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無効審判請求事件口頭審理作業方案の改訂


Jason Chuang

従来、我が国の専利(特許、実用新案、意匠を含む)無効審判制度は書面審理を原則としてきたが、必要な場合にのみ面接又は現場検証の手続に応じて審理を行うことができる。無効審判の審理手続の透明化、及び当事者による後続の行政救済手続の簡素化を図るため、智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当。以下「智慧局」という)は行政手続法における口頭審理(ヒアリング)制度を参酌した上で、2018330日付けで「無効審判請求事件口頭審理作業方案」(以下「2018年版」という)を公表し、即日適用した。当該方案適用後、無効審判においては、「3名の審判官からなる合議体、口頭弁論、公開審理」の形で口頭審理を行う選択肢があるようになった。局は20193月までに、合計12件の無効審判事件で口頭審理を実施した。10件以上の経験を積み重ねており、また、内部検討及び業界からの意見聴取を経た後、智慧局は、201942日に改訂の「無効審判請求事件口頭審理作業方案」(以下「2019年版」という)を公表し、即日適用した。

 

 

 

2019年版の改訂ポイントは、以下のとおりである。

 

 

 

(一)2018年版では、本来一方当事者が口頭審理の実施を請求するには、相手方の同意を得なければならないと規定されていたが、今回の改訂では、口頭審理の実施手続きが緩和され、一方当事者が請求すれば、相手方の同意を得ることなく実施することができるようになった。しかしながら、外部の懸念を避けるために、2019年版では、口頭審理実施の必要性の判断は依然として智慧局の裁量に委ねられるとされている。

 

 

 

(二)当事者による期日の変更、非公開等の手続に関する申請について、智慧局による取扱いを明文化した。

 

 

 

例えば、当事者が期日の変更を申請するときは、その具体的な理由を記載した申請書を添付して申請しなければならず、それに正当な理由があるときは、智慧局は口頭審理の期日の変更に同意することができるが、正当な理由がないときは、智慧局は予定どおりに口頭審理を実施する旨を通知する。また、当事者が口頭手続審理手続の公開が著しく公益に反し、又は当事者の利益に重大な損害を与えるおそれがあると認めた場合は、その具体的な理由を記載した申請書を添付して口頭審理の非公開を申請しなければならない。それに正当な理由があるときは、智慧局は口頭審理の非公開に同意することができるとともに、その旨を当事者に通知するが、正当な理由がないときは、智慧局は依然として公開で口頭審理を実施すべき旨を当事者に通知する。

 

 

 

(三)口頭審理の実施原則は、智慧局は両当事者の書類証拠がすでに揃った後、それに関連する事実を明らかにするため開催される一般に公開する手続きであり、その目的は当事者に理由又は証拠を再度提出する機会を与えるものではない。よって、当事者が口頭審理の手続において何度も資料を補充することにより、審理終了の日程が遅滞することを避けるため、今回改訂の2019年版では、当事者が提出できる書類は現有の資料に関する補充又は口頭審理の陳述書に限られると規定されている。

 

 

 

(四)当事者が審判官に法定忌避事由があると認めるときは、口頭審理通知の送達後10日以内に、その理由を記載した書類を添付して忌避の申立てをしなければならない

 

 

 

(五)当事者が時間を過ぎて口頭審理に出席した場合、進行役はその事件を明らかにするために出席させる必要があると認めた場合に限り、口頭審理に出席を許可することができる。

 

 

 

口頭審理手続においては、無効審判の両当事者に審判官と対面で説明する機会が提供されており、当事者は口頭審理時に相互に質疑応答、弁論を行うこともできるため、無効審判は書面審理だけに留まるものではない。個々の審判官の主観に偏りすぎないよう、審判では3人の審判官による合議体で口頭審理を行う。また、行政手続法第109条の規定により、口頭審理に基づき作成された審決について、当事者が不服の場合、行政救済手続きを簡略化させるため、その行政救済手続きについては訴願手続きが免除され直接行政訴訟を提起するものとする。

 

智慧局は無効審判事件で口頭審理手続を導入し、さらに、実務における運用状況を検証した上で口頭審理作業方案も改訂した。これらのことを踏まえながら、より健全な審理手続を確立し、より多くの行政資源を投入することにより、今後の審理の質の一層向上と審理結果への信頼感の醸成を目指いしている。 

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