ホーム >> ニュース、出版物など >> ニューズレター

ニューズレター

搜尋

  • 年度搜尋:
  • 專業領域:
  • 時間區間:
    ~
  • 關鍵字:

著作権侵害訴訟における「接触」の立証程度


簡秀如/Veda Chen

A及びB社は、C社が販売、宣伝している革バッグ商品のデザインが、AB社の革バッグと同様の表現方法を採用しており、AB社の美術著作物の複製に関わっているので、それらの著作権を侵害しているとして訴訟を提起した。

 

実務において、裁判所は、著作権侵害を判断する際、侵害者の著作物が著作権者の著作物と実質的に類似しているかを斟酌するほか、侵害者がかつて著作権者の著作物に「接触」したという事実を証明できる証拠があるかを調査する必要がある。後者については、一般的には、著作権者が立証責任を負うこととなる。

 

知的財産裁判所106年(西暦2017年)度民著訴字第68号民事判決(判決日:2018821日、以下「係争判決」という)では、著作権者が上述した「接触」の事実をどの程度証明すべきかについて、具体的に見解が示されている。係争判決では、先ず最高裁判所103年(西暦2014年)度台上字第1544号民事判決(判決日:2014731日)を引用して、接触には直接接触と間接接触の2つの態様に分けられ、間接接触とは合理的な状況のもと、行為者が著作物に接触する合理的な機会を有することを指し、2つの同類の商品には競争関係があり、かつ、いずれも公開市場で流通している場合、一般の社会通念に基づき、請求権者の著作物に接触したことがない可能性はほとんどなく、少なくとも間接接触はあるはずであるという見解を示した。

 

それに続き、係争判決では、知的財産裁判所103年(西暦2014年)度刑智上訴字第54号刑事判決(判決日:2015122日)及び知的財産裁判所100年(西暦2011年)度刑智上訴字第39号刑事判決(判決日:20111110日、確定判決)を引用し、次のとおり説明した。実質的に類似している2つの著作物が個別の独立した創作である可能性がないわけではないが、社会一般的状況によると、その類似度が高いほど高けば、侵害者が著作者の創作に接触した可能性もより高くなるので、「接触」という要件を判断する際に、2つの著作の「類似」程度も総合的に考察しなければならず、一方、類似度が高くなかった場合、公訴人は「接触可能性」についてより明確に証明する必要があるが、類似度が非常に高かった場合、社会一般的状況において、合理的に接触する機会があったか又は可能性があったを証明すればよい。類似度が著しく低かった場合のみ、「確実に接触したこと」を証明する必要がある。

 

知的財産裁判所102年(西暦2013年)刑智上易字第35号刑事判決(判決日:20131023日)でも、次のとおり重ねて述べている。行為者の著作物と著作権者の著作物には、行為者が著作権者の著作物に接触したことがないと想像しがたいほど著しい類似点(striking similarity)が存在している場合、行為者がかつて著作権者の著作物と接触したと推定することができる。

 

係争判決では、次のように指摘している。著作権法における刑事罰の有罪判断のハードルは民事の権利侵害行為のハードルより低くあるべきではないので、著作権の民事権利侵害行為の成立可否は、前述の判断基準に基づく判断すべきである。よって、C社の革バッグ商品とAB社の革バッグとの間には高度な実質的類似性があり、互いに剽窃していない状況に、このように類似しているものを創作できる確率は非常に低いので、偶然である可能性が極めて低く、上述判決の見解に従い、AB社はC社が実質的にAB社の革バッグ商品に接触したことを証明しなくても、C社が剽窃、権利侵害したと認定することができる。

 

 

回上一頁