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2017年度労働検査方針及びその一部改定について



昨年の12月及び今年1月に、いわゆる「一例一休(毎週1定例休日、1休息日)」の労働基準法の大改正が施行されました。これに応じて、20167月に公表された2017年度労働検査方針が2017210日に一部改定されました。労働検査方針は、労働検査法、労働基準法及び職業安全衛生法に基づき、毎年労働部から公表されているものです。労働基準法を遵守しなければならないのは当然ですが、労働関係の重要法令は労働基準法だけではないので、労働検査方針の内容を理解することは、経営者にとっても有用であると考えられます。そこで本ニュースレターでは2017年度労働検査方針の概要及び改定内容を紹介致します。

 

1 基本方針:リスク格付けに応じた検査の実施

 

 本指針では、労働条件に関する法令の遵守度が好ましくない事業者に対して、優先的に検査を実施するとされています。具体的には、事業者について「リスク格付け」を行い、事業者を「優良事業者」「高リスク事業者」「中小事業者」に分け、これに応じて労働検査等を実施するとされています。特に「高リスク事業者」に対しては、所轄の政府機関が優先的に検査を行い、さらに改善を支援することが想定されています。

 

2 優先的に検査すべき事業者の選定

 

優先的に検査すべき事業者については、以下の基準に従って、(1) 検査を実施すべき事業者、(2) 優先して重点検査(中国語:「專案檢」)を実施すべき事業者及び (3) 特別検査の対象事業者を選定するとされています。

 

(1)検査を実施すべき事業者

 

労働条件

・労働条件が労働法令に違反するという届出、苦情、告発があった場合

・マスメディアによって労働法令違反があるとの報道があった場合

・重点検査又はその他の検査で法令違反が発覚した場合において、情状が重大である事業者、又は期限までに改善されなかった場合

職業安全衛生

・死亡又は重傷者を伴う職業災害があり、改善状況のフォローアップが必要である場合

・年度防災重点指導の対象者で、職業安全形成施設の改善に協力しない場合

・危険な機械又は設備の検査申請をした場合

・労働検査法26条の規定に従い、危険作業場所の審査又は検査の申請をした場合

・労働者健康業務担当医療人員を設置していない場合

・安全衛生の状況が労働法令に違反するという届出、苦情、告発があった場合

・マスメディアによって労働法令違反があるとの報道があった場合

 

上記のうち、「労働者健康業務担当医療人員(從事勞工健康服務醫護人員)を設置していない場合」については2017年度版で追加されたものであり、注意が必要です。労働者健康業務担当医療人員については、労働者健康保護規則により設置が義務づけられているもので、設置の要否は規模等によって異なります。

 

 

(2)優先して重点検査を実施すべき事業者

 

労働条件

・労働条件が労働法令に違反するという届出、苦情、告発が多い、ないしは、マスメディアによって労働法令違反があるとの報道があり、かつ影響が広範である業界

・労働部が労働環境情勢及び民意を参酌して、政策的に労働条件重点検査を実施するとされた対象及び規模に該当する場合

職業安全衛生

・火災、爆発予防

・大型建設工事の安全

・屋上又は高所での作業における墜落、転落、踏抜き及び激突による危害の予防

・はさまれ、巻き込まれ、切断などの労働能力を喪失させうる災害の予防

・高毒性、高刺激性、腐食性のもの及び特殊な気体(遊離二酸化ケイ素の粉塵を含む。)、石綿、ベンゼン、クロム酸塩、砒素、鉛、カドミウム、マンガン等の化学的要素及び騒音、高温、異常気圧等の物理的要素による職業病の予防に関する重点調査

・下水道、暗渠、マンホール、給水塔、下水処理腐敗槽、生(消)化槽、発酵槽、温泉水槽、汚水処理槽、船倉、反応槽及び貯蔵槽の内部での作業における狭所災害予防に関する重点調査

 

 

(3)特別検査の対象の事業者

 

特別検査

3年以内に同一事業者または同一の作業場所において死亡者または重症者を伴う職業災害が2件以上発生した場合

3年以内に死亡者又は重傷者を伴う職業災害が発生した作業場所、又は平時から100人以上労働者を雇用している事業者又は丁類危険作業場所において、1年以内に職業安全衛生施設が法令の規定に適合していないことを理由として業務停止改善通知又は過料処分を3回以上受けた場合

1年以内に機械、設備及び器具の安全防護施設の不良によって労働者の能力に障害が生じ、その程度が労働者保険条例能力喪失基準の第1級から第9級に該当する者が2名以上生じた事業者

・工場の定期的補修、大改修及び化学設備の補修等の施工によって、火災爆発等が発生し労働者に重大な危害を与えるおそれがある場合

・一年以内にその作業場所の有害な化学品、気体、蒸気及び粉塵等職業上の原因によって、労働者の疾病、死亡が生じた場合

 

2 監督、検査の重点事項

 

(1)労働条件事項及びその他の労働法令

   

  今回の改定では、以下で下線を引いた部分が変更されました。

 

労働条件等

通常労働時間(フレックスタイムによる労働時間を含む)、延長労働時間(休息日を含む)、定例休日(中国語:例、休暇(原住民族の祭日を含む)等の給与の給付に関する規定。

通常労働時間(フレックスタイムによる労働時間を含む)、延長労働時間(休息日を含む)に関する規定

定例休日及び休暇(原住民族の祭日を含む)に関連する規定

給与の定期的、全額、直接給付及び基本給与を下回ることができないこと、及び違約金又は損害賠償を差し引くことができないことに関する規定

労働者の退職(準備金)及び未払給与立替基金の積立不足の処理(納付)

退職金及び解雇手当の給付に関する規定

少年労働者(15歳以上16歳未満の労働者)、女性労働者及び技術訓練生の保護に関する規定

職業災害の補償に関する規定

就業規則の届出

労働者カードの備置及び保管

労使会議の開催

性別就業平等法に規定している性別、性傾向差別の禁止、セクシャルハラスメントの防止及び就業平等措置の促進等に関する事項

労働者福利金の拠出等に関する事項

労働保険、就業保険への加入及び標準報酬月額に関する事項。

就業服務(就職支援サービス)における就業差別、解雇届け及び違法雇用、違法労働等外国人の監督に関する事項

 

 このように、いわゆる「一例一休(1定例休日・1休息日)」の労働基準法改正にあわせて改定され、休息日の出勤が延長労働時間の制限の対象になることを踏まえた文言の修正等がなされました。さらに、労働者が原住民族である場合、所属する民族の祭日に休暇が与えられることも追記されたので、今後の労働検査ではこの点についての質問、検査がなされる可能性が十分にあり、注意が必要です。 

 

(2) 職業安全衛生事項

 

職業安全衛生事項としては、一般労働検査と特定項目検査に分けてそれぞれ検査項目が記載されています。その大半は危険な作業場所や作業、物質等に関するものですが、特に、2017年度版になって始めて追加された項目としては「青少年職業安全衛生検査」があり、その職業災害の予防措置が検査の重点とされています。また、「特定対象保護検査」については、18歳未満の者、妊娠中及び分娩後1年以内の女性労働者に関する職業安全衛生法上の健康管理及び健康保護措置が検査の重点とされています。

 

3 その他

 

 その他、全体としては、2017年度労働検査方針は2016年度労働検査方針の内容を踏襲したものとなっています。もっとも、労働関係の法令等は頻繁に改正されていますので、十分に注意する必要があります。

 


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