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阻害要因に関する最高行政裁判所の見解



専利(特許、実用新案、意匠を含む)の進歩性有無を判断するにあたり、現行の台湾専利審査基準第3章第3.4.2節の規定により、関連する従来技術に開示された内容全体を考慮しなければならず、その中に専利出願に係る発明に対し阻害要因(teach away)があるか否かの考慮も含まれる。関連する従来技術に専利出願に係る発明に対し阻害要因がある場合、進歩性を肯定する要素があると判断することができる。

 

これについて、最高行政裁判所の2019214日付108年(西暦2019年)度判字第55号判決では、進歩性の判断にあたり、阻害要因が存在するか否かを考慮すべきであるとの見解が明確に示された。当該事件において、被上告人は、上告人の係争特許に対して無効審判を請求し、これに対し経済部智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当。以下「智慧局」という)は無効不成立の審決(維持審決)をした。被上告人はこれを不服として知的財産裁判所に行政訴訟を提起したが、同裁判所は審理の結果、審決とは逆の判断をし、係争特許は進歩性を欠き、無効にされるべきものと認めた。上告人はこれを不服として最高行政裁判所に行政訴訟を提起し、一部の関連する従来技術に阻害要因があるためそれらを組み合わせることができないと主張した。

 

最高行政裁判所は審理の結果、まず、「『阻害要因』とは、関連する引用文献の中に特許出願に係る発明を排除する教示又は示唆がすでに明確に記載又は実質的に示唆されていることを指し、引用文献の中に特許出願に係る発明の関連する技術的特徴を組み合わせることができないことが開示されている場合、又は引用文献に開示された技術内容に基づき、当業者が採用しないよう止められ、これらの技術内容が採用する方法に従わない場合を含む」と示した。上告人が述べた従来技術に係争特許と異なる技術手段が採用されたが、その他の従来技術と組み合わせることができないことが明確に記載又は実質的に示唆されておらず、よって、本件について阻害要因がないとして知的財産裁判所の判決を維持した。

 

行政行政裁判所の阻害要因に関する見解は、現行の特許審査基準の内容と同じであり、いずれも関連する引用文献の中に反対の教示がすでに明確に記載又は実質的に示唆されていることが求められる。よって、専利権者が関連する従来技術に阻害要因があると主張しようとする場合、特にその記載された段落を明確に指摘し、又は当該従来技術に反対の教示がどのように実質的に示唆されているかを説明しなければならず、従来技術にただ特許と異なる技術手段が採用されているだけである場合、裁判所はやはり阻害要因が存在しないと認める可能性がある。

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