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知的財産裁判所は、非伝統的商標の権利侵害における刑事責任の有無を判断するときより厳格な証拠方法を採用


Ruey-Sen Tsai/Celia Tao

商標法第97条で規定される、販売の意図をもって商標模倣品を輸入する行為に対する刑事責任は、「明らかに知っていた」ことを前提とする。多数の実務見解によれば、「明らかに知っていた」とは、「直接故意」を指し、「間接故意」または「過失」の場合には、本罪は成立しないとされている。言い換えれば、検察官より、被告は係争商品が模倣品であることを明らかに知っていたことを証明する場合、初めて被告が「知っていた」と認定することができる。単に被告が係争商品が模倣品であることを「知りうる」ことで、本罪を構成すると認められない。しかし、文字や図形などの標識と比べると、模様、立体形状または色彩などの標識が他人の登録商標であるか否かについては、一般消費者の認知度は比較的低い。このような「非伝統的商標(新しいタイプの商標)」に対し、行為者の主観的要件を判断する際に伝統的商標と同じ基準を適用できるか否かについては、実務上、依然として大きな疑義が残されている。

 

これに対して、知的財産裁判所の106年(西暦2017年)度刑智上易字第22号刑事判決では、商標侵害の個別具体的な案件において、「非伝統的商標」の類型に対して、販売の意図をもって商標模倣品を輸入する罪の行為者の主観的要件について重要な判断原則が判示された。

 

本件において、商標権者は2つの革製バッグの留め金具の非伝統的商標を登録した。係争商標の図形にはいずれも三角形の飾り留め具、底部に長方形のロックプレートが含まれており、また、そのロックプレートの各コーナーにそれぞれ丸いリベット、中央に3つまたは2の目立つドット模様の装飾的なデザインがある。本件の検察官によれば、被告が販売するバックの留め金具は係争商標の外観に類似しているため、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがあると認められた。さらに、被告が経営するウェブサイトで販売されている商品について、多数は、各ブランドのバッグに極めて似ているので、被告が類似商品の販売によって自社商品の価値を高めようとし、主観上、係争商標を侵害していることを明らかに知っていたことを証明することができる。しかしながら、被告は、商品を仕入れした前にすでに調査を行い、その商標、LOGO、図形が他人のものに類似していないことを確認しており、当初この機能性を有する留め金具も商標登録の対象になることを知らなかったと反論した。

 

これについて、知的財産裁判所は以下のような見解を示した。係争商標が機能性を有する留め金具であり、元来、商品の出所を示す商標識別性を有するものではないが、告訴人により長期にわたり使用されて広く市販されたため、商標識別機能が一定程度備わっており、かつ、台湾でも登録されているので、当然、商標として保護されるべきである。但し、文字、特殊な図形以外のものからなる非伝統的商標について、行為者の行為により商標権侵害が成立するか否かを判断するときは、一般社会通念、市場の取引状況及び同業界における実際の使用状況等を参酌して総合的に判断しなければならず、模様、立体形状または色彩等が類似している場合そのまま商標権侵害に該当すると認められない。さらに、一般の人は、非伝統的商標が商標であるか否かを判断する場合、警戒心が低くなる可能性があるため、行為者には商標権を侵害する主観的意図があるか否かについて、より厳しい証拠方法を採用する必要がある。

 

知的財産裁判所は、本件の事実についてさらに説明した。本件のバッグの販売ルート、販売状況のいずれも一般的取引状況と違いがなかったため、被告が販売の意図をもって商標模倣品を陳列する「故意」があることを客観的には認定し難い。また、検察官は、単に被告がバッグ販売に従事する期間、及びその経営するネットショップで販売されている商品について、多数が各ブランド品またはファッションブランドに極めて似ていることで、被告の主観的意図を推論し、並びにそれを被告が係争商標を侵害する直接故意を有することの根拠としたが、それは速断であり、積極的な証拠に欠けている。被告には自らの無罪を証明する義務がないため、知的財産裁判所は、検察官の主張を認められず、検察官の控訴を棄却し、原審判決、すなわち新北地方裁判所106年(西暦2017年)度智易字第26号刑事判決で下した被告無罪だったという認定を維持した。

 

 

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