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特許の明確性要件は明細書で保護を求める請求の対象を審査の対象とすべき



特許の付与は一種の社会契約であり、発明者はその発明を公開することで特許の保護を取得する。したがって、現行の専利法(日本の特許法、実用新案法、意匠法に相当)26条に、次のように規定されている。発明者は「明細書」において他人がその内容を理解し、それに基づいて実施することができるように、その発明を明確かつ十分に開示しなければならない(第1項)。「特許請求の範囲」も「特許を受けようとする発明」を特定しなければならず、それには1以上の請求項を含むことができ、各請求項は、明確、簡潔に記載し、かつ、明細書により裏づけられなければならない(第2項)。

 

しかしながら、上記条文の適用については実務上、争議が生じている。つまり、明細書が明確かつ十分に開示するという要件を満たすか否かを判断する際には、「特許請求の範囲の各請求項」を審査の対象とするのか、それとも「特許を受けようとする発明」を対象とするのかということである。これについて、最高行政裁判所は2018329日付けの107年(西暦2018年)度判字第161号判決において関連する見解を示している。

 

当該事件において、特許権者は次のように主張した。明確かつ十分な開示要件の審査は「請求項」を対象とすべきであり、請求項ごとにその技術的特徴の係争特許の明細書に対応する説明が明確かつ十分な開示要件を満たすか否かを審査し、各請求項に記載されていない部分については、係争特許の明細書における当該部分が明確かつ十分に開示されているかの審査をする必要は無い。係争特許の公告時の請求項は合計29項で、うち一部のみに「切断時にRFID機能を停止する」との技術的特徴があり、その他の請求項にはいずれも「切断時にRFID機能を停止する」ことを記載していないため、これらの請求項が明確かつ十分な開示要件に違反しているか否かを審査する必要はない。

 

しかし、最高行政裁判所は、十分に開示しておりこれに基づき実施できる要件を満たすか否かを判断する際には、特許請求の範囲の各請求項に対して請求項ごとに審査するのではなく、「特許を受けようとする発明」を対象とするとの考えを示した。その理由は、「特許を受けようとする発明」とは特許請求の範囲の各請求項ではなく、特許明細書に記載された保護を求める請求の対象を指し、発明の詳細な説明は特許出願の対象となる発明の具体的技術手段を開示するものであって、技術文書に属し、特許請求の範囲は法律の権利を主張する範囲であって、権利文書に属し、両者は異なるものである。本件において、係争特許の発明の内容にはすでにその発明の主要な目的が「前記電子的封印の切断時に前記RFID機能の提供を停止する」であることが明確に開示されており、かつ、一部の請求項に「切断時にRFID機能の提供を停止する」との技術的特徴が記載されたため、係争特許の明細書に記載された「切断時にRFID機能の提供を停止する」ことが明細書が明確かつ十分に開示する要件を満たすか否かの審査の対象となる。係争特許の全ての実施例がいずれも明確かつ十分に開示し、これに基づき実施することができる要件に違反している状況においては、当然いかなる請求項も全ての実施例の総括範疇から外すことはできない。最高行政裁判所は、これに基づき特許権者の主張を理由なしと認定した。

 

最高行政裁判所はさらに以下のような判断を示した。専利法第26条各項にはそれぞれ異なる要件が設けられているが、各要件間に極めて密接な区別し難い関係があり、発明の詳細な説明との技術文書の記載が明確性要件と実施可能要件を満たしている場合、権利文書すなわち特許請求の範囲が明細書や図面により裏付けられる前提及び基礎を有することになる。しかし、発明の詳細な説明との技術文書の記載が明確性要件と実施可能要件に欠けている場合、たとえ権利文書すなわち特許請求の範囲が明細書及び図面により裏付けられており、または特許請求の範囲の記載方法が形式規定を満たしたとしても、発明の詳細な説明の記載が明確性要件と実施可能要件を満たしていないという欠陥もなくなることができない。よって、係争特許発明の詳細な説明が明確性要件と実施可能要件を満たしていないと判断された場合、同条第3項(特許請求の範囲は発明の詳細な説明及び図面により裏付けられるべきであること)または第4項(特許請求の範囲の記載形式)について判断を行う必要がないことは当然である。

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