てた。原告は智慧局の決定を不服とし、訴願後の訴願決定も不服として、本件行政訴訟を提起した。

 

原告は、その自らが考案した中国語訳名は自ら発想し独創したものであり、参加人の外国語商標の発音とは異なり、かつ、台湾の消費者の大部分は、参加者の外国語商標を容易に発音することができないため、類似していない、と主張した。これに対し、知的財産裁判所は、原告及びその関連会社は、そのウェブサイトにおいて係争商標と引用商標を共同で使用しており、かつ、係争商標の前に「法国(注:フランス)」の文字を加えることで、係争商標が参加人の商品であることを表示していたと指摘した。このほかに、知的財産裁判所はさらに、本件の具体的事実について、原告もまた係争商標を参加人の会社名称の翻訳としたことは、係争商標を引用商標の翻訳として使用し、係争商標を引用商標として認識するよう関連の消費者に誤認・混同を引き起こす意図があることが明らかである、と指摘した。以上をまとめると、知的財産裁判所は原告が係争商標を登録したことは、引用商標へのフリーライドの主観的意図があり、善意によるものではないことから、商標法第30条第1項第10号の規定に違反する、と判示した。

 

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