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最高行政裁判所は、無効審判請求人が参加人である場合の行政訴訟における新証拠の提出可否について見解を再度表明


簡秀如/Frank Lee

紛争の一回的解決を目指し、同一の専利権(特許権、実用新案権、意匠権を含む)又は商標権の有効性についての紛争の繰り返し並びに無効審判及び行政訴訟(日本の審決取消訴訟に相当)の蒸し返しを防止するため、「知的財産案件審理法」(中国語「智慧財産案件審理法」、以下「審理法」という)第33条第1に、行政訴訟においても、当事者は同一の無効又は取消理由について新たな証拠を提出することができると明文で規定されている。しかし、上記条文にいう「当事者」とは一体何人を指すかについて、実務上よく議論されている。

 

この点に対しては、最高行政裁判所が早くも20111222日に下した100年(西暦2011年)度判字第2247号判決では、行政訴訟において、同一の無効又は取消理由について新たな証拠を提出することができる規定が「無効審判請求人(以下、「請求人」という)が原告の場合」に限り適用される、という縮小解釈の立場が採用されている。その理由は以下のとおりである。

 

審理法第33条第2項において特許主務官庁は他方当事者が提出した新たな証拠について答弁書を提出しなければならないと規定されていることから、同条第1項に規定する内容は、請求人が特許主務官庁による無効不成立の審決(維持審決)を不服として行政訴訟を提起した場合を指すことを認めることができるため、当該条文にいう無効審判審決取消訴訟における当事者は「請求人が原告の場合」を指すという縮小解釈を採用しなければならない。一方、無効成立の審決(無効審決)の場合、つまり専利権者が原告として取消訴訟を提起した場合、それは、審理法第33条第1項の立法理由に示された請求人が依然として新たな証拠により再び無効審判を請求することができるという問題がない。しかもこの時、請求人が、特許主務官庁たる被告側の訴訟参加人として参加することになるため、両者は「他方当事者」の関係ではなく、同条第2項にいう特許主務官庁は「他方当事者」が提出した新たな証拠について答弁書を提出しなければならないという規定も満たしていない。そのほか、専利無効審判請求については専利主務官庁により無効成立と審決され専利権が無効になった場合、専利権者が当該専利権を無効にする審決を不服として、訴願手続を経たあと、専利権者は原告として審決取消訴訟を提起することになる。知的財産裁判所が審決取消訴訟に対する司法審査を行う目的は、当該専利権を無効にした審決が合法であるか否かを審理することにある。この際、被告たる特許主務官庁又は参加人たる請求人のいずれもが、自らが審理法第33条第1項にいう当事者であると主張し、専利権を無効にした新たな証拠を提出して知的財産裁判所に斟酌してもらうことができる場合、争いのある事実の基礎に変更が生じるため、明らかに本来の審決取消訴訟における原処分の合法性に関する審査範囲から逸脱しており、行政取消訴訟の趣旨に合致しておらず、上記条文の立法理由により規制する対象ではないことは明らかである。また、専利権者はもはや行政訴訟において当該新たな証拠の提出に対して訂正請求という防御方法の主張を採ることはできないことを考慮した上で、無効成立として専利権を無効にする審決取消訴訟手続において、被告たる特許主務官庁又は参加人たる請求人は、自らが審理法第33条第1項にいう当事者であると主張し、専利権を無効にする新たな証拠を提出して知的財産裁判所に斟酌してもらうことを認めると、専利権者が行政訴訟において訂正請求という防御手段を主張する手続的利益と攻撃防御地位の平等に対していずれも妨害を与えるとともに、行政訴訟の趣旨にも合致していない。

 

しかし、近年の知的財産裁判所による裁判実務を観察してみると、「当事者適格」の範囲が緩和される傾向が見られる。例えば、2017810日に下された105年(西暦2016年)度行専訴字第97号判決では、審理法第33条第1項の条文には「請求人が原告の場合」に限り適用されるという制限が設けられておらず、かつ、無効審成立として専利権者が行政訴訟を提起した場合、行政訴訟における請求人が参加人であるが、裁判所は審理を経て、元々の無効審判の証拠が専利権の無効を証明するに足りないと認めたとき、請求人による新たな証拠の提出が認めないと、請求人が同一専利権に対して再び無効審判を請求してさらにもう一つの行政訴訟が生じるという問題が必然的に生じる、とされていた。したがって、知的財産裁判所は、上記審理法第33条第1項にいう「当事者」は請求人が参加人である場合を排除するものではないと考えている。

 

しかしながら、本件上告後、最高行政裁判所が2018712日付けで下した107年(西暦2018年)度判字第391号行政判決では、上記100年(2011年)度判字第2247号判決の立場が維持された。

 

最高行政裁判所は以下のような見解を示した。まず、審理法第33条の規定は専利の有効性をめぐる紛争の一回的解決の目的を達成することはできない。その理由は、審理法第33条第1項において、「同一の取消理由」に限り、新たな証拠を提出することができることが明文で規定されており、その規定により、同一請求人が同一の取消理由について異なる証拠の提出により無効審判を請求するという問題を解決することはできるが、同一請求人が異なる取消理由により無効審判を繰り返し請求すること又は異なる請求人が同一の取消理由について異なる証拠をもって無効審判を請求することにより生じる行政紛争の蒸し返しを避けることはできないということにある。次に、専利権者が智慧財産局(台湾の知的財産主務官庁。日本の特許庁に相当。以下「智慧局」という)による無効成立の審決を不服して行政訴訟を提起した場合、無効成立として専利権を無効にした処分の効力は依然として実質的に存続しているため、智慧局は専利権者による訂正請求を受理することはできなく、請求人による新たな証拠の提出を認めると、専利権者にとってその訴訟手続上の攻撃防御地位は平等になっていない。最高行政裁判所はさらに、実務上において専利無効審判事件の審理期間は15ヶ月であるのに、知的財産に係る行政訴訟の平均審理終結日数は180ないし230日であることを考慮した上で、専利権者が行政訴訟中に請求人が提出した新たな証拠に応じて訂正請求をするか否かを決定する時間は、無効審判の審理段階より比較的切迫していると考えられることから、専利権者と請求人の手続及び実質的権益のバランスをとるため、同裁判所は審理法第33条第1項の規定は縮小解釈を採用すべきとすることを再度表明した。すなわち、専利無効審判審決取消訟中に同一の取消理由について新たな証拠を提出できる「当事者」は「請求人が原告の場合」を指すべきである。

 

 

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