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キーワード広告は商標としての使用でなければ商標権侵害に該当せず


Ruey-Sen Tsai/Celia Tao

 

 Google等の検索エンジンサービス業者が推進しているキーワード広告は、現在の企業に広く好まれ、よく利用されているネットマーケディング手法である。キーワード広告とは、検索エンジンサービス業者が、企業が購買するキーワードを内部プログラムで、それに関連する広告文やサイトへリンクするコマンドを作成した上、消費者が検索エンジンに当該キーワードを入力する場合、検索結果画面の広告欄に当該キーワードを選定した企業の広告文が表示されるということである。そのほか、企業はさらに「キーワード挿入機能」を設定した上、企業が作成する広告文のコンテンツを、消費者による入力されるキーワードを表示する広告文にオート変換させることができる。これにより、広告と潜在消費者とのリンク強化を図っている。しかしながら、消費者に自己の広告をクリックさせるよう「競合他社の商標」をキーワードとして選定し、消費者に自社の広告をクリックさせるようにすることは、実務上商標権侵害となるかについては、争いが残されている。

  

キーワード広告が商標権侵害に該当するか否かについては、キーワード広告におけ商標の実際の使用態様により判断すべきである。従来の台湾の実務見解によると、キーワード広告の内容自体商標として使用されず、商品又は役務の販売促進のために使用されていない場合、キーワードを入力したユーザーは、これにより広告の内容で販売、促進される商品又は役務が商標所有者により提供されたものであると認識又は混同することはないため、このようなキーワード広告は通常商標の使用行為には当たらないと認定される。しかしながら、仮にキーワード広告の内容自体に他人の商標を盛り込んだ場合、商標の使用に該当し、商標権侵害になると判断される。特に注意すべきは、たとえ広告の内容で他人の商標を使用していないとしても、公平交易委員会(日本の公正取引委員会に相当)は個別の事案に、当該広告が取引秩序に影響し、公正さを著しく欠く行為に該当するとして、公平交易法(日本の「不正競争防止法」、「独占禁止法」に相当)第25条の規定に違反すると判断する可能性がある。キーワード広告における商標使用が商標権侵害に該当するか否かについて、台北地方裁判所は106年(西暦2017年)度智易字第23号刑事判決商標権侵害の具体的個別案件において、この議題に関する従来の実務見解を再度説明した。

 

本件の告訴人は女性用下着、ニッパー、コルセット、ナイトウエアの販売メーカーであり、被告は告訴人の競合他社の担当者である。本件検察官によると、被告会社は、告訴人会社の商標をWeb広告のキーワードとして購買し、消費者が検索エンジンで告訴人会社の商標を入力する場合、検索結果画面に同時に被告会社のウェブサイト、イベントサイト等のコンテンツが表示されるようにするという方法で、被告会社のウェブサイト及びイベントの注目度を高め、消費者の閲覧率を引き上げ、被告会社をプロモーションする目的を達成したので、告訴人の商標権を侵害したことに該当した。しかし被告は商標法違反の犯行を否認し、キーワード広告の操作を担当する外部の会社が事前に提出した初稿には「キーワード挿入」の機能はなかったこと、かつ、告訴人の商標をキーワードとしてキーワード広告を設定することは商標法第5条にいう商標の使用には当たらなかったこともって、反論した。

 

台北地方裁判所は本件の具体的事実について次のように指摘した。被告会社の広告文の内容について、その文言自体とリンク先のサイトには、いずれも告訴人の商標を使用しておらず、かつ、検索結果画面の文言の傍には「広告」等の文字が示されるから、関連消費者が告訴人のウェブサイトに誤認してリンク先をクリックすることがあったとは認めがたく、たとえ誤認(購買前の混同;initial interest confusion)からリンク先をクリックしたとしても、サイト内容にも告訴人の商標はなく、消費者が当該ウェブサイトが販売する商品を原告の商品に誤認することは認めがたい。したがって、台北地方裁判所は、告訴人の商標をキーワードとしてキーワード広告を操作することは外部への有形使用ではなく、内部プログラムでのリンクコマンドであるため、消費者にそれが商標であるを認識させるには足らず、商標の使用行為には当たらないと判断した。

 


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