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人工知能とクラウドコンピューティングに関する法律議題


Esther Lin/Veda Chen

2017年、Google DeepMind(グーグル・ディープマインド)が開発したAlphaGo(アルファ碁)は、人間のトップ棋士との対戦において予想外の成績を収め、世界を震撼させた。また、Elon Musk(イーロン・マスク)氏が率いるTesla(テスラ)社は巨額の資金を自動運転技術の研究開発に投じて、大きな突破と進歩を成し遂げた。人工知能(Artificial intelligence、以下「AI」という)はもはや小説や映画の題材だけではなく、着実に一般民衆の日常生活に入り込んできている。

 

AIは、レイ・カーツワイル(Ray Kurzweil)氏1990年出版の著書『インテリジェントマシンの時代(The Age of Intelligent Machines)』の中の定義で、人間の知能を必要とする任務を完成することができるマシンを製造する技術を指す。米スタンフォード大学が2016年に提出したレポート「2030年における人工知能と生活(AI and life in2030)」によると、AIは交通運輸、ホーム/サービスロボット、ヘルスケア、教育、低リソースのコミュニティ、公共安全、労働、エンターテイメントなどを含む少なくとも8分野において応用され、生活の中に普及している。

 

AIは人類の生活をより便利にしてくれているが、それに関連する法律問題も派生している。上記スタンフォード大学のレポートにおいても、AIが人類の生活に深く入り込むと同時に、民衆のプライバシー権の保護との両立をどう図るか(AIが行った決定と予測が、民衆のプライバシー情報を開示する可能性があり、例えば、すでにコンピュータプログラムを利用して信用リスクを予測している会社がある)、また、刑事事件において、AIが関わる行為が刑法の条文に書いてある構成要件に該当する場合、裁判所及びその他の執行官はAIに対してその責任を追及するのか、及びどのような理論で責任を追及するのかなどの問題に直面することについて言及されている。このほかに、AIが一部の現有の仕事に代替すると予期できる場合、失業などの民衆の労働権などの問題をもたらすこととなる。

 

台湾では、現代法に与えるインパクトを含め、AIが引き起こすであろう法律問題についてもよく議論されている。例えば、AIは法律上に規定された「人」として位置付けられることはできるのか、また、それは権利を有し義務を負担することはできるのかである。また、公法の角度から、将来的にAIに公務員(例えば警察)の公権力執行を代替又は協力させる場合、AIが公権力執行者の義務を履行する責任を負うことをどのように確保するのか、これらはいずれも議論が待たれる法律問題である。

 

AIがもたらした驚くべき結果の一部は、近年急速に発展してきたクラウドコンピューティング(Cloud Computing)に起因しているに違いない。クラウドコンピューティングは、米国国立標準技術研究所(NIST)が提出した定義によると、どこにでもあるネットワークを通して、便利かつ必要に応じたオンデマンドの方法でコンピューティングリソースの共用プール(例えばネットワーク、サーバー、ストレージ、アプリケーションプログラム及びサービス)にアクセスできる運用モデルであり、コンピューティングリソースは最小限の管理労力とサービスプロバイダとのやりとりだけで、速やかに割り当てられ提供されるものである。クラウドコンピューティングの方法を通じ、比較的大きなデータ及び複雑な計算もまたクラウドコンピューティング方式で効率良く処理することができ、多くの報道でも指摘されているように、テクノロジーのリーダーはクラウドコンピューティングのビジネスチャンスを見込み、すでに未来のポートフォリオ構築を計画し始めている。

 

クラウドコンピューティングの使用は、ファイルの所有権の帰属、個人のプライバシー権の保護、個人情報保護及びデータの伝送及び管理はどの国の法規を遵守すべきかなどの議題に関わる。共有のソフトウエアリソースを使用して編集されたファイルの所有権、ひいてはそれに関連する知的財産権に関してはいったいソフトウエア又はハードウェアのプロバイダに属するのか、それとも編集者に属するのか。また、個人情報、企業の営業秘密などを含むファイルがクラウドコンピューティングサービスを使用した際に生じた漏洩又は毀損について、そのリスク及び責任はいったい誰が負うべきなのか、提供者はいつ免責を主張できるのか、及び使用者の求償などの問題も浮上してきている。

 

テクノロジーの勃興に伴い、産業界でも急速に対応してそのビジネスモデル変化しつつあるが、法律規定がいかにして絶えず生み出される新技術に急速に対応していくかは、現代社会の重要課題であり、注目に値するものである。

 

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