薬事法改正案について



衛生福利部(日本の厚生労働省に相当、以下「主務官庁」という)は2016年上半期に2本の薬事法改正案を提出し、特許連携(Patent Linkage)制度及び新適応症新薬(先発医薬品)のデータ独占権の保護を導入し、さらに今年の下半期にその2本の改正案を1本(以下「改正案」という)にまとめ、またそれに対して募集した意見(パブリックコメント)を踏まえて少々変更した。これについて、行政院(日本の内閣に相当)にて201684日付で当該改正案が閣議決定され、立法院(日本の国会に相当)へと送付されて一読の審議(台湾の立法手続。一読、二読、三読と続く)を行った。当該改正案はすでに20169月中旬に一読を通過し、さらに立法院社会福利及び衛生環境委員会での審議と討論へと送付されたが、当該委員会にて当該改正案についての審議討論はまだ一度も行われていない。本改正案に関する説明は以下のとおりである。

                                                                                                                    

1. データ独占権び市場独占権の保護

 

1)新成分新薬(旧第40条の2の改正)

 

現行薬事法は新成分新薬を含む医薬品に対して5年のデータ独占権と市場独占権の保護期間を付与している。しかし、新成分新薬は先に海外で販売許可(承認)を申請したが、5年のデータ独占権の保護を受けたい場合、当該国の販売許可が発行された後3年以内に我が国へその新成分新薬についての試験検査登記を申請しなければならない。

 

改正案では、データ独占権の絶対的な保護期間は5年から3年に短縮される。しかしながら、市場独占権の5年の絶対的な保護期間及び海外で販売許可を取得した新成分新薬の3間のデータ独占保護の制限変わらない。

 

2)新適応症新薬(改正条文第40条の3の新設)

 

現行薬事法第40条の2の規定によると、適応症が追加又は変更された医薬品に対してデータ独占権又は市場独占権の保護を付与していない。

 

薬事法改正案では、適応症が追加又は変更された医薬品に対して2年のデータ独占権の保護期間3の市場独占権の保護期間が導入される。我が国における臨床試験の実施を奨励又は促進するため、申請者が当該医薬品に対して国内臨床試験を行う場合、5年の市場独占保護期間受けることができる。

 

新成分新薬のデータ独占権の保護に類似しており、改正案では、適応症が追加又は変更された医薬品のデータ独占権の保護に対しても制限が設けられている。言い換えれば、申請者がすでに海外で適応症が追加又は変更された医薬品の販売許可を申請したが、2年のデータ独占権の保護受けたい場合、当該販売許可が発行された2年以内に海外で申請した適応症が追加又は変更された医薬品に対して我が国で申請をしなければならない。

 

2.特許連携制度

 

台湾では、現在特許連携制度がまだ構築されていないため、改正案には薬事法第41章「パテントリンケージ」(第48条の3ないし第48条の22)とその他関連する条文(第92条の1、第100条、第100条の1及び第106条)が新設されている。上述の新設された条文は新薬に係る特許情報の申告及び登録、ジェネリック医薬品許可証申請案件のすでに許可された新薬の特許状態についての声明の提出義務、医薬品に係る特許権侵害の疑いがある通知及びジェネリック医薬品の医薬品許可証発行の一時停止手続き、特許の有効性に疑義あり又は権利を侵害していないジェネリック医薬品の独占販売期間、新成分新薬以外の新薬に係る特別規定、経過規定及び関連規則を定める権限の付与などの規定に係るものである。

 

1)特許情報の申告

 

改正条文第48条の3に基づき、新薬の医薬品許可証所有者は医薬品許可証を取得した日の翌日から45日以内に特許情報を申告することができる。申告できる医薬品に係る特許権は物質、組成物又は配合剤、医薬用途に限られており、そのうち医薬用途の特許は別途請求項を提出しなければならない。改正条文第48条の21に定められるように、上述した特許は改正案の発効前に存続期間がまだ満了していない場合、新薬の医薬品許可証所有者は本改正案の発効後3ヶ月以内に特許情報を申告することができる。

 

a. 改正条文第48条の4は、新薬の医薬品許可証所有者に前条の特許について特定の情報(例えば特許証書の番号、特許権の存続期間満了日、特許権者と専用実施権者)を提供すべきと求めている。新薬の医薬品許可証所有者が特許権者と異なる場合、新薬の医薬品許可証所有者は特許権者の同意を得なければならない。当該特許権は特許法により専用実施権の設定登録があった場合、専用実施権者の同意を得ていればよい。

