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商品製造の前段階における商標使用は商標法によって規制される商標使用ではない



商標法第63条第1項第2号には、「商標登録後、次のいずれかに該当する場合、商標主務官庁は、職権又は請求によりその登録を取消さなければならない。正当な事由なく使用せず、又は使用を停止し続けて、すでに3年が経過した場合。ただし、使用許諾を受けた者(使用権者)が使用している場合にはこの限りではない。」と規定されている。実務において、商標使用の有無をどう認定すべきかは、重要な問題となっている。

 

商品製造前の段階における商標使用について、商品がまだ販売されていないため、商標法で規定される商標使用に該当するか否かは、大きく議論が分かれるところである。知的財産裁判所は104年(西暦2015年)度行商訴字第153号行政判決で、ある商標登録取消行政訴訟事件に対し、否定的見解を示した。

 

本件事実は以下のとおりである。原告である商標権者は200127日、ある商標を、当該商標出願時の商標法施行細則第49条に定められる商品及び役務区分表第32類の「ビール、炭酸飲料、果実炭酸飲料、ミネラルウォーター、蒸留水、スポーツ飲料、カルシウムイオン水、果汁、野菜ジュース、梅ジュース、総合果汁、仙草ゼリー入りはちみつジュース(訳注:仙草はシソ科メソナ属の植物)、果汁シロップ、ウィートグラス、人参茶、ミルクティー、菊花茶、ハイビスカスティー、霊芝茶、酢飲料」の商品を指定して、被告に商標登録出願し、智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当。以下「智慧局」という)による審査を経て商標登録第959006号(すなわち係争商標)として登録された。その後、第三者は、2013926日に、係争商標が商標法第63条第1項第2号規定に違反したとして、智慧局に、係争登録商標に対して不使用取消審判を請求した。智慧局は本件を審理して後、係争商標には、使用せず、又は使用を停止し続けて、すでに3年が経過した事実があったと認め、2015121日付中台廃字第1020386号商標登録取消処分書をもって、係争商標の登録を取り消すべき旨の審決を下した。原告である商標権者はこれを不服として訴願を提起したが、経済部20151027日付経訴字第1040315570号訴願決定をもって、同じ理由で訴願を棄却した。原告である商標権者は尚もこれを不服し、係争商標が登録後、現行商標法第63条第1項第2号規定に違反したことはないとして、知的財産裁判所に行政訴訟を提起した。そのため、本件の主な争点としては、原告である商標権者は、第三者より取消審判を請求した日、すなわち2013926日前の3年内に、係争商標を正当な事由なく使用せず、又は使用を停止し続けて、すでに3年が経過した状況があったか否かである。

 

知的財産裁判所は、以下の見解を示した。現行商標法第63条第1項第2号には、商標登録後、正当な事由なく使用せず、又は使用を停止し続けて、すでに3年が経過した場合、商標主務官庁は、職権又は請求により登録を取消さなければならないと規定されている。そして、本法でいう「商標の使用とは、販売を目的として、商標を商品又はその包装容器に用いること、前号の商品を所持、展示、販売、輸出又は輸入すること、提供する役務と関連する物品に商標を用いること、商標を商品又は役務と関連する商業文書又は広告に用いること、デジタルマルチメディア、電子メディア、インターネット又はその他の媒介物の方式で商標を使用することで、関連消費者にそれが商標であると認識させることを指す。また、商標第57条第3項により同法第5条及び第67条第3項に準用すると、商標権者が提出する使用に関連する証拠は、商標の使用が真正であることを証明することができるもので、並びに商業取引の一般慣習に合致しなければならない。

 

原告である商標権者は、係争商標が表示されている商品のパッケージを製造したことが係争商標の使用行為に当たり、且つ当該行為が商標登録取消審判請求日前、すなわち2013926日前に既に存在しており、確かに商標使用の要件を満たしたので、取消事由には該当しなかった、と主張した。しかし、知的財産裁判所はこの主張を退け、さらに、以下のとおり、具体的な見解を示した。いわゆる商標の使用とは、真正な使用の目的に合致しなければならず、すなわち商標の確実な使用により、消費者に商品又は役務の出所を確認できることを確保させ、並びに消費者に誤認混同を引き起こす恐れを生じさせないにして、異なる出所の商品又は役務等を区別することという基本的機能とも合致するものでなければならない。よって、いわゆる真正な使用とは、商標権者が商標を、商標権者の事業範囲内に内部使用するものでなく、指定した商品又は役務の市場において使用することを指す。商標の登録された法分野において、商標の商業的存在理由が喪失した場合、法律が当該商標に与える保護、及び商標登録が第三者に生じる効果は、継続して存在する必要はなくなっている。また、いわゆる商業的存在理由とは、この識別標識である商標を表示する商品又は役務の市場又は販路の創造又は保有を指す。本件原告である商標権者が提出した証拠は、せいぜい原告である商標権者が係争商標登録の取消審判請求日前の3年内に、係争商標が表示されているパッケージのデザイン、製造を他人に委託したことのみを証明することができるが、これはやはり商品製造前の段階に属し、その後尚も多くのプロセス、例えば、内容物すなわちパッケージの品名を示しているジュース製品を係争商標が表示されているパッケージに充填すること、商品を検査すること、正式に各大型販路へ出荷することを経って、関連消費者は商品棚又はネットショッピングの商品画像のパッケージに表示されている係争商標を通じて、係争商標が原告より生産する商品を表彰することと知る。つまり、係争商標が商品の出所を識別するという作用は、関連消費者が実体販路又はネット販路から係争商標が表示されている商品を自由に任意に選択して購買し、並びにそのパッケージに表示されている係争商標で、商品が原告より製造されるものであると確認できた時から発生する。そのため、パッケージのデザイン及び商品内容の製造を含める製造段階において、商品がまだ関連消費者に対し販売されていないため、消費者は、係争商標が表示されている商品の選択、購買で、商品が原告より製造するものを表彰するという係争商標の機能を認識することがない。よって、原告は係争商標をその事業範囲内に内部使用し、実際に販売することを目的とする商標の真正な使用行為ではなかったと認定すべきであり、原告は係争商標登録の取消審判請求日までの3年内に、係争商標の指定する商品又は役務における識別機能を創造又は保有するため、市場又は販路において係争商標を真正に使用した、すなわち原告は係争商標の商業的存在の必要性を維持するため係争商標を使用した行為があったと認めにくいため、原告の主張をとることはできない。

 

知的財産裁判所は、原告である商標権者が提出した証拠について、いずれも係争商標登録が登録から取消審判請求日までの3年内に、商取引習慣に合致した係争商標の真正な使用の行為があったことを証明することができないため、智慧局が係争商標の登録を取消したことは、法に合致しないことはなく、訴願決定を棄却したことにも誤りはないため、いずれも維持すべきであるとして、原告である商標権者の起訴を棄却した。


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