ホーム >> ニュース、出版物など >> ニューズレター

ニューズレター

搜尋

  • 年度搜尋:
  • 專業領域:
  • 時間區間:
    ~
  • 關鍵字:

「例外的に新規事項を導入していないものとみなす」という補正は、やはり実施可能要件、明確性要件及びサポート要件を満たすべきである


Vita Chang

専利法(日本の特許法、実用新案法、意匠法に相当)第43条では、「補正は、誤訳の訂正を除き、出願時の明細書、特許請求の範囲又は図面に開示されている範囲を超えてはならない」と規定されている。また、特許審査基準には、認められる補正について「除くクレーム(disclaimer)」の態様が挙げられており、即ち、肯定的表現によって除外後の対象を明確かつ簡潔に特定できない時は、従来技術と重複する部分を「除外」する否定的表現の記載とすることができる。この時、補正後の請求項に出願時に開示されていない技術的特徴が追加されるが、即ち除かれた従来技術でもあり、例外的に新規事項を導入していないものとみなすことができる。除くクレームで導入される技術的特徴も専利法第26条に規定する明細書の実施可能要件、並びに特許請求の範囲の明確性及びサポート要件を満たさなければならない。これについて最高行政裁判所は、201828日付の107年度(西暦2018年)判字第95号判決で明確な判断を示した。

 

本件では、上告人は台湾特許第I341203号「生物活性物質を含有するウサギの皮とその用途」に係る特許(以下「係争特許」という)の特許権者である。係争特許の審査過程において、従来技術であるEP0645142と重複する部分の技術を除くために、請求項1に「前記ウサギの皮に含まれる活性物質がケイ素を含まない」という限定を加えた。その後、無効審判請求人は、当該制限条件の特定が係争特許査定時の専利法第26条第2項及び第3項の規定に違反することを理由として無効審判を請求した。その理由は、係争特許の明細書にウサギの毛及びウサギの皮に天然に存在するケイ素をどのように除去してウサギの皮の活性物質にケイ素が含まれないようにする技術内容が開示されていないため、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がそれに基づいて「前記ウサギの皮に含まれる活性物質がケイ素を含まない」との技術的特徴を実施することができず、しかも当該特徴も明細書によって裏づけられていないということにある。この請求人による主張は智慧財産局(台湾の知的財産主務官庁。日本の特許庁に相当)及び知的財産裁判所に認められている。

 

これに対して、特許権者は、除くクレームは例外的に新規事項を導入していないものとみなすことができるため、補正後の請求項が特許査定時の専利法第26条第3項の規定を満たすよう求める必要がなく、知的財産裁判所が下した、係争特許が特許査定時の専利法第26条第3項の規定に違反する旨の判決は、法令に定めのない制限が追加され、法令に違反することが明らかである、と主張した。最高行政裁判所は審理後、次のような見解を示した。つまり、係争特許査定時の専利法第49条は特許審査における補充、補正の要件及び時期を規定するものである。一方、同法第26条第3項では、特許請求の範囲の記載要件を規定しており、両者が規定する事項及び要件は異なる。特許査定時の専利法第26条第3項の規定を満たすため、補充、補正後の請求項全体はやはり、当業者が出願時の通常の知識を参酌すれば明確にその意義を理解することができるよう明確に記載すべきで、かつ、発明の詳細な説明及び図面によって裏付けられるべきである。同裁判所は判決において、除くクレームには特許査定時の専利法第26条第3項の規定が適用されていないとする上告人の主張は採用することはできない、と明示した。

 

台湾の特許審査基準における「除くクレーム」に関する要件は、欧米日中等の国と比べてより緩くて、その適用の前提は「従来技術と重複する部分の技術内容を除く時」、及び「除くクレームの内容を肯定的表現によって明確かつ簡潔に特定できない時」とされているため、「除くクレーム」による補正の多くが上記要件を満たすことができる。しかしながら、この方法で導入される技術的特徴は、やはり専利法第26条の明細書の実施可能要件、並びに特許請求の範囲の明確性及びサポート要件を満たさなければならない。

 

回上一頁