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知的財産裁判所は行政訴訟中に智慧局による訂正請求の可否決定を待つ必要があるか



「知的財産事件審理法」(中国語:「智慧財産案件審理法」)第33条第1項の規定により、当事者は専利権(日本の特許権、実用新案権、意匠権を含む)の取消しに関する行政訴訟(日本の無効審判審決取消訴訟に相当)において、同一の取消理由について新たな証拠を提出することができる。裁判実務上では、新たな証拠の提出に対して、専利権者が無効審判の段階において経済部智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当。以下「智慧局」という)に訂正請求の権利を適時に提出できなかった場合を兼ねており、専利権者が専利権の取消しに関する行政訴訟において訂正を請求できることがすでに認められている(最高行政裁判所100年(西暦2011年)度判字第1820号判決などを参照)。また、最高行政裁判所は、20154月の第一回法廷長裁判官連合会議(二)の決議で、無効審判請求人が行政訴訟で提出した新たな証拠について、係争専利の請求項が専利性を具備しないことを証明するに足りると認めた場合、専利権者は当該訴訟の口頭弁論終結前に智慧局へ訂正を請求するとともに、知的財産裁判所へ関連する事実と証拠を提出しなければならず、さもなければ裁判所は直接智慧局へ無効審判請求の成立(無効審判)、専利権取消の処分を下すよう命じることができることをさらに求める。

 

しかしながら、専利権者が行政訴訟中に訂正請求をした場合、知的財産裁判所は智慧局の審決結果を待って初めて判断を行うことができるのか疑義が生じる。最高行政裁判所は2016630日付けで下した105年(西暦2016年)度判字第337号判決で、この法律問題に対して明確に見解を示した。

 

この事件の原判決は知的財産裁判所の103年(西暦2014年)度行專訴字第97号である。知的財産裁判所は、その判決が下されるまでに智慧局がまだ訂正請求の審査結果を提出していないことを理由にして、公告時の専利請求の範囲を対象として審理を行い、訴願決定及び原処分が取り消されるべきであると認定するとともに、専利権者がすでに訂正を請求したからには、智慧局が原審の法律見解に基づき改めて適法な処分を下すことを待つ必要があるため、本件は無効審判の手続きに戻され、智慧局において改めて審理を行うべきであると表明した。

 

ところが、知的財産裁判所の上記判決は、最高行政裁判所の105年(西暦2016年)度判字第337号判決によって破棄された。最高行政裁判所は以下のような見解を示した。訂正の可否と係争専利の技術的特徴に関する解釈と確定は関係があるため、専利法に規定する訂正要件を満たしているか、及び訂正後の内容は何かについて、知的財産裁判所は智慧局による訂正の処分結果を待って初めて判断を行うべきである。さらに、専利に係る専利請求の範囲が不明確な場合、進歩性の判断を行うことができないため、専利権者が法により訂正を請求したからには、訂正の処分を待って、さらに訂正の処分内容を提示することにより、当事者に事実上及び法律上の適切で完全なる弁論及び必要の説明及び陳述を行わせて初めて当事者が十分な弁論をしたと言え、判決を下すことができる。よって、原裁判所は進歩性の判断に対して理由があっても、訂正の処分結果を待ってから訂正の結果に基づいて裁判を行わなければならず、訴願決定及び原処分を取り消し、本件を無効審判手続に戻す旨の判決を下すのみではならない。

 

最高行政裁判所によるこの保守的な見解は、これまでずっと専利事件の各争点に対して積極的に自ら判断してきた知的財産裁判所の審判実務に衝撃をもたらし、行政訴訟手続きの適時終結に影響を及ぼすことになるか否かについては、やはり観察が待たれるところである。

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