ホーム >> ニュース、出版物など >> 理律法律事務所の出版物 >> ニューズレター >> 商品の出所、国内外の商標権者が異なり、且つ各商標権者が世界的に同一の出所であるという商業イメージを作り出す意図もない場合、商標権消尽原則の適用は認められない


商品の出所、国内外の商標権者が異なり、且つ各商標権者が世界的に同一の出所であるという商業イメージを作り出す意図もない場合、商標権消尽原則の適用は認められない

Ruey-Sen Tsai/Celia Tao


 台湾商標法第36条第2項に、登録商標が付された商品が「商標権者又はその同意を得た者」により国内外の市場で流通、取引された場合、商標権者は当該商品について商標権を主張することができない、と明文化されている。本条文の主な立法目的は、商標権者がその商標の使用に対して独占的な実施権利を享有しているものの、商標権者に同一の権利に対して繰り返し利益を付与すべきでないという点にある。言い換えると、商標権者は、その商標が付された商品を国内外の市場で流通させ対価及び報酬を取得した場合、その商標権は既に目的を達成したため、商標権者が最初に販売した商品について再び商標権を行使して他人による当該商品の再販売を禁止してはならないことは当然である。

 

現在グローバル化する中、グローバル企業の各国における分業及び運営はより複雑になっている。財務又は法律リスクの考慮に基づき、グローバル企業の各国における商標権の権利帰属においても様々な戦略が考えられる。このような状況の下、同一商標が国内外で異なる商標権者により登録された場合、商標権の消尽原則をどのように適用するかについては疑義があり、現在の台湾の実務上でもかなり見解が分かれている。最近の知的財産裁判所による107年(西暦2018年)度民商訴字第30号民事判決では、商標権の消尽原則の適用は、商標が付された商品が最初に販売された時点でその国内外の商標権者がいずれも同一人である場合に限られるべきであるという見解が示された。商品の出所、国内外の商標権者が異なり、且つ各商標権者が世界的に同一の出所であるという商業イメージを作り出す意図もない場合、商標権の消尽原則の適用は認められないとされた。

 

本件原告は著名なエナジードリンクメーカーで、当該エナジードリンクの台湾市場での包装は青と銀の二色を背景色にした細長い瓶のデザインである。財政部関務署は20184月に原告に対し、被告会社はベトナムから同一商標が付された、金色のアルミ缶のエナジードリンク商品を輸入している旨の通知を行った。原告は差押えを申し立てた後、被告に対し商標侵害の排除及び損害賠償を請求した。被告によると、原告が差押えた金色のアルミ缶商品は原告のベトナム会社で生産したもので、出所は合法的であり、商標権の消尽又は真正品の並行輸入が適用されるはずであると反論した。これに対し、原告は、ベトナムの商標権者と原告には支配、従属又は相互投資の関係もないため、異なる商標権者であると指摘した。さらに原告は、金色のアルミ缶商品と原告が台湾で販売している商品の包装外観、内容物の成分、のどごし及び味のいずれも異なり、且つ、原告商品には「児童又はカフェイン摂取不適切者の飲用は勧めない」との警告の注記があり、一方、金色のアルミ缶商標にはそれがなかった、と述べた。

 

本件について知的財産裁判所は先ず、以下の点を明らかにした。国外の同一商標が付された商品を国内市場に輸入しようとする時、台湾の商標権者はいかなる対価も取得していないため、国外の商標権者に最初に生じる権利消尽の効力は、台湾の商標権者を拘束する理由はない。よって、商標権の消尽原則の適用は、商標が付された商品が最初に販売された時点でその国内外の商標権者がいずれも同一人である場合に限られるべきである。

 

同裁判所は本件についてさらに以下のように指摘した。原告商品の原産地はオーストリアで、被告が輸入した金色のアルミ缶商品はベトナムであることから、両商品は同じ製造業者から来たものではなく、消費者に同一の出所に由来するものであると認識させることはできないことが分かる。また、ベトナムの商標権者(会社)は原告会社のいかなる株も保有していないことから、両者に経済上又は経営上の支配又は従属関係があるとは認めがたい。なお、ベトナムの商標権者は過去に台湾で商標を所有していたこともあったが、2006年に原告に譲渡済みで、専用使用権として原告に商標使用を許諾したものではないことから、ベトナムの商標権者は故意に係争商標と同一出所を示す商品であるとする印象を作り出そうとした訳ではないことが分かる。従って、知的財産裁判所は、原告の商品と被告が輸入した金色のアルミ缶商品の出所は異なり、且つ、国内外の商標権者も異なり、各商標権者には世界的に同じ出所であるという商業イメージを作り出そうとする意図もないため、商標権の消尽原則は適用されず、被告が原告の同意を得ずにベトナムから原告商標が付された商品を輸入したことは合法ではない、と判断した。



TOP