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ロボットとその特許ポートフォリオについて



201410月、台湾経済部(日本の経済産業省に相当)工業局は、台湾版の第4次産業革命「インダストリー4.0Industry 4.0)」、即ち「生産力4.0発展プラン」を策定した。さらに、陳建仁副総統は、201711月に開催された「20173回アジアロボット及び内視鏡外科学会」の開会式で、ロボット産業開発はインダストリー4.0の重点項目の1つであると述べた。

 

インダストリー4.0では、ロボット技術には、スマートセンシング、データ収集、機械学習(マシントレーニング)、フィードバック及び制御などが含まれる。製造プロセスのオートメーション化を例とすると、ウェハの製造プロセスの各ステップで、製造工程の状況を検出し、その検出データを収集する。収集されたデータに対する計算処理を経て当該ロット製品の歩留まり率を「予測」することができ、さらにこの予測結果は次の製造プロセスを改善するためのフィードバックを提供することができる。又は、通知機能の設定で歩留まり低下の当該ロットの製造プロセスを早期に終了させることは、生産コスト削減や生産性向上を効果的に達成することに役立つ。また、製造プロセス中に設備の稼働状況を監視することにより、生産設備の部品交換時期を「予測」することができる。もう一つの例は、ロボット科学者「イブ(Eve)」の開発であり、イブは、仮説(hypothses)を自動的に立案して、実験によってその検証をし、検証結果を踏まえて仮説を修正し、そして、自発的に学習する技術によって、更なる治療効果向上、副作用軽減を目指して新薬の開発を進めることができる。さらに別の例では、ポップスミュージシャンであるタリン・サザン(Taryn Southern)氏は、自分が書いたメロディーをロボットに編曲させ、人工知能(AI)によって制作された音楽アルバムが誕生した。上述の例から、大規模なデータ処理、計算及び機械学習が次世代ロボットの中核技術であることは明らかである。

 

次世代ロボットが私たちの未来の生活に多大な影響をもたらし、ロボット技術に関するグローバルな特許ポートフォリオの構築が繰り広げられていることには疑う余地がない。

 

インダストリー4.0時代のロボットは、コンピュータなどの膨大な計算能力を備えた機器により、人間が設計したプログラムにおいて一連の計算プロセスを通じて、ある目的を達成するための装置である。人間が設計したプログラムは人間の知能による創作である。コンピュータ一で一連の計算プロセスを通じて実行される機械学習には、人間知能の関与が依然として不可欠である。その結果として、人間が開発したプログラムを利用して再発明、レクリエーションを行うことで生じた結果は、人工知能の創作に属するとともに、それは実際に人の精神活動による創作の延長線上にあるものである。

  

特許法では、発明とは、自然法則を利用した技術的思想の創作と定義されている。特許審査基準によれば、単純なコンピュータプログラムが発明の定義を満たしていないが、発明の全体が技術性を有する、例えば、技術上の困難を克服した場合、又は技術分野の手段を利用して課題を解決することにより、システム全体に対して技術分野に係る効果をもたらした場合、発明の定義を満たしていると認めなければならない。次世代ロボットでは、生データを処理する計算プログラム、機械学習のシミュレーションモデルから、出力結果のフィードバックメカニズムなどまでの各プロセスにはいずれも人間知能の関与が必要であるため、次世代の人工知能を有するロボットに関する特許ポートフォリオの構築は、まず、人間による発明や創作の技術的特徴に重点を置き、また、特許発明に合理的な保護範囲を付与するため、その様々な可能性のあるアプリケーションも考慮しなければならない。以上のことから、その特許ポートフォリオ戦略は新技術の開発革新に大きな影響を与えることが分かる。

 



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