ホーム >> ニュース、出版物など >> 理律法律事務所の出版物 >> ニューズレター >> 最高裁判所、他人の著作物の利用には著作者の氏名又は名称を表示すべき旨を判示


最高裁判所、他人の著作物の利用には著作者の氏名又は名称を表示すべき旨を判示



著作者人格権とは、著作者が自己の著作物に対して有している人格的、精神的利益を保護する権利を指す。著作物も著作者の名誉、声望などの人格の権化であるため、これらの著作者と著作物との間の特殊な精神層から生じる利益を保護する必要があり、この保護を受ける権利を著作者人格権と称する。その内容は、「著作権法」第15条規定の「公表権」、同法第16条規定の「氏名表示権」及び同条第17条の「同一性保持権」に見られる。

 

その中で、「著作権法」第16条第1項の規定に基づき、著作者は氏名又は名称を積極的に表示し、又は消極的に表示しない権利を有しており、これは著作者人格権における氏名表示権に関する規定である。また、同条第4項では、著作物利用の目的及び方法に照らし、著作者の利益を害するおそれがなく、かつ、その利用が社会的慣行に反しない場合には、著作者の氏名又は名称を省略することができると規定されている。また、著作者の氏名表示権及び閲読者の著作者を知る権利の保護に基づき、「著作権法」第64条では、他人の著作物を合理的に利用する場合、その出所を明示すべきと規定されている。いわゆる出所の明示とは、著作者の氏名又は名称について、無名の著作物又は著作者不明の著作物を除き、合理的な方法によりこれを表示しなければならないことである。これに基づき、無名の著作物、著作者不明の著作物、同法第16条第4項に規定する事情又は契約による特別な約定があった場合を除き、他人の著作物の利用にあたっては、著作者への尊重を表すためにその氏名又は名称を表示すべきである。これについて、最高裁判所は2017329日に下した106年度(西暦2017年)台上字第54号判決においても前述した解釈を肯定している。

 

当該事例の事実の概要は以下のとおりである。著作者は、自分が作成したワインの販売をテーマした6編の文章を自身のサイトに掲載し、かつ、その文章のトップページタイトルに著作者の名称を明らかに表示していたが、利用者がかかるワインの商品を販促するために、著作者の同意を得ず、サイトで検索して得た係争文章を無断で利用者のフェイスブック及びサイトに複製したと主張した。本件争いは、著作者の名称を表示していなかったことは、利用者の複製行為は著作者の著作者人格権における氏名表示権を侵害しているか否かとなった。

 

第一審裁判所の判断は以下のとおりである。利用者は著作者の一部著作物の内容を剽窃し、さらに自ら改作した部分を加えて利用者名義で公表したもので、著作者の氏名表示権を侵害しているとは認めることはできない。本件の利用者は係争6編の文章の内容を複製しているが、利用者は係争文章の内容の全てを完全に剽窃したのではなく、係争文章の一部内容を削除するとともに、利用者の会社が酒類を販売しているという文言も加えたため、利用者は原告の氏名表示権を侵害しておらず、著作権者が利用者に対して氏名表示権の侵害を理由として損害賠償を請求することは、根拠がない(台湾知的財産裁判所102年度(西暦2013年)民公訴字第2号判決を参照)。

 

第二審裁判所の判断は以下のとおりである。「著作権法」第16条第4項の規定に基づき、著作物利用の目的及び方法に照らし、その利用が社会的慣行に合致し、かつ、著作者の利益を害するおそれがない場合には、著作者の氏名又は名称を省略することができる。利用者による係争文章の利用は、読者に、利用者が各文章に記載されているワインを販売していることを認識させるもので、読者に、利用者が文章の著作者であると誤認させることはなく、かつ、著作者も被告による利用によって何らの影響も受けていなかったので、著作者人格権の侵害に該当しない(台湾知的財産裁判所103年度(西暦2014年)民公上字第1号判決を参照)。

 

上述争いについて、最高裁判所は、「著作権法」第16条の規定は同法第64条の規定と併せて解釈すると、初めて著作者を尊重するといえるという見解を示した。そのため、第二審裁判所が述べた「著作権法」第16条第4項に規定されている事情のほか、無名の著作物、著作者不明の著作物、又は契約による特別な約定があった場合を除き、他人の著作物の利用あたっては、著作者への尊重を示すために、その氏名又は名称を一律に表示すべきとされた。よって、今後、他人の著作物を利用する場合、著作者の著作者人格権を侵害しないよう、前述氏名表示権に関する制限に特に注意すべきである。

 


TOP