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リミテッド・パートナーシップの「浸透式課税」制度の改正案



ベンチャーファンドが台湾において「リミテッド・パートナーシップ(limited partnership)」(即ち、無限責任のジェネラル・パートナー(general partner)と有限責任のリミテッドパートナーlimited partnesr)から構成される)の方法をより多く利用して設立することを推進し、また国際上のプライベート・エクイティ・ファンドとベンチャーファンドの設立・実務運用が一致するよう、201711月に、産業創新条例に第23条の1が新たに規定されました。これにより、リミテッド・パートナーシップ制のベンチャーファンドが、一定の条件を満たす場合、「浸透式課税」の採用を選択できるようになりました。これは、ベンチャーファンドが利益を得た場合に、ベンチャーファンド自体にはいかなる税も課さずに、直接、所得税法により計算した剰余金に基づきパートナーに課税する制度です。

 

一、現在の規定

 

 産業創新条例第23条の1には、次の条件が規定されています。

1.         201711日から20191231日までの間にリミテッド・パートナーシップ法の規定により新設され、かつ、創業投資事業輔導弁法に規定するベンチャーファンドに合致すること。

2.         ファンド設立の初年度および2年目において、各年度終了日(即ち1231日)のリミテッド・パートナーシップ契約にて規定した出資の総額が新台湾ドル(以下、同)3億元に達し、かつ、設立3年目、4年目及び5年目において、各年度終了日(即ち1231日)の払込資本金総額がそれぞれ12及び3億元に達すること。

3.         ファンド設立4年目及び5年目において、各年度終了日(即ち1231日)のベンチャー企業(台湾会社又は実際に台湾国内で運営している外国会社で、かつ、設立5年未満)への投資金額の累計が、ファンドの当年度の払込資本金総額の30%又は3億元に達すること。

4.         ファンドが毎年度台湾国内で運用し、かつ、実際に台湾国内で運営している外国会社へ投資する資金金額の合計は、少なくとも当年度の払込資本金総額の50%に達すること(以下、「資金運用比率制限」という。)。

5.         ファンド設立後の2年目の2月末までに、浸透式課税の採用を申請すること。

 

二、改正案の規定

 

 現在検討されている産業創新条例改正案の第23条の1では、前記条件1のファンドの設立期限が、20291231日まで延長されます。つまり、20291231日以前に設立したリミテッド・パートナーシップ制のベンチャーファンドであれば、浸透式課税の採用を申請する機会が与えられることになります。

 

 次に、前記条件4の資金運用比率制限について、経済部の意見によると、ベンチャーファンドが規定する出資総額が3億元であり、かつ、設立初年度の払込資本金総額が3億元に達するということは、その設立初年度に少なくとも1.5億元の投資をしなければならないことになるため、これは厳しすぎて、非現実的であると指摘しました。これより、産業創新条例の改正案では、「決定出資総額」という概念が創設され、ベンチャーファンドは毎年、前年度の擬制的払込資本金総額を決定でき、経済部工業局へ許可を申請できることになります。ただし、この「決定出資総額」の金額は、年々増加しなければなりません。

 

 この「決定出資総額」の概念は、前記条件2から4にも同時に適用されます。例えば、あるベンチャーファンドが規定する出資総額が3億元であり、かつ、設立初年度の払込資本金総額が3億元に達する場合、当該ファンドは経済部工業局に対して、ファンド設立1年目の決定出資総額を5,000万元とし、2年目、3年目、4年目及び5年目の決定出資総額をそれぞれ8,000万元、1億元、2億元及び3億元とすることへの許可を申請することができます。この場合、当該ファンドは、当該5年間における、台湾国内の会社又は台湾国内で実際に運営している外国会社に対する投資金額の合計が、それぞれ2,500万元、4,000万元、5,000万元、1億元及び1.5億元に達していれば、資金運用比率制限の要求を満たすことができます。

 

三、当事務所のコメント

 

 産業創新条例改正案の第23条の1の立法主旨については評価できますが、「決定出資総額」の概念は、設立初年度の払込資本金総額が3億元に達したベンチャーファンドにしか適用できないと考えられます。よって、設立時に2.5億元又は2億元を実際に募集したベンチャーファンドは、その初年度の資金運用がそれぞれ1.25億元又は1億元に達しなければ、浸透式課税の申請をすることができません。これはベンチャーファンドの管理の面でやはり非常に大きな難題といえます。「良い投資対象は時間をかけて探す必要がある」との法則のもと、創業創新条例改正案では、ベンチャーキャピタルがより柔軟な運用ができるよう、「決定出資総額」を適用できるファンド設立の払込資本金総額の基準を取り消すことを考慮してもいいのではないかと思われます。

 

産業創新条例の改正案は既に行政院で可決されましたが、今後、立法院の審議を経た後に、総統より公布されることとなるかについては、引き続きフォローする必要があります。

 

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