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カタログ掲載の商品写真は独創性を有し、著作権法で保護されるべきものである


Ruey-Sen Tsai/Celia Tao

 台湾の著作権法第3条第1項第1号には、著作者が創作する精神的な作品は著作権法による保護を受けると明文で規定されている。精神的な作品とは、著作者独自の思想又は感情を表現したものであり、かつ一定の表現形式が必要であるなどの要件を満たすほか、さらに「独創性(中国語では「原創性」)を有さなければならないものをいう。「独創性」には「オリジナリティoriginality)」及び「創作性(creativity)」という二つの要素が含まれ、「オリジナリティ」とは著作者が創作したときに他人の著作物を剽窃又は盗用することなく独自に創作を完成させることをいい、「創作性」とは創作は既存の作品と区別することができ、著作者の個性を表現するに足りるものをいう。

 

カメラや感光材料などの道具を用いて完成された「撮影著作物」について、機械の機能や技術の操作に依存する面が極めて大きいという性質があることから、「創作性」を有するか否かを判断する際、個別案件により認定すべきである。例えば、カタログに掲載されている商品写真は通常、マーケティングや説明のため、静態的な商品を忠実に写し出したものにすぎない。このような商品写真に著作物としての創作性が認められるか否かについて、従来の実務ではずっと議論されてきた。最近、知的財産裁判所は、107年(西暦2018年)度刑智上訴字第1号刑事判決にて、撮影著作物の「創作性」をどう評価すべきかについての見解を示し、参考に値するものとなっている

 

本件の告訴人は機械部品を製造している会社であり、被告はかつて告訴人の営業を務めたことがあった。被告は会社を辞めた後、第三者の会社の機械部品を販売するため、告訴人の会社のカタログに掲載されている機械部品の写真及びAutoCADによる商品形状図を第三者の会社のウェブサイトにアップロードした。その後、告訴人が第三者の会社のウェブサイトを閲覧した際上述の事情を知ったため告訴を提起した

 

被告は、第三者の会社のウェブサイトに商品写真及びAutoCADによる商品形状図アップロードしたと認め、さらに自分がインターネット上からその写真などをダウンロードして貼り付けたと指摘したが、無断で複製する方法で他人の著作権を侵害したという犯行については否認した。被告は、告訴人の会社のカタログに掲載されている商品写真やAutoCADによる商品形状図については、インターネット上にそれらに類似したものが多数あるため、独創性に欠け、著作権法による保護を受けることができるものではないと反論した。これに対し、知的財産裁判所はまず、著作権法で要求される「創作性」の程度は比較的低く、微かな程度で、創作者個人の精神的な活動を表現するに足りるものであればよい、と明らかにした。また、現代の科学技術の進歩に伴い、スマートフォンのカメラにも様々な撮影モードが搭載されているため、撮影著作物の「創作性」の有無に関しては、もはや撮影者が「絞り、被写界深度、光の量、シャッター速度」などの撮影技術を使用するか否かにより判断するのではなく、撮影者が撮影中に頭の中に現れる独創的なアイデアをもって、制作過程において撮影テーマ、被写体、撮影角度、構図などに対して選択及び調整を行えば、客観的に創作者の思想、感情を表現したものであり、著作権法によって保護されるべきである、との見解を示した。

 

知的財産裁判所はさらに、本件の具体的事実について以下のように指摘した。告訴人の商品写真及び創作過程の書類、その撮影中の照明の選択、角度調整、及び3次元空間の立体感の表現から見て、確かに創作者が商品の特色を強調して消費者を引き付けるための創作内容を表現することができるものである。したがって、告訴人の商品写真は商品(静物)を撮影したものであるが、創作過程の書類及び商品写真の表現形式から見れば、その写真はすでに著作権法上の「最低限の創作性」の要求を満たしており、創作性を有するものであり、また、これらの写真は確かに告訴人の証人によって創作されたもので、他人の著作物を剽窃したものではないため、「オリジナリティ」を有することが認められる。以上をまとめると、告訴人の商品写真は独創性を有て、著作権法によって保護されるべきものである、とした。


 

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