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知的財産裁判所、国内外の商標権者が異なる場合、真正品の並行輸入を主張することができない旨を判示



「商標法」及び現在の実務上の多くの見解によると、真正品の並行輸入は「商標法」違反にはならない。ただし、「著作権法」による保護の客体(対象)であれば、「著作権法」における真正品の並行輸入の制限をめぐる問題に関係している

 

厳密に言うと、「商標法」では、真正品の並行輸入について明確に定義又は規定されていない。現在、実務において、「商標法」第36条第2項前段の規定を引用して真正品の並行輸入が商標法違反にならない根拠とするいう見解が多く示されているが、一体どのような類型を合法的な並行輸入と見なすことができるかについては依然として見解が分かれている。

 

知的財産裁判所は、105年度(西暦2016年)民商上字第14号民事判決において、「商標法」第36条第2項前段の規定の趣旨に照らし、輸入品の外国の商標権者と国内の商標権者とが異なる場合、輸入業者は真正品の並行輸入と抗弁することができない、と具体的に認定した。

 

現在の実務上の多くの見解によると、商標権に係る真正品の並行輸入とは、輸入業者が他国から台湾市場へ輸入した商品であり、かつ、商標権者(台湾で商標権を取得した人を指す)本人又はその許諾若しくは同意を得た人が、合法的にそれを製造並びに商標を使用し、台湾の販売店又は代理店が市場で販売している商品ではなく、すでに他国の市場で取引流通されているものを指している。一般的には「灰色マーケット商品(Gray market goods)」とも呼ばれる。いわゆる並行輸入の商品は、一般的によく聞く「水貨」であり、いわゆる「水貨」とは、商品が代理店ではなく、国外のその他の商品供給源から代理店が販売している物と同じメーカーの商品を購入したもので、当該商品が商標権者又はそれが許諾した使用者によって製造され、又はその同意を得て製造された商品であれば、即ち模倣品や偽物ではなく、真正品であり、かつ適法的な方法で台湾地区に輸入され販売されたものをいう。

 

知的財産裁判所は105年度(西暦2016年)民商上字第14号民事判決において、以下のような見解を示した。「商標法」第36条第2項前段では、「登録商標が付された商品が、商標権者又はその同意を得た者により国内外の市場において流通取引されたとき、商標権者は当該商品について商標権を主張することができない」と定められている。即ち、商標権の「消尽原則」(the principle of exhaustion )又は「ファースト・セール・ドクトリン」(First Sales Doctrine)である。同条は、1993年の改正により新設されたもので、その立法理由としては、「商標を付した商品が、商標の専用使用権者又はその同意を得た者により市場において流通取引された後、その商標の専用使用権はすでに消尽しており、当該商品を所持し、又は販売し続ける第三者に対して再び商標の専用使用権を主張することはできない」とされている。その後、2011年の改正に条文の文言をやや修正し、「市場」から「国内外の市場」に変更した。その改正理由としては、「本項は商標権の国際消尽論を示すものである。現行法の『市場』には、明確に示されていない『国外市場』を含んでおり、本法は国際消尽の原則を採用することを明確にするために、『国内外』などの文言を加える」とされれている。以上から分かるように、我が国の「商標法」は国際消尽の原則を採用している。その趣旨は、商標権者や被許諾者が市場で、その商標が付された商品を国内又は国外において最初に販売(ファースト・セール)し又は流通する時、すでに利益を得ており、その商標が付された商品が生産者から小売業を経て消費者に至るまでの垂直的流通過程において、その商標についての黙示の使用許諾がすでに存在しているため、商標権は当該商品の最初の販売時にすでに消尽しており、その商品が再び市場に流通する時、原則的に商標権者は再びその商標権を主張することができないというものである。この原則の目的としては、商標権者は、その商標の使用に対して、独占排他的な権利を有するが、商標権者に同一の権利に対して繰り返し利益を付与すべきではないことにある。換言すれば、商標権者は、その商標が付された商品を市場で流通して合理的な利益又は対価を得たからには、その商品に係る商標権はその目的を達成したものとするため、商標権者が最初に販売した商品に対して再び商標権を行使して他人が市場で再びその商品を販売することを禁止してはいけないことは当然である。

 

係争商品は、輸入業者が国内の商標権者から購入したものではなく、米国の会社から購入したものであるので、上述商標権消尽原則に基づき、米国の会社がすでに市場において係争商標が付された商品に対して最初の販売を行ったから、その商標権はすでに消尽しており、米国の会社は本来の商標権者としての地位に基づいて輸入業者に権利を主張することができない。しかしながら、係争商標について、我が国では、米国の会社が商標権を取得したものではなく、別会社が商標権を取得したものであり、かつ、係争商品を市場へ最初に流通させたのは国内の商標権者ではないため、本件の国内の商標権者にとって、係争商品に対する「最初の販売行為」もなく、係争商品からいかなる利益も得ていないことから、「商標権の消尽」と認められない。よって、商標権者は「商標法」第36条第2項にいう「商標権者」に該当しないため、当該条項に関する権利の消尽原則の適用は認められず、それが輸入業者に係争商標権を主張することができることが当然のことである。

 

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