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智慧局が自ら原処分を取り消す態様についての例示を公告



法治国家の原則のもと、行政機関は行政処分の作成の前後を問わず、いずれも「法律による行政」の原理の拘束を受けなければならない。したがって、行政機関が行政処分を下した時点から、当該処分に違法があった場合、たとえ当該処分がすでに「形式的存続力」を有していても、やはり自ら職権により当該違法処分を取り消すことができ、これは「行政手続法」第117条に定められている「違法な行政処分については、法定の救済期間が過ぎても、原処分機関は職権によりその全部又は一部を取り消すことができ、その上級機関もそれをすることができる」との規定に基づくものである。言い換えると、行政機関が行政処分を下した後、たとえ民衆の法による救済提起期間が過ぎても、行政機関が当該処分が違法と判断した場合、依然として当該行政処分を取り消すことができるのである。

 

しかし、法規範には解釈の余地があり、また、各行政機関の実際の運用状況もそれぞれ異なることから、上述した規定を実際に適用する際には、行政機関が自ら原処分を取り消すメカニズムの運用については、若干の論争が生じることは避けられない。

 

これについて、経済部智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当。以下「智慧局」という)は台湾において専利(特許、実用新案、意匠を含む)付与と審査に関する事務を取り扱う主務官庁であり、専利出願人及び専利権者の権益を保障するため、また、専利の審査の質の全面的向上のため、20171031日に、智慧局のホームページにて「智慧局が自ら原処分を取り消す態様についての例示説明」(https://www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=646798&ctNode=7127&mp=1)を公告し、専利出願の初審査・再審査の査定書又は無効審判の審決書について、「事実認定の誤り」、「法令適用の誤り」、又は「手続又は形式要件違反」の3種類の違法類型を明確に例示し、さらにそれぞれの類型について数種類の具体的態様を挙げた。詳しくは以下のとおりである。

 

1.         「事実認定の誤り」の違法態様には、「引用文献が不適格」及び「審査書類としたバージョンの誤り」等の状況が含まれる。前者は、例えば出願日(又は優先日)後の文献を新規性又は進歩性欠如のための引例として引用することがあり、後者は、例えば出願人はすでに明細書の補正を送付していたが、智慧局が補正前のバージョンに基づいて査定してしまったということがある。

 

2.         「法令適用の誤り」の違法態様には、「複数の引用文献の組合せにつき法律条文の適用誤りがある」及び「特許出願について、「専利法」第46条に基づかず(意匠は「専利法」第134条に基づかず)に拒絶査定とした」等の状況が含まれる。前者は、例えば複数の引用文献の全て又は一部の技術内容を組み合わせて「新規性欠如」の対比文献とすることがあり、後者は、特許を例にすると、特許出願について「発明の定義」「特許要件」「新規性喪失の例外」「法定の不特許事由」「記載要件」「先願主義に関する択一、協議」「二重出願についてそれぞれ申告をしていない又は期限までに択一していないこと、実用新案が既に消滅したとき又は取消が確定したとき」「単一性」「分割要件違反」「補正要件違反」「変更要件違反」「補正した中国語版の明細書が外国語版の範囲を超えた、又は誤訳の訂正が外国語版の範囲を超えた」に該当したのではないのに、拒絶査定とされたものである。

 

3.         「手続又は形式要件違反」の違法態様には、「拒絶査定がなされる前に、期限を定めて応答するよう出願人に通知しなかった」、「査定書の内容に不一致や漏れがある」(例えば査定の主文と理由が一致しない、査定書の理由欄が空白又は他の案件の査定理由が誤植されている)及び「処分の相手方に誤りがある」(例えば、査定前に出願人又は専利権者がすでに名義変更又は譲渡を登録していたが、査定書ではなおも原出願人又は原専利権者として査定された)等の状況が含まれる。

 

智慧局は、行政処分が上記の違法態様のいずれかに該当した場合、同局の担当部署は自ら原処分の取消しを行い、審査をやり直す旨を明らかに示した。たとえ行政処分に係る瑕疵が当該公告で掲示された態様に属さない場合でも、担当部署は瑕疵の程度に応じて自ら原処分の取消し、又は訂正等の方法により原処分の瑕疵を取り除くこともできる。

 

このほかに、智慧局のホームページでは、すでに再審査を請求し審査手数料を納付した案件について、初審査の段階において当該公告で例示した状況が生じた場合、自ら初審査の査定書を取り消すほか、さらに超過納付された手数料を返還し、さらに初審査の段階に戻して審査をやり直しなければならない、とも指摘している。

 

智慧局のこの「自ら原処分を取り消す態様についての例示説明」の公告は、自ら原処分を取り消すことができる状況について、具体的な判断基準を提供しているため、専利出願人及び専利権者にとっては、かなり参考価値のあるものである。

 

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