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労働基準法改正の概要



労働基準法の一部条文の改正案が2016126日に立法院を通過し同年1221日に総統により公布されました。今回改正された条文は計10条で、特段の規定がある場合を除き、20161223日から施行されました。

 

今回の重要な改正点は、以下の9点です。

 

・労働者の週五日勤務制の実施

・労働者に「休息日」(中国語:「休息日」)に出勤させる場合に給付すべき賃金の大幅な引き上げ

・「国定の祝日」(中国語:「國定假日」)の削減

・年次有給休暇(以下、「年休」という。)の増加

・年休の時期指定の方式及び未消化の年休に対する金銭による補償

・シフト制勤務の場合の休息時間の付与

・雇用主の賃金算定内訳の提供義務

・通報者の保護

・違反行為に対する過料金額の引き上げ

 

そのうち、国定の祝日の削減及び年休の増加に関する改正条文の施行日は、201711日とされています。また、シフト制勤務の場合の休息時間の付与に関する規定の施行日は、別途、行政院の指定に委ねられるとされています。

 

これらの改正は、雇用主の人件費及び人員配置作業に大きな影響を与えるものであり、雇用主は今回の改正内容に十分留意する必要があります。

 

以下、今回の改正内容をご説明いたします。

 

一、 労働者の週休二日(週五日勤務)。「定例休日」及び「休息日」を毎週一日ずつ与えることを明記(第36條第1項、第2項)

()  労働者は一週間に二日の休暇が与えられます。そのうちの一日は「定例休日」(中国語:「例假」)と、残りの一日は「休息日」と呼ばれます。実際にどの日を定例休日及び休息日とするのかは、労使双方の取り決めに委ねられています。定例休日は日曜日と、休息日は土曜日と約定されるのが通常となると考えられます。

()  定例休日と休息日の主な違いは、定例休日については、天災、事変又は突発事件が生じた場合を除き、雇用主は労働者に勤務させることはできない点です。休息日については、雇用主は労働者に勤務させることができますが、休息日の労働時間及び割増賃金の計算が労働者に大幅に有利な内容に改正されました。(詳しくは以下の二及び三をご参照ください)

()  雇用主が法令に従って変形労働時間制を採用する場合、その定例休日と休息日については、以下のような形とすることができます。

1.         2週間単位の変形労働時間制を採用する場合、1週間あたりの定例休日を1日以上、2週間あたりの定例休日及び休息日の合計を4日以上とする。

2.         8週間単位の変形労働時間制を採用する場合、1週間あたり定例休日を1日以上、8週間あたりの定例休日及び休息日の合計を16日以上とする。

3.         4週間単位の変形労働時間制を採用する場合、2週間あたりの定例休日を2日以上、4週間あたりの定例休日及び休息日を合計8日以上とする。

 

二、 休息日の労働時間の計算(労基法第24条第3項、第36条第3項)

()  休息日の労働時間については、4時間以下の場合は4時間と、4時間を超え8時間以下の場合は8時間と、そして8時間を超え12時間以下の場合は12時間とみなされます。

()  労働者の休息日の労働時間は時間外労働時間の一部となり、法で定めらた上限の範囲でのみ認められます。ただし、天災、事変又は突発事件が生じたために、雇用主が労働者に休息日に労働させる必要がある場合、その場合の労働時間はこの制限を受けないとされています。

 

三、 休息日の割増賃金の計算(労基法第24条第2項)

  休息日における割増賃金の計算基準は次のとおりです。

1.         労働時間が4時間以下である場合
4時間労働したとみなして賃金が計算されます。
また、そのうちの2時間の賃金については通常勤務日1時間当たり賃金の3分の4以上の割増賃金を、また残りの2時間の賃金については通常勤務日の1時間当たり賃金の3分の5以上の割増賃金を支払わなければなりません。

2.         労働時間が4時間を超え8時間以下である場合
8時間労働したとみなして賃金が計算されます。
また、そのうちの2時間の賃金については通常勤務日1時間当たり賃金3分の4以上の割増賃金を、また残りの6時間の賃金については通常勤務日1時間当たり賃金の3分の5以上の割増賃金を支払わなければなりません。

3.         労働時間が8時間を超え12時間以下となる場合
12時間労働したとみなして賃金が計算されます。
また、そのうちの2時間の賃金については通常の勤務日の1時間当たり賃金の3分の4以上の割増賃金を、また残りの10時間の賃金については通常勤務日の1時間当たり賃金の3分の5以上の割増賃金を支払わなければなりません。

 

四、 メーデー及びその他の国定の祝日の法律根拠(労基法第37条)

  国定の祝日(内政部が定めた休日とすべき記念日、祭日、メーデーその他の中央主務官庁の定める休日)は1年間合計12日となり、これらの日は労働者に休暇が与えられます。これに該当するのは、中華民國開国記念日(11日)、旧暦大晦日(旧暦1230日)、春節(旧暦11日より13日まで)、平和記念日(228日)、児童節(44日)、清明節(旧暦の清明の日に準じる)、メーデー(5月1日)、端午節(旧暦55日)、中秋節(旧暦815日)及び國慶日(1010日)となります。

