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「房地合一」実勢価格課税新制度の分析

Leo Tsai


「房地合一」(※「土地と建物を一括する」の意)実勢価格課税制度に関して、立法院は201565日に「所得税法」の一部条文及び「特殊貨物及び労務税條例」(「特種貨物及勞務税條例」)第6条の1の改正案を三読最終審議)で可決し、これらの改正法は総統によって2015624日に公布され、201611日から施行されている。当所は201511月号LEE LI Bulletinでこれらの改正法の要点をレポートしたが、今回は、税法の観点から補足説明する。

壹、改正の立法背景

法改正前、台湾の不動産税制は建物、土地取引分離課税を採用していた。土地については公示時価(通常、実勢価格より低い)に基づき土地増値税が計算、徴収され、所得税の納付が免除されていた。また、建物については、一部につき実勢価格により所得税が計算、徴収されているのを除いて、大多数は建物評定時価(通常、実勢価格より低い)により所得税が計算、徴収されていた。そのため、不動産取引に関する所得税を計算、徴収する課税基準及び税率が著しく低くなっており、投機的売買によって不動産価格を押し上げようと目論む者を間接的に後押ししてしまっていた。その結果、多くの人民が高騰する不動産価格を負担することができなくなっており、政府には、合理的且つ公平な不動産税制を構築し、不動産市場が安定した発展に立ち戻ることができるようサポートすることが求められていた。

このため、財政部は「房地合一」実勢価格課税の法改正案を立案し、そして当該改正案は行政院院会(※日本の閣議に相当)で討議、可決された後、立法院に送られて、審議、可決された。

貳、改正案の要点は以下のとおりである。

一、課税範囲

201611日から、以下に掲げる建物や土地が取引された場合、その取引から課税範囲に含まれる。

l  201611日以降に取得したもの、

l  201412日以降に取得し、且つ所有期間が2年以内で売却されたもの。

二、課税基準

l  課税範囲に含まれる土地取引所得は、所得税法第4条の所得税納付免除に係る規定が適用されない。

l  課税基準(課税所得)=(建物収入+土地収入)-原価-費用-土地税法により計算された土地価格上昇総額(二重課税を避ける目的)

l  不動産が相続又は贈与によって取得したものである場合、その取引原価は、相続又は贈与を受けた時点の建物評定時価及び土地公示時価を政府が発表した消費者物価指数で調整した価格によって計算する。

三、課税税率及び長期所有課税優遇措置

l  域内居住者:所有期間が1年以内の土地建物の取引に係る所得税税率を45%、所有期間が1年を超え2年以内税率を35%、所有期間が2年を超え10年以内の税率を20%、所有期間が10年を超えた場合の税率を15%とすることで、不動産の短期の投機的売買を抑制し、また不動産の長期所有を奨励する。また、相続人又は受遺者が相続又は受遺によって取得した土地建物は、被相続人又は遺贈者の所有期間を合算して計算することができる。

このほか、税制の合理性を維持するため、転勤、非自発的離職又はその他の非自発的要因により、所有期間が2年以内の土地建物を売却する場合、及び、個人が自らの所有する土地に営利事業者と提携して建物を建設し、土地取得日から起算して2年以内に当該建物を竣工し、且つ当該土地建物を販売する場合、その取引に係る所得税税率を20%引き下げる。

l  非域内居住者:所有期間が1年以内の土地建物の取引に係る所得税税率を45%、所有期間が1年を超えた場合の税率を35%とする。

l  域内の営利事業者:土地建物の取引に係る所得税税率を一律17%とする。

l  域外の営利事業者:所有期間が1年以内の土地建物の取引に係る所得税税率を45%、所有期間が1年を超えた場合の税率を35%とする。

       域外の営利事業者が、株式又は資本総額の過半数を直接又は間接的に所有する域外の会社の株式を取引した場合で、当該株式の価値の50%以上が域内の建物や土地から構成されているときは、その株式の取引に係る所得額にも、前記の税率による申告納税が適用される。

四、域内居住者の自宅住居に係る課税優遇措置

l   域内居住者個人又はその配偶者、未成年の子女が戸籍を有し、実際に満6年以上連続して居住し、且つ営利目的での使用又は貸出をしていない自宅住居を減免の対象とする、

l  前記課税基準により計算した課税所得が400万新台湾元(NTD)以下であれば免税、400万新台湾元(NTD)を超える部分は10%の税率で所得税を課税、

l  域内居住者は6年間で1回のみ自宅住居課税優遇措置が適用される。

五、域内居住者の住替えに係る税金還付

現行制度と同様、域内居住者個人が自宅住居を売却して既に納付した税金は、自宅住居再購入時に還付を申請することができる。

六、課税方式

l  分離課税方式を採用した。所得者は所有権の移転登記が完了した日の翌日から30日以内に納税申告しなければならない。

l  所得者が期限内に申告しなかった場合又は事実どおりに申告しなかった場合、徴税機関は資料を調査し、その取引収入、原価を査定し、又は取引価格の5%でその費用を計算することができる。

七、「特殊貨物及び労務税條例」の不動産税制部分に関しては、「房地合一」課税制度に合わせ、201611日から徴収を停止し、不動産関連産業の健全な発展をサポートする。

 

  參、改正案の可決、立法化の影響

前記の「房地合一」実勢価格課税に係る法改正案は立法院で可決されたが、これにより今後の不動産取引における所得税の計算、徴収に係る課税基準及び税率が大きく変わることになる。不動産取引に従事する者は、房地合一課税新制度によって生じ得る税務リスクを事前に周到且つ慎重に評価、把握することにより、不利益を被る可能性を低くするよう努めるべきである。

 


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