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日台優先権証明書類の電子的交換に紙媒体の提出期間の制限は依然として存在



 専利(特許、実用新案、意匠を含む)出願人が同一の発明についてすでにWTO加盟国又は台湾と相互に優先権を承認している外国において、法に基づき最初の出願をし、かつその国外最初の出願日から12ヶ月以内(意匠は6ヶ月以内)に、当該外国の出願を基礎として台湾に出願すれば、国際優先権を主張することができ、当該外国の出願の出願日(優先日)を当該出願が専利要件を満たすか否かを判断する基準日とする。出願人が国際優先権を主張する際には、最先の優先日から16ヶ月以内(意匠は10ヶ月以内)に、外国又はWTO加盟国が受理を証明した出願書類を提出しなければならない(専利法第29条を参照)。

 

 従来の優先権証明書類はいずれも紙媒体に限られていたが、経済部智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当。以下「智慧局」という)は電子通信テクノロジーの発展に応じ、また、紙媒体作成における重複作業にかかる時間とコストをなくすとともに、出願人の多国間にわたる出願手続の簡略化、紙書類郵送支出の削減等の目的を達成するため、2013115日付けで締結した「優先権証明書類電子的交換了解覚書」により、日本特許庁と2013122日から優先権証明書類の電子的交換の手続きを開始した。また、2015615日付けで締結した「工業所有権情報の交換及び優先権書類の電子的交換覚書」により、韓国特許庁と201611日から優先権証明書類の電子的交換の手続きを開始した。よって、専利出願人は日本、韓国で提出した特許出願及び実用新案登録出願を優先権主張の基礎出願として、智慧局に特許出願、実用新案登録出願をする際に、智慧局へ紙媒体の優先権証明書類を送付する必要はなくなり、日本特許庁又は韓国特許庁が発行する「アクセスコード」により書類データの電子的交換を行うことができる(専利法施行規則第26条第1項、「日台優先権証明書類の電子的交換作業要点」及び「台韓優先権証明書類の電子的交換作業要点」に関連規定を設けている)。

 

 しかしながら、電子データ形式による優先権証明書類の交換が、専利法第29条第3項にいう期間の制限(最先の優先日から16ヶ月以内に提出しなければならない)を受けるのか否かについて、最高行政裁判所は2017413日付の106年(西暦2017年)度判字第182号行政判決において肯定的な見解を示した。

 

 本件の出願人は、201492日に智慧局へ特許出願し、201393日に日本で出願した特許出願を基礎として優先権を主張したが、優先権証明書類の正本を提出しておらず、優先権証明書類の電子的交換のアクセスコードも記載していなかったため、智慧局は書簡にて出願人に201513日までに優先権証明書類の正本又はアクセスコードを補正するよう通知したが、出願人は期限を過ぎた201519日になって初めて智慧局へアクセスコードを送付した。智慧局は出願人が法定期間に間に合わなかったことから係争出願は優先権を主張しないと見なした。訴願提起をしたにも関わらず、やはり経済部はその行政処分を維持した。当該出願人はその後台湾知的財産裁判所及び最高行政裁判所に行政訴訟及び上告を提起し、原処分の取消を求めたが、いずれも棄却された。

 

 最高行政裁判所は、本件の最初に出願した国は日本であり、出願人は紙媒体の証明書類の提出又はアクセスコードの提出のいずれかの方法で優先権を主張したに関わらず、いずれも16ヶ月の優先権証明書類の提出期限を遵守しなければならない。期限内に紙媒体の証明書類又はアクセスコードを提出しない場合、上記した専利法第29条第3項の規定により、優先権を主張していないと見なすと判示した。

 

 当該出願人は、「台韓優先権証明書類の電子的交換作業要点」の五の(一)の規定には、電子的交換の表明さえあれば、法定期間内に優先権証明書類を提出したものと見なすことができるとされているが、本件が「日台優先権証明書類の電子的交換作業要点」に基づき法定期間内にアクセスコードの提出が必要となることは、平等原則に反する云々と主張したが、最高行政裁判所は、この議題はWTO加盟国間で具体的措置を協議する際の互恵条件に関わり、各国は自身の利益に基づいて考慮しており、相互間の考慮要素及び利益衡量の比率を一致させることは難しく、たとえ具体的な実施に関する作業方法の難易度が異なったとしても、このような違いが平等原則に反すると主張することは難しいとして、最終的に出願人の訴えを棄却した。

 

 よって、特許出願人はより簡素化された電子的交換手続を通じて日本、韓国等の国の国際優先権を主張することができるが、重要な権利・利益が損なわれぬよう、やはり専利法の規定と期限、そして各作業要点の規定に留意しなければならない。

 

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