 

五、 年休の日数、時期の指定方式及び未消化年休の賃金(労基法第38条)

(一)       労働者は、同一の雇用主又は事業者(中国語:「事業単位」)の下で勤続し、一定の期間が満了した場合、取得しうる年休の日数は次のとおりです。

1.         勤続6ヶ月以上1年未満   3日(今改正で新設)

2.         勤続1年以上2年未満      :7日(今改正では変更なし)

3.         勤続2年以上3年未満      :10日(今改正により3日増)

4.         勤続3年以上5年未満      :14日(今改正により4日増)

5.         勤続5年以上10年未満     15日(今改正により1日増)

6.         勤続10年以上           10年以上11年未満が16日、11年以上12年未満が17日というように1年当たり1日増。但し、上限は30日(その結果、勤続24年まで毎年1日増)

(二)       労働者は年休取得の時期を指定することができます。ただし、雇用主は企業経営上急迫な必要性のため、又、労働者は個人的理由のため、他方との協議により変更することができるとされています。

(三)       雇用主は、労働者が年休を取得する条件を満たした場合、労働者に年休取得の時期を指定するよう通知しなければなりません。そして、年度又は契約が終了した場合、未消化年休の日数に応じて追加の賃金を支払わなければなりません。なお、雇用主は、労働者の毎年の年休取得期日及び未消化年休日数により支払った賃金の金額を賃金台帳に記入し、また毎年定期的に書面でその内容を労働者に通知しなければなりません。

(四)       年休及び未消化年休日数に応じた賃金請求に関して労働者が主張する権利に争いが生じた場合、雇用主が立証責任を負います。この規定によると、年休を取得できるにもかかわらず敢えて取得しなかった等の理由で、労働者の主張する未消化年休日数に対し雇用主が追加の賃金を支払いたくない場合、積極的措置を講じ、かつ証拠を保存しておく必要があります。

 

六、 シフト制勤務の休息時間(労基法第34条第2項)

雇用主は、シフト制で勤務させる労働者の勤務時間を決定する際は、少なくとも連続で11時間の休息時間を与えなければなりません。

 

七、 賃金の項目及び内訳の賃金台帳への記入(労基法第23条)

雇用主は、賃金の各項目の算定方法の内訳を労働者に提供しなければならず、またその内容を賃金台帳に記入しなければなりません。

 

八、 通報者の保護(労基法第74条)

労働者は、労働基準法及びその他の労働者に関する法令に事業者が違反したことを発見した場合、雇用主、主務官庁又は検査機関に通報することができます。雇用主は、労働者が通報をしたことを理由に労働者に解雇、降格、減給してはならず、また、法令、契約又は慣習上享有すべき権利・利益を侵害する行為その他の不利な処分をしてはなりません。かかる行為がなされた場合、無効になります。

主務官庁又は検査機関は、労働者から通報を受けた場合、必要な調査を行わなければならず、そして60日以内にその処理状況を書面で労働者に通知する義務を負っています。主務官庁又は検査機関は、通報者の身元情報について秘密保持義務を厳守しなければならず、その身元を識別するに足りる情報を漏洩することは禁止されています。かかる義務に違反した場合は、国は、違反行為をした公務員に対しその行政上及び刑事上の責任を追及すべきことに加えて、これにより損害を被った労働者に対し損害賠償責任を負います。

 

九、 違反行為への過料金額の引き上げ(労基法第79条)

雇用主が、以下の賃金、労働時間、休息や休暇に関する規定に違反した場合の過料金額の上限が、新台湾ドル30万元から新台湾ドル100万元に引き上げられました。

(一)       基本賃金、賃金の全額・直接・定期払い、延長労働時間の割増賃金、性別による賃金差別、通常の労働時間、変形労働時間制、出勤記録、法定労働時間の縮減による賃金の減少、延長労働時間、シフト制勤務の休息時間、連続勤務の休息時間、定例休日及び休息日、国定休日、年休、休日労働の割増賃金、天災事変及び突発事件の際の労働及び代休、女性の夜間勤務や労災事故の補償等に関する規定に違反した場合。

(二)       賃金の期限内払い又は地方主務官庁による労働時間の調整命令等に関する規定に違反した場合。

(三)       労基法第43条に基づき主務官庁が公布した労働者休暇取得規則で定められた休暇及び自己都合休暇以外の期間において支払うべき最低賃金の基準等に関する規定に違反した場合。

主務官庁は、事業者の規模、違反人数又は違反の情状に応じて、法定過料金額の最高額の2分の1過料を加重しうるとされています。

 

今回の改正に対応するため、企業は、上記説明を参考に、早急に、次年度の勤務時間及び休暇に関するスケージュル、法定の休息日の労働時間及び割増賃金の算定方法、年休取得通知及び未消化年休の賃金による精算、賃金算定の内訳書、就業規則の改正等に関する作業を開始すべきと考えられます。

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