 

b. 主務官庁より医薬品許可証が発行された後に特許権を取得した場合、改正条文第48条の5により査定公告日の翌日から45日以内に特許情報を申告しなければならない。

 

c. 改正条文第48条の6では、特許権の存続期間の延長、請求項の訂正、特許権の取り消し、特許権の消滅、特許権者と専用実施権者の情報に変更があるなどの事情がある場合、その事情が発生した翌日から45日以内に主務官庁に変更又は削除を行わなければならない、と定められている。

 

d. 改正条文第48条の7では、いかなる第三者も理由を記載した書面を作成し及び証拠を添付して登録された情報に誤りがあることを主務官庁に通知することができる。主務官庁は前述の通知書を受け取った日の翌日から20日以内に当該第三者の通知書と関連する書面資料を新薬の医薬品許可証所有者に転送しなければならない。新薬の医薬品許可証所有者は通知書を受け取った日の翌日から45日以内に主務官庁に回答しなければならない、と定められている。

 

e. 改正条文第48条の8に基づき、主務官庁は前述の改正条文第48条の6と第48条の7基づき、新薬の医薬品許可証所有者が申告した特許情報を登録並びに開示しなければならない。

 

2)ジェネリック医薬品の医薬品許可証申請者による特許に係る申告

 

改正条文第48条の9に基づき、ジェネリック医薬品の医薬品許可証申請者は医薬品許可証を申請するときに新薬の医薬品許可証所有者のすでに許可された新薬が登録された特許権に対し、主務官庁に次の各号のいずれか一つについて申告を提出しなければならない。

 

.当該新薬について、いかなる特許情報も登録されていない。

.当該新薬に対応する特許権がすでに消滅している。

.当該新薬に対応する特許権が消滅して初めて主務官庁によって医薬品許可証が発行された。

.当該新薬に対応する特許権は取り消すべきものであり、又は医薬品許可証を申請するジェネリック医薬品は当該新薬に対応する特許権を侵害していない。

 

3)ジェネリック医薬品の医薬品許可証申請者による通知およびジェネリック医薬品の医薬品許可証発行の一時停止

 

改正条文第48条の12に基づき、ジェネリック医薬品の医薬品許可証申請案件が第48条の84号の申告にかかわる場合、申請者は主務官庁による試験検査登記の申請資料完備の通知書が送達された日の翌日から20日以内に、書面にて新薬の医薬品許可証所有者及び主務官庁に通知しなければならない。新薬の医薬品許可証所有者が登録された特許権者、専用実施権者と異なる場合、併せて通知しなければならない。改正条文第48条の13に基づき、新薬の医薬品許可証所有者、特許権者又は専用実施権者がその通知書を受け取った場合、改正条文第48条の12に基づく通知書を受け取った日の翌日から45日以内に特許権侵害訴訟を提起することができる。

 

同条文の規定に基づき、主務官庁は新薬の医薬品許可証所有者が通知を受け取って訴訟を提起した日の翌日から15ヵ月以内に医薬品許可証の発行を一時停止しなければならない。ただし、ジェネリック医薬品の医薬品許可証申請者の特許権侵害を認めなかった判決の取得、智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当)による特許取消決定の作成、当事者間での和解成立、特許の消滅などの事情があった場合、主務官庁はやはり医薬品許可証を発行することができる。

 

4)最初に医薬品許可証を取得したジェネリック医薬品の製薬会社の市場独占権の保護

 

改正条文第48条の16に基づき、最初に医薬品許可証を取得し、かつ、特許権侵害訴訟においてうまく防御したジェネリック医薬品の製薬会社は12ヵ月の市場独占販売期間を受けることができる。主務官庁はその12ヵ月間内に他のいかなるジェネリック医薬品の医薬品許可証申請者にも医薬品許可証を発行してはならない。また、改正条文第48条の17に基づき、当該ジェネリック医薬品の製薬会社は医薬品許可証を取得した日の翌日から6ヵ月以内に販売を行わなければならない。

 

しかしながら、改正条文第48条の18の規定に基づき、当該ジェネリック医薬品の製薬会社は医薬品許可証の発行日の翌日から6ヵ月以内に当該医薬品が市場に出回らなかった場合、主務官庁はその12ヵ月の販売独占期間を取消すことができる。

 

5)「公平交易法」(※日本の「不正競争防止法」、「独占禁止法」に相当)関連

 

改正条文第48条の19では、以下の内容も定められている。新薬の医薬品許可証所有者、ジェネリック医薬品の医薬品許可証申請者又は最初のジェネリック医薬品の医薬品許可証申請者の間で、特許連携に関する和解協議が行われたときは、主務官庁に通報しなければならない。主務官庁は今後、通報の方法及び内容に関する規則を定めなければならない。主務官庁は通報された協議が公平交易法に違反するおそれがあると認めた場合、公平交易委員会(日本の公正取引委員会に相当)に通報することができる。


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