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専利無効審判の行政訴訟において同一の証拠に基づく無効理由の追加主張は許容されるのか



 現行の専利法(日本の特許法、実用新案法、意匠法に相当)の規定によれば、無効理由と証拠はいずれも無効審判審決前に提出すべきである(専利法第73条第4項)。したがって、原則として、無効審判請求人は訴願又は行政訴訟(日本の無効審判審決取消訴訟に相当)の段階で「無効証拠」又は「無効理由」を追加してはならない。しかし、上記規定により、行政訴訟の判決が確定した後でも、無効審判請求人は行政訴訟において新たな証拠を提出できなかったことを理由として、同一専利権(特許権、実用新案権、意匠権を含む)に対し改めて無効審判を請求してさらにもう一つの行政訴訟手続が生じるということになりがちである。行政紛争の蒸し返しを避けるため、「知的財産案件審理法」(中国語「智慧財産案件審理法」、以下「審理法」という)第33条第1項において、当事者が口頭弁論終了前に、同一の取消理由について提出した新たな証拠について、知的財産裁判所はやはりこれを斟酌しなければならないと規定されている。ただし、この条文では、「無効証拠」の提出時点に関する制限だけが緩和されたが、新証拠の提出が同一の取消理由だけに限られるため、「無効理由」の提出時点に関する制限は緩和されていない。

 

 上記規定は、2008年に審理法が施行されて以来、長年にわたり適用されており、その適用に疑義はほとんど生じていない。しかし、知的財産裁判所が20174月に下した105年(西暦2016年)度行専訴字第60号行政判決において、無効審判請求人は無効審判段階ですでに証拠A及びBの組合せを提出して係争専利の「進歩性欠如」を主張したが、行政訴訟段階では証拠Aで係争専利の「新規性欠如」の主張を追加した状況について緩やかな解釈を採った。その理由は以下のとおりである。当裁判所は、智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当。)は審理段階ですでに証拠Aの技術内容全体に対して審理を行っており、専利権者にとって不意打ち又は訴訟遅延にはならず、かつ、進歩性欠如の有無を判断する前に、そもそも新規性について審理を行うことができ、、無効審判請求人は新証拠を提出していないため、証拠間の相互作用と相乗効果を考慮する必要がなく、審理範囲を縮減することができると判断し、無効審判請求人が証拠Aに基づいて「新規性」の主張を追加することに同意した。

 

 知的財産裁判所の上記見解は、無効審判の行政訴訟における争点追加の可能性を示したが、証拠の同一性及び新規性と進歩性の審理おける階層関係を考慮する観点から、「紛争の一回的解決」の訴訟制度の目的を追求することにはむろんその意義がある。しかし、当該事件が上告された後、上記見解は最高行政裁判所に認められておらず、当該裁判所は、2018118日に下した107年(西暦2018年)度判字第36号行政判決において、新規性と進歩性は異なる専利要件に属するだけではなく、その専利法上の規定も異なっており、両者は異なる無効理由に属するため、審理法第33条第1項の規定により、新規性に関する主張は認められない、との見解を示した。

 

 以上を踏まえて、審理法第33条第1項の明確な規定の下で、今後、類似の手続紛争が発生することのないよう、無効審判請求人は無効理由を慎重に評価することにより、提出期限に遅れた際に発生する法的リスクを回避する。

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