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著名商標を含む広告キャッチフレーズは、必ずしも先天的又は後天的識別性を具備するものとは限らない


Ruey-Sen Tsai/Celia Tao

経済部智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当。以下「智慧局」という)が公表した《商標識別性審査基準》によると、役務又は商品の宣伝に用いる広告キャッチフレーズは、一般消費者にとって、通常キャッチフレーズが相当程度使用されて初めて当該キャッチフレーズが一定の商品又は役務の出所に関係していることを認識することができるもので、この時になって初めてキャッチフレーズは出所を区別する機能を有し、識別性を有することとなる。よって、審査実務の上で、広告キャッチフレーズは一般的に先天的識別性を有するとは認められず、出願人は広告キャッチフレーズがすでに後天的識別性を獲得したことを証明しなければならず、そうして初めて登録査定となることができる。ただし、《商標識別性審査基準》でも、高度の独創性を有するキャッチフレーズ、又は識別性の高い商標を有するキャッチフレーズについては、例外的に先天的識別性を有すると認めることができるが、当該キャッチフレーズ全体が商品又は役務の説明である場合は、やはり識別性を有しないとしている。つまり、著名商標を含むキャッチフレーズが識別性を有するか否かについて、また、どう認定すべきかについては、尚も相当の疑義があり、個別事案の事情に応じて、具体的に判断する必要がある。

 

知的財産裁判所106年度(西暦2017年)行商訴字第100号行政判決は、「DESIGNED BY APPLE IN CALIFORNIA」商標の拒絶査定に関する事案である。同判決では、著名商標を含む広告キャッチフレーズの先天的又は後天的識別性の有無をどう認定すべきかについて、重要な判断原則が判示されている。

 

まず、先天的識別性については、商標出願人は当該個別具体的な案件において、「APPLE」商標が国際的な著名商標であり、智慧局は、係争商標に識別性の極めて高い「APPLE」商標を見過ごして、直接「DESIGNED BY APPLE IN CALIFORNIA」商標について一般用語又は自賛用語に過ぎないと認めるべきではないと主張した。知的財産裁判所は、智慧局の論点を支持し、たとえ当該キャッチフレーズに国際的な著名商標が含まれていても、先天的識別性の有無の判断については、依然として、商標の全体を観察しなければならない、という見解を示した。

 

一方、後天的識別性については、商標出願人は、早くは20052月から係争商標の使用を開始し、すでに消費者に熟知されており、世界でも多くの国で登録査定となっていると主張した。知的財産裁判所は、後天的識別性の有無も台湾の関連消費者が当該キャッチフレーズを原告の商品又は役務の識別標識と認識しているか否かにより判断しなければならないが、本件の関連証拠からは、消費者は「IPHONE」、「IPAD」、「APPLE」等の商標と併用して初めてその商品の出所を識別することができるため、「IPHONE」、「IPAD」、「APPLE」等の主要商標こそ商品の出所を識別する指示となり、当該主要商標以外の商標が後天的識別性を有するか否かについては、依然として、登録出願された商標全体の使用に応じて判断しなければならない、という見解を示した。

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