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行政院がTPP加入に向けての著作権法改正案を閣議決定



弊所発行のLee & Li Bulletin 20165月号に紹介されたように、我が国は現在環太平洋戦略的経済連携協定Trans-Pacific Partnership AgreementTPP)への加入を積極的に推進しているため、経済部智慧財産局台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当。以下「智慧局」という)は2016510日に著作権法改正案を完成させた。これについては、Lee & Li Bulletin 20165月号の文章を参考にされたい(中国語:http://www.leeandli.com/TW/NewslettersDetail/5668.htm;英語:http://www.leeandli.com/EN/NewslettersDetail/5668.htm)。

 

上述した著作権法改正案は、行政院(日本の内閣に相当)にて2016811日付で一部条文改正案が院会(閣議)決定され、並びに立法院(日本の国会に相当)での審議へと送付された。上述した智慧局による2016510日の著作権法改正案と比べると、主な違いは、行政院で院会決定された改正案において、「著作財産権の存続期間を70年までに延長」の規定が盛り込まれず、依然として現行規定の50年が維持されていることである。その他の改正案のポイントについては、上述した智慧局による2016510日の著作権法改正案と大きな違いはない。

 

行政院の院会で決定された改正案のポイントは以下のとおりである。

 

一.     複製防止措置の回避についての刑事責任の新設(改正条文96条の1

       著作権者が講じる複製防止措置(アクセスコントロール、access controls)を解読、破壊又はその他の方法を以ってこれを回避する等の行為(例えば、企業が正規のソフトウエアを購入せずに、不正ソフトウエアをインストールしてシリアル番号を入力して使用する行為)に対し、営利を目的として又は業として使用する場合、刑事責任が課せられる。このほかに、現行の著作権法80条の22では、合法的な許諾を得ずに、無断で複製防止措置を解読、破壊又は回避するための設備、部材、部品、技術若しくは情報を製造、輸入、公衆の使用に提供する若しくは、これらのものをもって役務を提供することはできないと規定されているが、改正案では、これらの行為が営利を目的として又は業として使用する場合に限って初めて刑事責任が課せられるよう改正された。

 

二.     職権による起訴制度に合わせた非親告罪への変更(改正条文91条、第91条の1及び第100

1.          本法91条第2で規定されている販売又は貸与の目的をもって複製し、営利目的で91条の12の著作財産権を侵害している複製物であると明らかに知りながら頒布する罪を犯し、その複製物がデジタルフォーマットした罪を、非親告罪に改め、並びにデジタルテクノロジーの発展に伴いネットによる海賊版の横行が増加していることに対応するため、本法92の公開伝送権侵害罪もまた非親告罪に改めた。

2.          また、重大でない侵害行為が国家公権力による訴追を受けるという懸念を軽減させるため、改正案では同時に非親告罪の適用範囲に、著作物全体の原作品(オリジナル)の利用形態(例えば、利用許諾を得ずに、音楽、小説又は映画等の全てのコンテンツをネットワークにアップロードする)に限定し、且つ侵害対象は著作財産権者が有償で提供した著作物とし、並びに権利者に100万台湾元(約320円)以上の損害をもたらしたことという制限を適用条件とする。

 

三.    衛星・ケーブル放送用の暗号化された番組伝送信号の民事・刑事による保護規定を新設(改正条文104条の1~第104条の4

四.     施行日(改正条文第117

       改正案では、上述の「職権による起訴制度に合わせた非親告罪への一部改正(改正条文91条、第91条の1及び第100)」の施行日については、行政院より別途指定するが、その他の改正については、立法院の三読(最終審議)で可決され、並びに総統により公布された後に施行されるとなる。

 

以上は、行政院の院会で決定された改正案内容であるが、正式な改正条文は今後立法院での可決が待たれる。


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