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著作権法改正-新たな類型の侵害行為とその法的責任



 デジタル技術の進歩による新たな類型の侵害行為の出現に伴い、事業者が違法な映像・音声コンテンツを視聴可能なウェブサイトにアクセスできる便利なルートを公衆に提供することで、著作財産権者の合法的な権益に損害を与え、コンテンツ産業の発展に影響することを防止するため、立法院(日本の国会に相当)は2019416日に「著作権法第87条及び第93条」改正案を可決した。同年5月初めに総統により同改正案が公布され、発効した。今回の改正ポイントは以下のとおり。

 

(一) 権利侵害サイトへリンクするプログラムや設備などを提供する侵害行為の類型を新設

 

台湾著作権法(以下、「本法」という)第22条から第29条までは、著作者がその著作物の複製、公開口述、公開放送、公開上映、公開実演、公開伝送、公開展示、改作、貸与に関し排他的な権利を有することを明文化している。著作権者の許諾なしに上記行為のいずれかに従事することは著作権侵害に該当する。このほか、改正前の本法第87条には、以下に掲げる行為態様は、著作権又は製版権を侵害するものとみなすと規定されている。(1)著作者の名誉を害する方法によりその著作物を利用する場合、(2)製版権を侵害する物品と明らかに知ながらそれを頒布し、 又は頒布の目的をもって公開陳列又は所持する場合、(3)著作財産権者又は製版権者の許諾なしに複製された複製物又は製版物を輸入する場合、(4)著作財産権者の同意なしに著作物の原作品又はその海外の適法な複製物を輸入する場合、(5)コンピュータープログラムの著作財産権を侵害する複製物を業として使用する場合、(6)著作財産権を侵害する物品と明らかに知りながら、所有権の移転若しくは貸与以外の方法でそれを頒布する場合、又は著作財産権を侵害する物品と明らかに知りながら、頒布の目的をもって公開陳列又は所持する場合、(7)著作財産権者の同意又は許諾なしに、公衆にインターネットを通じて他人の著作物を公開伝送させ又は複製させ著作財産権を侵害することを目的として、公衆に対し著作物を公開伝送し又は複製できるコンピュータプログラム又はその他の技術を提供し、それにより利益を受ける場合。

 

上記の侵害行為はいずれも著作物又は複製物の著作権を直接的に侵害するものであるが、アプリケーション(以下、「アプリ」という)や設備は単にサイトに誘導するためのものである。公衆を、行為者が著作権侵害の違法な映像や音声などのコンテンツを提供するサイトに誘導する行為に関しては、旧法のもとではそのようなアプリ又は設備を提供する事業者に責任を直接課すことは困難であった。

 

著作財産権者の権利をよりよく保護し、そのようなプログラム、設備の提供者に法的責任を課すために、今回の改正では第87条第1項において第8号が新設され、三つの侵害行為の態様が追加された。

 

1)当該著作物の所在のIPアドレスを集めたコンピュータプログラムを公衆の利用に提供する。例えば、違法な映像・音声コンテンツを含むサイトへのリンクを集めたアプリをインターネットストア(注:例えばGoogle PlayAppleストアなど)にアップロードした場合。

2)上記(1)のコンピュータプログラムを公衆に利用させるために、指導、協力又はリンク先をを提供する。例えば、設備又は器材において、上記のコンピュータプログラムをインストールするよう公衆に指導、協力した場合。

3)上記(1)のコンピュータプログラムを搭載した設備又は器材を製造、輸入又は販売する。例えば、上記のコンピュータプログラムを搭載したセットトップボックス(STB)を製造、輸入又は販売した場合。

 

(二)刑事責任規定の新設

 

上記の違法なプログラムや設備の提供行為を効果的に抑制するために、今回の改正は刑事責任の規定を新設した。改正後の本法第93条第1項第4号の規定では、上記のような行為に対して2年以下の懲役、拘留若しくは50万台湾ドル以下の罰金に処し、又はこれを併科するといった刑事責任をすことができる。


 

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